サイト内
ウェブ

窪塚愛流、俳優としての成長の裏に父・窪塚洋介や井浦新からの学び「楽しい仕事なんだろうなと思っていた」

  • 2022年1月29日
  • Walkerplus

元さくら学院の新谷ゆづみ、日髙麻鈴のW主演作『麻希のいる世界』が2022年1月29日(土)から公開される。重い持病をもち、無気力に生きる青野由希(新谷ゆづみ)と、圧倒的な歌声を持ちながらも問題児扱いされる牧野麻希(日髙麻鈴)を中心に描かれる本作。思春期らしい感情の揺れや周囲の大人との関係など、ジクジクと心が痛むような高校生たちの姿を描く。

そんな本作で、由希と麻希の関係を快く思わないながらも、二人のバンド活動に協力することになる伊波祐介を窪塚愛流が演じる。物語を大きく動かす祐介の役作りや、本作で共演している井浦新とのエピソード、父・窪塚洋介との関わりについて聞いた。

■演じた祐介は真っ直ぐな気持ちを持ったキャラクター
――本作『麻希のいる世界』は、『さよならくちびる』などを手がけた塩田明彦監督のオリジナル作品ですが、脚本を読んでまずどんな感想をもちましたか?

【窪塚愛流】祐介は学校で人気者だけど、祐介が求めているのはそういうことではなく由希の気持ち。なのに、本当に求めているものが手に入らないんです。真っ直ぐな祐介の気持ちをしっかりと受け止めてくれる人がいないことが悲しいなと、最初に思いました。

――そんな祐介を演じる上でどんなアプローチをしたんでしょうか?

【窪塚愛流】祐介は自分に自信があって思ったことをすぐ口に出すタイプなので、大きな声でハキハキとしゃべって相手にしっかり伝えるということが、演じるうえで大切なのかなと思いました。「良くも悪くも裏表がない真っ直ぐな人」だと塩田監督がおっしゃっていたのですが、演じてみて改めてその通りだと思いました。僕も思っていることを伝える方ですが、これは言わない方がいいかなとか考えて、あとになってモヤモヤすることもあるので、自分の気持ちを率直に相手に伝えられるというのは素敵なことだと思います。

あと、軽音部の部長でギターが弾けるという設定だったので、僕もギターを練習して。弾いていくうちに、祐介との繋がりを感じることができました。

■撮影をきっかけに始めたギターが今では趣味に
――ギターは今回が初挑戦ということで、かなり苦労されたそうですね。

【窪塚愛流】ギターが弾けなかったら祐介じゃないので、準備期間も短く、ものすごいプレッシャーではありました。基本的な演奏は、ギターがものすごくうまい友達に教えてもらたんです。そのおかげもあって、ある程度弾けるようになりました。ただ、撮影で弾くコードは簡単って言われていたけど、指が届かなかったり細かい動きがあったりでかなり苦労して…。毎日1時間以上は必ずギターを触って特訓しました。

さらに、ギターが弾けるだけじゃなくて、ライブパフォーマンスで場を盛り上げる表現力が必要だったことも大変でした。ほかのバンドメンバーは軽音の経験者で、その中で一番目立つ役なのに、僕が一番そういう経験がなく、人前で弾くシーンという緊張感でさらに壁にぶつかりました。本番前日の練習で初めて音源を流さずに自分たちの音だけで合わせてみようとなって、その時にメンバーとの一体感も生まれて感覚を掴めたんです。それがなかったら本番でも苦戦していただろうなと思います。

――撮影をきっかけにギターが趣味になったそうですね。

【窪塚愛流】自分で曲を作ったことはありませんが、好きな曲を弾き語りしたり、僕がギターを弾いて友達が歌ったりしています。「マリーゴールド」とかあいみょんさんの曲から弾き始めて、菅田将暉さんの「さよならエレジー」とか、ポップで早いメロディーにも挑戦しました。今はbacknumberさんの「高嶺の花子さん」も得意な曲のひとつです。結構難しい曲ですがメロディーがすごく好きで練習しました。

洋楽を聞くことの方が多いですが、みんなが知っている邦楽の方が、弾いたら誰かが歌ってくれたりして盛り上がるんです。

――ほかに趣味や興味のあることがあれば教えてください。

【窪塚愛流】きれいな景色や空が好きなので、iPhoneでよく写真を撮っています。見返すことはあまりないですが、景色を切り取ることがすごく好きです。

――完成披露舞台挨拶で「窪塚さんには人を惹きつける力がある」と塩田監督が発言されて、その場では自覚がないと返されていましたが、時間を経て思ったことがあれば教えてください。

【窪塚愛流】自分としてはポジティブ思考で、明るくてよく笑っているタイプだと思うので、周りにもそういう人が集まってきてくれるのかなって思います…(照)。友達も、出会う人たちみんな明るくて優しくて素敵です。自分の周りに悪い人や不機嫌な人はいないな、と思います。

■井浦新からもらった、支えになっている言葉
――事務所の先輩である井浦新さんとは、ドラマ「あのときキスしておけば」に続き、今回も親子役ですね。本作での共演シーンは多くないですが、お話はされましたか?

