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改正健康増進法施行から1年、喫煙環境はどう変わった?喫煙スペース減少で新たなマナー違反も

  • 2021年4月2日
  • Walkerplus

健康増進法の改正により喫煙ルールが大きく変わってから1年。ネットエイジアは2021年2月に実施した「喫煙・喫煙スペースに関する意識・実態調査」の結果を発表した。コロナ禍の渦中での改正となった健康増進法は果たしてどう浸透し、喫煙を取り巻く環境や、喫煙者・非喫煙者の動向はどう変化しているのか。

■2020年の健康増進法改正、非喫煙者の認知率は54%
同調査では、20歳~69歳の男女から喫煙者500名、非喫煙者500名、全1000名を対象に、喫煙に関する意識や実態について調査を実施した。

まず、2020年4月の健康増進法改正施行を知っているかを聞いたところ、喫煙者(500名)は「詳しく知っている」が29.4%、「何となく知っている」が55.2%で、合計した『知っている(計)』は84.6%となった。一方、非喫煙者(500名)では、「詳しく知っている」が10.2%、「何となく知っている」が44.4%となり、『知っている(計)』と回答した人の割合は54.6%と、喫煙者に比べて低い認知率となった。

■喫煙者の4人に3人が「喫煙スペースを探し回ることが増えた」、喫煙所の減少は顕著に

では、具体的な喫煙環境の変化についてはどう感じているのか。「改正健康増進法の施行以降、喫煙できる場所の数がどのように変わったと感じるか」との質問に対して、喫煙者の68.8%が「減った」と回答。そのうち67.2%が「喫煙したくても喫煙できないときがあった」、41.9%が「喫煙スペースを探し回るようになった」と、喫煙スペースの減少によって喫煙をあきらめたり探し回るなどの不都合を感じていることがわかった。また、「喫煙スペースが混雑するようになった」(36.9%)と、少なくなった喫煙スペースに喫煙者が集中する傾向もうかがえる。

さらに、喫煙に関する各行動の増減に関する質問でも、喫煙者の75.3%が喫煙スペースを探し回ることが「増えた」と回答。喫煙所の減少が大きく影響をもたらしているようだ。

また、非喫煙者が見かけた喫煙者の各行動の増減についての質問では、2020年4月以降、喫煙スペースを探し回る人が増えたと回答した人が63.6%となり、改正健康増進法の施行により喫煙スペースが減った影響か、喫煙スペースを探し回る喫煙スペース難民に遭遇する機会が増えたと感じていることが分かる。

この他の行動では、「喫煙スペースからはみ出して喫煙している人」は「増えた」が54.1%、となった一方、「歩きたばこをしている人」は「減った」が65.3%、「たばこのポイ捨て(ポイ捨てする人やポイ捨てされた吸い殻)」は「減った」が65.9%という結果となった。

■非喫煙者の64%が「喫煙スペースは必要」、理由は「受動喫煙を避けることができる」が最多

喫煙スペースの必要性については、非喫煙者の『必要だと思う(計)』は64.4%、『不要だと思う(計)』は35.6%となった。喫煙スペースが必要だと思う人(322名)の理由でもっとも多かったのは「受動喫煙を避けることができるから」(63.7%)で、「禁煙場所で喫煙する人が減ると思うから」(50.6%)、「歩きたばこが減ると思うから」(43.2%)が続いた。一方、喫煙スペースが不要だと思っている人(178名)は、「においが漏れてきそうだから」(64.0%)、「煙が漏れてきそうだから」(60.7%)と、喫煙スペースから煙やにおいが漏れ出てくることを忌避する人が多かった。

また、非喫煙者に「どのような喫煙スペースがあるといいと思うか」と聞くと、「煙が漏れない」(74.8%)と「においが漏れない」(67.6%)の2つの回答が多かった。喫煙所に対する考えにかかわらず、完全分煙を徹底してほしいという思いがうかがえる。

さらに、非喫煙者の多くが求める「煙やにおいが漏れないような最新設備の喫煙スペース」について、どのような場所にあるといいと思うかという質問では、喫煙者・非喫煙者ともに1位は「駅前・駅周辺」(喫煙者65.4%、非喫煙者60.8%)という結果になった。

■「お店が禁煙になったため行かなくなったお店がある」喫煙者の47%
改正健康増進法の施行で大きく変化した飲食店での喫煙ルール。2020年4月以降、「お店が禁煙になったため行かなくなったお店」があるか喫煙者に聞いたところ、47.2%が「ある」と回答。一方、非喫煙者では「2020年4月以降も喫煙が可能だったことで行かなくなったお店」が「ある」は11.8%となった。飲食店選びでは喫煙者側に選択の変化が如実にあらわれている結果となった。

また、店内での分煙として、喫煙専用室や加熱式たばこ専用室のある飲食店に対するイメージについて聞くと、喫煙者からは「きちんと分煙に取り組んでいる」に「そう思う(非常にそう思う・ややそう思う計)」と答えた人は80.0%、非喫煙者からは「そう思う(計)」が63.6%と、いずれも過半数が分煙への有効な取り組みと捉えていることがわかった。

一方で、「においが気にならない」では「そう思う(計)」喫煙者が68.6%だったのに対し、非喫煙者では42.8%に留まった。同様に、「子供連れでも利用できる」でも「そう思う(計)」は喫煙者が54.4%、非喫煙者が39.8%と、非喫煙者側は半数を下回った。


■喫煙スペース減少で新たなマナー違反も。適切な分煙環境の整備も一考
喫煙スペースの減少はコロナ禍で喫煙所が一時的に閉鎖されたことも影響していると考えられるものの、改正健康増進法施行以降、喫煙者の行動様式には確かな変化があらわれていることがうかがえる。特に、ポイ捨てや歩きたばこは減少したものの、少なくなった喫煙所の一極集中により、範囲外へのはみ出しといったマナー違反が増えた一因となっているようだ。

ただ、喫煙スペースからのはみ出しは「喫煙所で吸いたい」意向の裏返しとも読み取れる。“喫煙スペース難民”による新たなマナー違反増加や、密集による煙やにおいの漏れ出しなどの影響を防ぐために、煙やにおいが漏れない設備を設けた最新の公衆喫煙スペースの設置など、適切な分煙環境の整備も解決策のひとつといえそうだ。

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