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バラバラの米364粒と大格闘!プラモデルど素人が「寿司プラモデル」を作っておうち時間を潰してみた

  • 2022年3月12日
  • Walkerplus

コロナ禍になり、終わりの見えないおうち時間。手のかかる料理をしてみたりお菓子を作ってみたり、今まで掃除しきれていなかった箇所を頻繁に掃除してみたりと、1人暮らしの筆者はその生活に順応し始めていた。

でもそろそろおうち時間のネタも尽きてきた頃合い。1人でぼーっとする時間が増えてきてしまい、「最近、丸1日声出さない日とかあってさ~」と友人に愚痴を言うと、「じゃあせっかくなら何かに没頭してみたら?プラモデル作るとか」と提案が。

しかし筆者はプラモデルを作ったことはおろか、見たこともないド素人。さらにロボットや乗り物には興味なし。でも確かに、1人で無言でいても時間を無駄にしない、しかも簡単に数時間を潰せるという点でプラモデルは最適。そんな時に出合ったのが、秋東精工株式会社から発売されている「寿司プラモ」だった。

今回は、プラモデルとは無縁の人生を送っていた筆者が「寿司プラモ いくら」を実際に作ってレポート。さらに生みの親である秋東精工株式会社の藤原千誉さんに、寿司プラモの誕生秘話や上手に作るコツなどを聞いた。

■プラモデルって何でくっつけるの!?素人丸出しの凡ミス
家に届いた「寿司プラモ いくら」(1540円)の箱を開けると、また箱が。高級寿司屋でテイクアウトしたような入れ物が現れ、その本格的な演出にテンションは急上昇。

中に入っていたのは、海苔が1枚、いくらパーツと米パーツというシンプルな内容。シンプルではあるが、驚くことに米といくらが1粒1粒用意されていた。もう少し大まかなパーツだと思っていた筆者は、「もしかしてこれ、1粒1粒自分で…」と動揺してしまう。

ここでド素人ならではの問題にぶつかる。プラモデルをブロックか何かと勘違いしていたのか、どうやってパーツをくっつけるのかを一切考えていなかったのだ。よくわからないままAmazonでプラモデルにも使える接着剤とやらを1本注文し、この日は準備だけしておくことに。

いかに自分がプラモデル初心者かを思い知った途端、「もしかしてペンチ的な何かがないとパーツを切り離せないのでは」と新たに疑問が。しかしこのプラモデルのパーツは適度に柔らかく、手でプチプチと切り離す仕様。大量の米といくらを準備しただけで達成感を得たまま、その日は終了。

■もしかして…修行?バラバラの米と3時間対峙
翌日、接着剤が届いたので仕事終わりに挑戦することに。何かを見ながら作ると思っていたのだが、このプラモデルに説明書や完成図などは付属されていなかったので、“自分が知っているいくらの軍艦”を作ることに。

右手にピンセット、左手に接着剤を持ち、ドキドキしながらまずは米を1粒くっつける。ゆるめの接着剤なのか米と米が滑り、なんとか2粒がくっついたのを見て「これは長い戦いになるぞ…」と確信した。

そこからはひたすら米と向き合う持久戦。後にインタビューをして知ることになるのだが、米の数はなんと364粒。これをちまちまと、形を気にしながらくっつけてシャリを作る。もともと細かい作業が苦手ではない筆者でも、滑る米と慣れない接着剤に苦戦。半分ほど組み立ててようやく海苔を巻けるようになったのは開始から2時間以上経ってからだった。

海苔を巻いてからは、残りの米で空間を埋めていく作業に。どんどん積み上げていくとシャリそのものに見えてくるので、完成が見えてちょっと気持ちがラクになる。このシャリを作る工程は難易度こそ高くはないものの、適度な集中力と長い目で楽しむことが重要。筆者はラジオを聴いたりお菓子を食べながら作業したため時間はかかってしまったが、最後まで心折れずに取り組むことができた。

■ついに完成!おいしそうにできたが…
シャリを作り終え、いよいよネタであるいくらをくっつける工程へ。しかしここで接着剤がなくなるというアクシデントが。まさか人生で接着剤を使いきって困る日が来るとは思わなかったな、などと思いつつコンビニに走った。ちなみにこの時点でなかなかの失敗をしているのだが、この時はまったく気づいていない。

1粒ずつピンセットでいくらをくっつけながら、ふと「もう乗せるだけだから何個かいっぺんにできるのでは?」と気づいた。そこからは指でいくらを掴み、接着剤を付けた箇所にパラパラと散らす作業に。これはものの数分で完了し、ついに完成!