【窪塚愛流】実は、映画の撮影のほうが先で、ドラマの撮影が後でした。映画の撮影の時はあまりお話しできなかったのですが、共演できたことがすごくうれしかったです!

僕、すごく人を見ちゃうクセがあるんです。お芝居の経験がほぼゼロでわからないことだらけだったので、お芝居はもちろん、井浦さんの現場での過ごし方などもずっと見ていました。

その後、ドラマの現場でまたご一緒した時には、セリフの言い方で悩んでいるところなど、お芝居について相談させていただいたんです。「別にセリフっていうのはきれいに言う必要はなくて、雑に言ってもいいんだよ」というアドバイスをいただきました。

その時は「雑って何だろう?」とすぐには理解できなくて、でも、あの時の僕は緊張もあって、セリフをセリフっぽく言ってしまっていたなと気付いて、「役の気持ちになって話せば、どんな言い方をしてもちゃんと聞こえる」ということなんじゃないかなと解釈しています。今では「雑に言ってもいい」という言葉が、お芝居をするうえでの支えになっています。

――ひとつ、大きな学びになったんですね。俳優という仕事をしていると、お父様でいらっしゃる窪塚洋介さんのお話もどうしても聞かれるんじゃないかなと思いますが、それに関してはどう感じていますか?

【窪塚愛流】父が出演した「池袋ウエストゲートパーク」がすごかったとか、そういう話は幼い頃からもう100回以上は人から聞いていて、ずっと言われ続けるのはすごいことだと思うし、父のことは好きで尊敬しています。かといって、僕の話をする時に父の名前ばっかりになったりするのは…。例えば自分のインスタライブの質問コーナーとかでは割となんでも話しているのですが、映画やドラマのインタビューで父の話ばかり聞かれるのは違うんじゃないかなという気持ちになります。

俳優、窪塚愛流として、しっかりと皆さんに認知してもらえるようになったらなくなるのかもしれませんが、正直、ネット記事のタイトルも“窪塚洋介の息子、窪塚愛流”じゃなく、窪塚愛流だけで書いてほしいです。ただ、実の息子なので、これからもそういうことからは逃れられないのだろうなとは思っています。

■俳優という職業について「父を見て、楽しい仕事なんだろうなと思っていた」
――その覚悟もされたうえで俳優の道に進まれたということですが、俳優になろうと思ったきっかけにはお父様が関係しているんですか?

【窪塚愛流】そうです、がっつり関係しています。自分が物心ついた時から俳優である父を見て、楽しい仕事なんだろうなと思っていました。辛いところや、大変な姿を僕に見せていなかっただけかもしれないですが、僕が見ている限りではすごく楽しんでいて、俳優になりたいというより、自分もそういう楽しそうな仕事がしたいなというのが一番最初の思いです。その後、俳優として映画やドラマに出演したい、という気持ちに繋がっていきました。

――お二人でお芝居の話をされることも?

【窪塚愛流】最近はあまりないですが、この映画の撮影前には相談しました。読み合わせをしてもらい、セリフの強弱や波の付け方についてアドバイスをもらったり、「暗い人がいきなりバンっとテンションを上げたら、見ていておもしろい」みたいな例え話を交えながら、表現の仕方を教えてもらったりしました。今はそれほどお芝居の話はしていませんが、気になったことがある時や大きな壁にぶつかった時に相談することはあります。

■「状況に左右されずにしっかりと演じられる俳優になりたい」と思ったエピソード
――楽しそうな仕事だと思ったのが俳優になったきっかけということでしたが、実際にやっている今はいかがですか?

【窪塚愛流】もちろん楽しいこともたくさんありますが、壁というか、自分の未熟さを目の当たりにしています。ドラマのオンエアを見て、つながりを意識しないで演じてしまっていたな、とか、今の笑顔は引きつっていたなとか、悔いが残る部分が毎回出てくるので、それを次の撮影に活かして、また次の課題が見つかってという繰り返しです。楽しくお仕事をさせていただいているけれど、自分は俳優としては、まだまだなんだなっていうのを最近すごく思います。

――では最後に、将来的にどんな俳優になりたいかというビジョンを伺いたいです。

【窪塚愛流】いろいろな現場を経験して、今はまず、どんな環境でも落ち着いてお芝居ができる俳優になりたいと思っています。別の作品で、冬の時期に夏のシーンを撮影したのですが、白い息が出ないように口に氷を入れて演じました。その寒さのせいで、普段は言えていたセリフがうまく話せなくなってしまって…。その時に、状況に左右されずにしっかりと演じられる俳優になりたいって思いました。それで今は、滑舌を特訓しています。

――芝居の基礎をしっかり鍛えることで自分の目指す、どんな現場でも余裕ある俳優になれるんじゃないかということですね。

【窪塚愛流】どんな作品や役柄ともしっかり向き合って、いろいろな役を演じ切れる俳優になりたいと思います。

撮影=小山志麻
取材・文=大谷和美

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。
Copyright (c) 2024 KADOKAWA. All Rights Reserved.