
SNSでメンタルや生きづらさを題材にしたイラストと言葉を発信しているなおにゃんさん(@naonyan_naonyan)。うつ病と適応障害で会社を休職した経験があり、当時は「うつになって恥ずかしい。逃げるようで情けない」と感じていたものの、今では「休職して本当に良かった」と心から思っているそう。
コミックエッセイ「うつ逃げ~うつになったので全力で逃げてみた話~」は、そんななおにゃんさんの実体験をベースに描いた作品。病気から、会社から、果ては日本からも全力で逃げた1年間を、お届けする。
今回は、うつ病を発症するきっかけについて。大学卒業後、出版社に就職したなおにゃんさん。昔から本が好きで憧れていた仕事だっため、当初は「夢が叶った」と思っていたそう。しかし、編集長の書いた文章をなおにゃんさんが直したことがきっかけで、直接的な指摘が多くなっていった…。
■なんで自分だけ?と感じる場面も多かった
直接仕事を教えてくれる先輩は優しかったという。当時の職場にはこの先輩の他に、心を開くことができる人はいたのか聞いてみた。
「自分は元々人付き合いが得意ではなく、コミュ障気質なところもあったせいか、その先輩以外にはなかなか心を開ける人がいませんでした。でも、質問したらちゃんと答えてくれる優しい職場だったと思います」
当時の職場を「優しい職場」と表現するなおにゃんさん。だが編集長のイライラぶりを見ていると、胃がキリキリ痛みそうだ。編集長は、彼女にだけ指摘を行っていたのだろうか。
「私の部署では新人が私だけだったということもあり、私一人が指摘をされていたように思います。また、他の部署の同期と比べても、みんながやっていない課題を出されることもあり、『なんで自分だけやらなきゃいけないんだろう?』と思うことがたくさんありました」
同じ立場の人と悩みを分かち合うことができないものの、「新人だからやり直しや課題も当然のこと。気にせず頑張ろう」と思っていたなおにゃんさん。しかし、知らず知らずの内に心の負担は大きくなる一方で…。時には休むことや逃げることも必要だと教えてくれる漫画「うつ逃げ」を、今後も楽しみにしたい。
取材・文=石川知京