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“自分時間”のお供の定番に!お酒の飲み方を変えたサントリー「ほろよい」大ヒットの理由とは?

  • 2022年4月23日
  • Walkerplus

お酒が強くない人でも気軽に飲むことができるお酒「ほろよい」。2009年の発売以来、ほのかな甘味とやさしい飲み心地が普段あまりお酒を飲まなかった人たちに支持され、また度数3%という低アルコールながらお酒好きからも人気を集めている商品だ。

今年30歳を迎える筆者にとってこのお酒は、アルコールデビューのきっかけとなった思い出深いもの。大学生の頃、夏の夜には京都・鴨川のほとりを季節限定のほろよい片手にぶらぶらしたのを覚えている。筆者と同じように、若い頃ほろよいでお酒のおいしさを覚えた人や、ほろよいとともに季節の移ろいを楽しんだという人も多いのではないだろうか。

今ではほろよいはコンビニやスーパーでも当たり前のように見かけ、いつしかお酒を買う際の選択肢の1つとして当たり前のように選ばれている。今でこそ若者を中心に幅広い層に飲まれているが、実はこの商品が生まれた背景には「若者のお酒離れ」があったという。今回はサントリースピリッツ株式会社でほろよいのブランドマネジャーである三枝遼太郎さんに、ほろよいが誕生したきっかけなど開発秘話を聞いた。

■お酒の飲み方を大きく変えた「ほろよい」
ほろよいの開発がスタートしたのは2007年。若い世代がビール等のお酒を買わなくなったり、飲み会への参加が減ったりする“若者のお酒離れ”が話題になっていた頃、危機感を募らせたサントリーの商品開発部門が「このままでは厳しい。若い人にお酒の楽しさを届けたい!」と、若者が飲みやすいお酒の開発を進めることになった。

「『ほろよい』の開発を始めたのは、ちょうど若者のお酒離れがニュースや新聞で話題になった頃でした。お酒離れの理由を調査すると『お酒にお金を使うのがもったいない』『お酒はおいしくない』という声が多く、お酒の存在意義が伝わってないと感じていました。そこで『楽しいお酒、おいしいお酒もあるんだ』ということを伝えようと開発が始まりました」

開発が始まった2007年頃は、旧来の“男らしさ”や“女らしさ”といった概念が薄くなり始め、おうちデートなどインドアな遊びも定着し始めた時期。そこで「堅実」「淡々」「優しい」といった若者の価値観に合ったお酒の開発を始めたという。

「若者の味覚調査を行うと、甘舌化が進んでいること、居酒屋でもサワーやチューハイ系のアルコール度数3%前後が人気だということがわかりました。そこで、今まで主流だった刺激が強いシャープなチューハイではなく、慣れ親しんだ味でお酒の入口として手に取りやすいものを目指して開発を進めました」

研究を重ねたサントリーは2009年に「ほろよい〈レモン〉」「ほろよい〈うめ〉」の2種類を発売。若者だけでなく普段お酒をあまり飲まなかった人や、ビールなど苦いお酒が苦手だった人にも「飲みやすい」と大好評。発売後すぐに大ヒット商品となった。

ほろよいの存在は、新たな飲酒スタイルの誕生にも繋がった。これまでお酒といえば飲み会などで大勢での飲み方が主流だったが、自宅でくつろぎながらのんびり飲む「宅飲み」も、新しい飲酒スタイルとして確立された。

「これまでのお酒を飲む場のイメージを一新させることができたと感じています。大人数での飲み会だけでなく、1人で飲むスタイルを定着させることができました。アルコール度数も高くないので、ネットサーフィンをしながら、テレビを観ながら、といった“ながら飲み”に活用してもらっています。近年のステイホームにも相性のよい商品だと思います」

■1番人気の味わいは?累計93種類ものフレーバーを発売
ほろよいといえば、バリエーションに富んだ多彩なラインナップにも注目が集まる。例えば、定番商品としてコンビニやスーパーに常に置かれている〈白いサワー〉は、多くの人が慣れ親しむ乳性飲料の味わい。どこかで飲んだことがある味だからこそ、気軽に手に取る人が多いという。このような“誰もが親しめる味”を繰り出すことができるのが、ほろよいブランドの大きな強みだ。

「これまでに期間限定商品を合わせて、累計93種類の味を販売しています。定番商品も期間限定商品も常に研究・開発を続けているので、味のアイデアをいつも開発チームで議論している状態です。なお、1番人気は2010年から発売している〈白いサワー〉なんですが、こちらは発売開始から現在までブランド内の売上1位を続けています。これだけ商品が愛されるのは幸せなことですね!」