しかし欲張ってシャリを大きくしたせいか、高さが足りず微妙な出来栄えに。シャリを作る途中で、一度海苔の太さを切って調節すべきだったようだ。でも十分おいしそうで、初心者にしてはなかなかの出来だと言い聞かせた。

写真を撮ろうとプラモデルを持ち上げたとき、土台から外れないことに気づく。そして寿司の下に何かが溜まっていることを発見。加減がわからず接着剤を使いすぎてしまい、シャリの間から接着剤が漏れ出して固まっていた。これにより、プラモデルは土台から離れないまま部屋に飾られることとなってしまった。

こうして初めてのプラモデル作りは終了。友人に写真を送ると「初心者なのにハードなもの作ったね」と笑われ、次はもっと上手に作ってやる!と初心者ながらにプラモデルへの探求心が燃え上がり、後日「寿司プラモ マグロ」を注文することになった。

■「寿司プラモ」はどうして生まれた?SNSで注目の的に!
「寿司プラモ」は、プラモデルの金型を作っている秋東精工株式会社のオリジナル商品。金型とはプラモデルのパーツを作る型のことで、「たい焼きの生地を流し込む型を想像してもらうとわかりやすいですね」と藤原さんが丁寧に説明してくれた。

本来はメーカーからの依頼を受けてプラモデルのパーツを作るための「型」を作る会社であり、プラモデルを作って販売している会社ではない。ではなぜこの寿司プラモを作るに至ったのかを聞くと、コロナ禍によるプラモデルイベントなどの減少でプラモデル業界の元気がなくなり、「今できることは何か」を考えた結果だという。

「コロナ禍でプラモデル自体の需要が少なくなったわけではないのですが、この機会に『プラモデルを作ったことがない人の窓口になるような商品を作ろう』という話になりました。社内でどんなプラモデルがいいかの案を出し合い、多くの人に興味を持ってもらいやすい“食べ物”になりました」

そうして誕生したのが、好物として挙げる人が多い寿司と餃子のプラモデル。初心者でも扱いやすいようにと、手で簡単に切り離すことができる比較的柔らかいパーツで作ったそう。2021年5月に「寿司プラモ マグロ」と「寿司プラモ サーモン」が発売された後は、実際に作成した人たちがSNSに投稿したことにより話題となった。

その後、Twitter上で盛り上がっている寿司プラモを見つけた食品サンプル会社からコラボの提案があり、食品サンプルに使われる海苔を用いた「寿司プラモ いくら」と「寿司プラモ かっぱ巻き」が発売。筆者が作った「いくら」の海苔は、飲食店やバラエティショップで見かける食品サンプルに使われているものと同じものだったのだ。本物そっくりな理由がわかった。

■完成図がない理由とは?リアリティを追求した開発秘話
ポン、と置いてあると本物と見間違えそうなほど精巧なつくりの寿司プラモ。開発までどのような過程があったのだろう。

「開発時、よりリアルな出来にするために、まずはスーパーで本物の寿司を買ってサイズ感や米粒の数などを研究しました。よく見たらいくらの粒は均一ではなく大きさがバラバラだったので、プラモデルのほうも忠実に再現すべく、いくらの粒の大きさを3通り作っています」

シャリに使われている米粒が364粒あったのは、この時に買った寿司の米粒の数が364粒だったからだそう。再現にかける熱意に驚くが、そうとなるとこの商品に完成図の付属がなかったことが気になる。

「今回は米粒を全部使ってくださったようですが、別に全部使わなくてもいいんですよ(笑)。高級寿司店の寿司って、シャリが小さめでネタが大きく見えたりするじゃないですか。なので高級寿司を作りたい方は米粒を少なめにするのがおすすめです。逆にスーパーや回転寿司店などにある定番の寿司を作りたい方は全部使っていただいて。思い思いの“おいしい寿司”を作ってもらいたいなと思っています」

完成図が付属されていない理由には、そんな思いが込められていた。完成図は自分の記憶のなかにあるという、世のプラモデルの中でもかなり自由度の高い商品だと思われる。「初心者向け」と感じる人もいれば「逆に難易度が高い」と感じる人もいると思うが、思い通りの寿司を作れるということでやりがいは抜群だ。

SNSではこのプラモデルを作って本物のいくらの寿司と並べたり、プラモデルとフィギュアなどを組み合わせておもしろ写真を撮ったりとさまざまな使われ方をしているが、それについては「おもしろがっていただけてうれしいです!これからもTwitterで作ってみた報告をしていただけると励みになります」と藤原さん。

■自由に楽しく、自分だけの寿司を完成させよう
おうち時間を過ごすユニークアイテムとして愛されている寿司プラモ。現在の1番人気はマグロで、それに追いつく勢いでいくらが売上を伸ばしているそう。マグロとサーモンはシャリを組み立てるだけなのに対し、いくらは米+いくらを組み立てる必要があるので難易度は少し上がる。先に握りから入門するのがおすすめだ。

ちなみに筆者が作ったものを藤原さんに見せたところ、「海苔をカットするか、シャリを小さく作って高さを出してもいいかもしれませんね。いくらがこんもり乗るような仕上がりだとおいしそうに見えますよ。あと、接着剤はもっと少なくても大丈夫です(笑)」とアドバイスをくれた。次はもっと接着剤のことを信用しようと思う。

藤原さんは今後について、「もう寿司はもう作りきったと思うので、今後はスイーツのプラモデルの開発に挑戦したいです。それぞれが『おいしそう!』と思う形に、自由に楽しんでいただけるとうれしいです」と話してくれた。

素人も玄人も楽しめる秋東精工のオリジナルプラモデル。おうち時間を持て余した人、何かに没頭したい人はぜひトライしてみてほしい。

取材・文=ウォーカープラス編集部


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