
コミックエッセイ「自閉症育児奮闘記~今できること」は、シングルマザーのまるさん(@shishishishimr)と、発達障がいと診断された幼い息子・リュウくんの日常を描いた作品だ。ただでさえ大変な初めての育児に加え、息子の成長への不安や戸惑い、悩みが描かれ共感を呼んでいる。また、そんな親の苦しみをよそに、ゆっくりと確かに成長していく息子の姿も微笑ましい。今回は、まるさんが初めて発達外来を訪れた時のエピソードと、その後の心境の変化について紹介する。
まるさんは、以前心理士さんに言われた「発達外来にかかってみては」というアドバイスに従い、訪れることにした。発達外来とは、病院で特に発達障がい児を専門に診る外来のこと。
まだ発達障がいと確定したわけではないと、かすかな望みを持っていたまるさん。だが面談の結果、ただの言葉の遅れではなく発達障がいの可能性が高いことを医師から示唆された。まるさんは落ち込み、受け入れることができない。それでも世の中の発達障がいへの理解は広がりつつあるから、と自分を納得させる。
当初は悩むばかりだったが、一方でリュウくんの成長も目に見えるようになってきた。まだ落ち着きがなかったり、言うことを理解してくれないこともあるが、できることが少しずつ増えてきたのは大きな心の支えになる。
■常にポジティブというわけではないが、喜びも増えてきた
発達外来を勧められた時の最初の印象については、「そもそも発達外来という科があることを、その時初めて知りました。そのため、『療育にも行って、さらに病院にも連れて行かないといけないんだ、忙しいな…』と思っていました」と回想する。
リュウくんの成長に対して喜ぶまるさんの姿も非常に印象的。心配や不安が絶えない分、その感激もひとしおだ。「子供の発達の遅れは、悩んだり落ち込んだりすることが本当に多いです。私も常にポジティブに考えられるようになったわけではないのですが、発達の遅れがある息子と常に一緒にいると『これができるようになった!』『言えるようになった!』といった発見の喜びがものすごく大きくて、悩みを超える時があります」
取材・文=折笠隆