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「子供が初めてたくさん学校のことを話してくれた」岐阜県のスターバックスと地元の中学生とのつながりで生まれたものとは?

  • 2021年7月28日
  • Walkerplus

岐阜県にある中央自動車道・恵那峡サービスエリア(下り線)は、御嶽山など岐阜の山並みに囲まれたのどかな雰囲気のSA。ここにあるスターバックス コーヒー 恵那峡サービスエリア(下り線)店(以下、恵那峡SA店)では、オープン以来、さまざまな地域との取り組みを行っている。しかし、コロナ禍で店舗内外での地域貢献活動は休止もしくは縮小される状況に。そんななか、20年11月、地元・恵那市立恵那東中学校の職業体験をオンラインで開催。中学生たちがフラペチーノ(R)のオリジナルカスタマイズ案を考え、それを実際に店舗でおすすめし、地域を大いに盛り上げた。

■未来を担う地域の子供たちに今できることって何?コロナ禍のパートナーたちの情熱

恵那東中学校の職業体験で中心となって動いたのが、シフトスーパーバイザー(時間帯責任者)の古山祐子さん。同中学校に娘さんが通っていた縁から、例年2年生が行う職業体験がコロナ禍の影響で中止になったことを知り、「未来を担う子供たちのために何かできないか」と考えたのがきっかけだった。

オンラインでは講話を聴く、ビデオを見るなど受け身のプログラムになりがちだが、「子供たちの自主性を育てることを大切にしたプログラムにしたい」とパートナー(スタッフ)と先生方とで、できることを模索。そうして考え付いたのが、「フラペチーノ(R)のオリジナルカスタマイズ案をつくる」という企画だ。約140人の生徒が、客層やカスタマイズに関する情報などをもとにグループごとに案を制作した。「この体験を通して互いを認め合ったり、誰かを批判するのではなく称賛したりサポートしたりする心を子供たちに伝えたいと思いました」と古山さん。

当日の生徒たちの様子は、「皆とても楽しそうに、熱心に取り組んでいた」と、当時2年生の学年主任だった水野雄介先生。恵那峡SA店との取り組みは初だったが、スタッフと対面や電話で何度も話し合ってプログラムを決めたそうで「地元で距離が近いからこそ密に相談できました。今年もまた一緒にできないか相談を始めたところです」と水野先生。

カスタマイズは全部で24案提出され、その中からスターバックスのパートナーたちが最優秀賞を発表。喜んだりがっかりしたり、子供たちのリアルな反応が画面越しに伝わってきたそう。

そして、最優秀賞に選ばれたのがこちらのフラペチーノ(R)。

発案者の加藤舞さんは「すっごく驚いて、わーってなりました(笑)」と発表当時の興奮を思い出して飛び切りの笑顔。「誰が飲んでもおいしいと思ってもらえるようにしたかった」と言い、店頭でおすすめされる12月という時季を考え、味を甘くしたことと、雪景色を表現したビジュアルがポイントだ。

興味深いのはカスタマイズ案を考えるだけにとどまらず、実際に恵那峡SA店、恵那店の2店舗で2週にわたっておすすめ販売されたこと。「自分たちのアイディアが店舗で形となり、誰かに届いていることを実感してもらうことが、子供たちの自己肯定感向上につながると考えたから」だと、ディストリクトマネージャー(地区担当マネージャー)の大江一磨さん。

実際その反響は大きく、子供たちだけでなく、その親や祖父母の三世代が店に足を運び、「今までにない経験で楽しい授業だった」「子供が初めてたくさん学校のことを話してくれた」など、たくさんの感想を直接聞くことができたそう。加藤さんも店に行った親子のうちの一人。

「お父さんが『選ばれるのはすごいことだ』って言って、お店に連れて行ってくれました。こんな経験ができてすごくうれしいです」(加藤さん)

また職業体験では講話にも力を入れ、スターバックスでの仕事にからめて「自分のいる環境で自分が楽しめることを見つけてほしいこと。そして一緒に過ごす学校の友達を思いやる大切さをお話しました」と古山さん。「一つひとつに感謝していきたいと思った」と言う加藤さんをはじめ、体験後の感想文でもその話に触れる生徒が多かったようだ。

■「地域を笑顔にしたい!」「誰もが住みよい街にしたい!」という思いで続ける地域貢献

恵那峡SA店ではほかにも多くの活動に参加している。呼吸器に疾患がある方やご家族の会、介護施設などへ赴き、コーヒーを淹れて参加者と話しをしたり、レクリエーションをしたり。認知症の当事者やご家族などが集まる「ささゆりカフェ」は、こうした活動を知った恵那市役所から声がかかり、参加するに至ったそう。恵那峡SA店の活動が地域の人たちに受け入れられ、必要とされていることがうかがえる。

※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、2020年3月から現在まで直接のコミュニティコネクションの活動は休止、オンラインでの活動は実施している。

積極的に地域と関わる理由を、「その地域の課題が見えてくるから」と、ストアマネージャーの大内真吾さん。「少子高齢化やそれに伴う認知症患者の増加など、課題が分かればスターバックスとしてできることが考えられます。また、私たちの活動を広く知っていただくことで、誰かの心を動かしたり何か別の行動につながったりすると思うんです」

実際、地道な活動が輪を広げている。恵那店に隣接する眼鏡店にささゆりカフェを紹介。活動に共感したその店もカフェに参加するようになり、高齢者の眼鏡の修理を行うなどして地域住民と交流を深めているという。「地元の店や企業が多く参加することで悩みや困難を抱える人の行き場を作って誰もが生きやすい街づくりにつながれば」と古山さん。

こうした地域とのつながりにより、サービスエリアという立地ながら地元のお客様が多くを占めるという(一般道からも来店可能)。

「スターバックスがこの場所にあるから、私たちも地域の一員だと思っています。必要にされるお店として地域の皆さんの笑顔を増やしていけるようこれからも活動を続けたいです」(古山さん)

地域を明るく照らす役割を担い、これからもつながりは続いていく。

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