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コロナで亡くなった人とは顔を見てお別れできないの…?葬儀社社員の漫画が話題

  • 2022年1月2日
  • Walkerplus

2020年から続くコロナ禍の生活。ワクチン接種が進む一方で、新たな変異株も見つかるなど、今も先が見通せない状態だ。そんな中、葬儀社で働く新米社員・東さん(@azuman_____manga)がInstagramに投稿した漫画「コロナで亡くなった人と顔を見てお別れ出来ないの?」が注目を集めている。東さんに漫画を投稿したきっかけや、コロナ禍でのお葬式について聞いてみた。

■コロナで亡くなった人とも顔を見てお別れできる!発信して世間の風評を変えたい
「新型コロナウイルス感染症で亡くなった人は、感染防止のため遺族とは面会できないまま火葬されてしまう」そんな話を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。確かに感染が拡大した当初はそうだったが、ウイルスに関して色々なことが分かってきた今、状況は変わってきているようだ。

東さんの漫画では、遺体が「納体袋」に入っていれば通常通りのお葬式をしても問題ないと説明されている。東さんにこの話題を漫画にしようと思ったきっかけを聞いてみた。

「最期に顔を見てお別れもできずに火葬してしまうと、通常よりも深い悲しみや口惜しさがあると思います。報道や、有名人が亡くなるといった出来事でイメージが付きすぎてしまい、本当はお葬式ができるのに諦めざるを得ない方々を見て、もどかしさを感じていました。また、葬儀社として関わる中で、コロナで亡くなられた方が変に差別をされてしまっているのでは?と思う場面も。『新型コロナウイルスで亡くなったけれど、顔を見てお別れができた』という事例を少しでも発信することで、世間の風評を変えていけたらと思い、漫画にしました」

■普通のお葬式を可能にする「納体袋」とは?
通常通りのお葬式を行うために必要なのは、遺体を納める「納体袋」。ウイルスを通さない非透過性で、感染を防止する役割を持っている。コロナ禍以前は不透明で中の見えないものが一般的だったが、現在は顔の部分だけ、または全て透明で全身が見えるものがあるため、顔を見てお別れができるのだ。

ウイルスを通さないよう密閉されている納体袋だが、袋越しであれば故人に触れてもいいのだろうか。また、自宅でお葬式をすることも可能なのだろうか。そんな疑問をぶつけてみると、どちらも「もちろん大丈夫です」と東さん。

「医療従事者によってご遺体は納体袋に納められ、かつ表面を消毒されてから葬儀社に引き渡されるので、袋越しに触れても問題ありません。現在コロナで亡くなられた方への『特別扱い』があるのは火葬場だけで、火葬炉の指定や時間帯の指定があります。他に使用できる式場の指定もありますが、それ以外は家族葬や一日葬など、『普通のお葬式』が可能です」

コロナで亡くなった方に限らず、コロナ禍でのお葬式では、以前にも増して身内だけでの家族葬が増える傾向にある。その中で、東さんはあえて「家族以外にもお別れしたい人がいること」を遺族に伝えるようにしているのだそう。

「『コロナ禍だけど人を呼べ』ということではなく、違う形のお別れの仕方もあるということです。コロナ禍のお葬式では、ご家族以外の方も『参列は控えた方がいいかな』という意識があるので、代わりに供花や弔電を送るなど、他の方法を選択する方もいます。実際にコロナ禍になって、供花の数が少しですが増えました。前よりも家族葬を選びやすくなった今だからこそ、お伝えすることを心掛けています」

■お葬式は誰にでも必ず訪れる儀式。だからこそもっと知ってほしい
コロナで亡くなった方のお葬式だけでなく、一番泣いた弔辞の話や、逆に笑ってしまったエピソードなど、さまざまな漫画を投稿している東さん。人の死に関わる繊細な話題だが、「お葬式のことをもっと知ってほしい」との思いからSNSに投稿を始めたそう。

「結婚式は挙げない人もいますが、お葬式は1人1回必ず訪れる儀式。人が亡くなったら葬儀屋さんに依頼するのに、お葬式については知らない人がほとんどです。私自身、全く別の業界から葬儀会社に入社しました。そんな新米社員の私と一緒に、お葬式について知ってもらえたらと思います」

投稿する内容については「先輩社員に経験談を聞きに行ったり、現場の休憩時間に協力会社さんにヒアリングしたりして決めています。最近はフォロワーさんのお話を漫画にする機会も増えました。葬儀屋さんのリアルを描くことは、会社にとってマイナスイメージになるかもしれません。しかし失敗談を恐れないこと、そしてユーモアも忘れないようにしています」と、ありのままを伝えることを心掛けている。

最後に今後について聞いてみると、「説教くさくならないように気を付けながら、お葬式のことを発信し続けていきたいです。『お葬式』というよりは、『大切な人とのお別れ』を少しでも考えるきっかけになれば嬉しいです」と話してくれた。

人との繋がりの重要さを改めて感じるコロナ禍の今、東さんの漫画を通して、大切な人の存在を思い出してみてほしい。

取材・文=松原明子

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