ほかにもレギュラー商品である〈もも〉や〈白ぶどう〉などが人気だが、実は意外なフレーバーが飛ぶように売れているという。それが毎年夏季に発売される「ほろよい〈冷やしパイン〉」だ。

「期間限定の商品では〈冷やしパイン〉がすごく人気なんです。2014年に発売して以来、今夏で9年連続で販売するフレーバーです。限定品は何度発売しても飽きずに楽しんでいただけるようさまざまなフレーバーを出すのですが、〈冷やしパイン〉は毎年ご好評いただいており、夏の風物詩的な商品になっているかなと思っています」

名前も単なるパインでなく「冷やしパイン」とすることで、夏祭りや花火大会といった夏ならではの気持ちの高まりを表現していることも、思わず手に取りたくなる理由の1つ。そして注目すべきがパッケージのデザイン。花火が描かれたデザインを見ると、夏祭りの屋台で買った冷やしパインを片手に歩いているような気分にさせてくれる。

飲みやすさだけでなく味のネーミングやパッケージにもこだわることによって、四季折々のシーンに合わせた楽しみを提供している。だからこそ新しい季節が巡るたびに発売されるほろよいを、私たちはつい手に取ってしまうのかもしれない。

■まるでフルーツ!?サントリーの技術が生み出した存在意義
ほろよいの大きな特徴として“まるでフルーツを口にしているかのような味わい”がある。サントリーは創業以来培ってきた技術でフルーツの果実感を表現することができるという。

「例えば〈もも〉だと、果汁だけでなく桃を浸漬したオリジナル原料酒も使うことで、みずみずしさに加え熟した果肉感や皮の香りまで桃の果実感を余すことなく表現しています。長年の洋酒づくりで培ったノウハウにより、狙った味を表現できる開発力が当社の強みですし、これまで93種ものフレーバーを出せた理由でもあると感じています」

購入している人のなかには、フルーツの気分で「ほろよい」を手に取る人もいるのだとか。「値段が高い」「食べるのに手間がかかる」などの理由でなかなか手を出せないフルーツの味わいをほろよいで楽しめるため、気軽に季節を感じられるのも人気の秘訣だ。

サントリーの技術があってこそ生み出されたほろよい。私たちが「おいしい」と何気なく味わっているほろよいは、研究者たちの汗と涙と努力が注がれているのだった。

■新フレーバー開発のカギは「ワクワク感」
人気の白いサワーや冷やしパインなど、ほろよいのフレーバーはお酒としては珍しい味が多い。次々と登場する新フレーバーはどのようにして生み出されているのだろうか。

「『ほろよい』の限定フレーバーの開発においては、多くの人が反応してくれる間口の広さとワクワク感の2つを大切にしています。例えば、誰もが知っているグレープフルーツやレモンなどのフレーバーは間口は広いですが、お酒によくある味であるためワクワク感が不十分だったりします。新商品を開発する時には“お客様にどのような気持ちになってほしいか”を大切に、フレーバーを考案しています」

今年の4月19日に発売された「ほろよい〈クリームソーダサワー〉」や、5月17日(火)に発売予定の「ほろよい〈甘夏〉」も、この間口の広さやワクワク感を重視した商品だ。

「〈クリームソーダサワー〉はメロンサワーにクリームの風味を加えた、クリームソーダを思わせる甘く爽やかな味わいになっています。パッケージは喫茶店のステンドグラスを想起させる背景に、そこで提供されるクリームソーダをイメージし、懐かしさを感じられる世界観を表現しました。また、〈甘夏〉は酸味と甘みのバランスが取れた、みずみずしく甘酸っぱい味わいを実現しました。パッケージではひまわりのイラストが初夏の爽やかさを表現しています」

味わいからパッケージまで細やかな工夫がされているほろよいは、親しみやすさとワクワク感を兼ね備えており人気なのも頷ける。もちろん期間限定商品だけでなく、通年で販売している定番品にも工夫が凝らされているという。

「定番品も年1回ほどの頻度でリニューアルを行っています。その時代に合わせてお酒の楽しさ、ワクワク感をお届けできるように、常にチューニングをしているんです。〈もも〉のパッケージがピンクからブルーになったのは、反響が大きなリニューアルの1つでしたね」

また、今年の新CMでは“ながら飲み”スタイルをメインに演出。「ほろよい飲んで、なにしよう?」をメッセージにほろよいを楽しみつつ、心地のよい自分時間を過ごす女性が描かれている。コロナ禍でなかなか大勢で集まることができない昨今、大人になりお酒デビューを果たした世代に向けて、ほろよいからの新提案だ。

発売されるたびにワクワクがあふれる「ほろよい」。いろんな味を飲み比べして、あなたの推しフレーバーを見つけてみては?

取材=福井求
文=山口夏野

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