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親子で“ガンプラ回帰”?コロナ禍に「こども用ニッパー」の売上が10倍になったワケ

  • 2021年1月2日
  • Walkerplus

2020年、新型コロナウイルス感染症の影響によりニューノーマル(新常態)時代を迎え、働き方はもちろん、人々のライフスタイルは変化を余儀なくされた。一方で、“おうち時間”の増加により、親子で「プラモデル製作」を楽しむポジティブな変化も表れているという。そこで今回、模型ツール専門店「ゴッドハンド」の営業事業部・村山さんにインタビューを実施。同社が販売する「こども用ニッパー」の売上が大きく伸びた理由について聞いた。

■高価格帯の工具が人気なのは「工作の楽しさを純粋に味わえるから」

プラモファンの間で、模型ツール専門店として確かな信頼を得ている「ゴッドハンド」。同社の営業事業部・村山さんによれば、 ラインナップとしてはニッパー、ヤスリ、筆、ピンセット、ニッパーメンテナンス用品があり、変わり種として彫刻刀スピンブレードや、交換式刃のアメイジングカッターがあるという。主力商品としては「アルティメットニッパーと神ヤスがメインになります」とのこと。

ゴッドハンドの代名詞である「ニッパー」は、通販サイトで7000円以上の値段で売られているものもある。これは模型用ニッパーとして一般的な値段なのだろうか。

「アルティメットニッパーは希望小売価格が4800円(税別)なので、やはり高額な部類にはなります。模型用ニッパーは安いもので1000円以下、実売3000円前後の価格帯の物が人気のようです」

いま、ニッパーは100円ショップで手軽に購入できるものもある。高価格帯の工具が支持されている理由について聞くと 「弊社のニッパーは、燕三条(新潟県の三条市と燕市は『金物の町』として有名)の刃物職人が手作業で刃付けを行う切れ味の優れた極薄刃になっています。そのため、職人技による切れ味のよいニッパーをご提供させていただいております」と村山さん。ニッパーの切れ味がよいことで作業の疲労感が軽減でき、切断後の作業も楽になる。使い方の提案も行っており、作業性を格段に上げることができるのだという。「“模型工作の楽しさ”を純粋に味わえるところが支持されているのだと思います」と村山さんは強調した。

とはいえ、高いクオリティの工具を生み出す苦労もあったようだ。

「苦労した点はニッパーの刃付けですね。切れ味を確保するために刃を極限まで薄くしていることで刃折れが起きてしまい、強度との兼ね合いを出すのにとても苦労しました。さまざまな刃折れの防止機能や刃の見直しを行い、皆様が扱いやすい今の状態になっております」

■親子で楽しむ「プラモデル回帰」は数字として表れている

2020年を振り返ると、コロナ禍による“巣ごもり”で模型製作を楽しむ人が増えているという。実際、朝日新聞DIGITALによれば、模型大手タミヤ・田宮俊作会長の「前年比で30%以上増えた。生産が間に合わず、世界的に商品が足りない」との声が報道されていた(2020年12月27日)。

では、ゴッドハンドの売上に変化はあったのか。その点について村山さんは「アルティメットニッパーは職人が手作業で刃をつけている都合上、生産数が上げられず売上はあまり変わらないです」と回答。続けて「ほかの商品、特に神ヤス(スポンジ一体型の布ヤスリ)は、お陰様で売上が昨年比50%増しとなっております」と教えてくれた。

コロナ禍で外出できない親子が模型作りを一緒に楽しむ…そんな様子が目に浮かぶ。事実、こうした親子で楽しむ「プラモデル回帰」は数字として表れているのだそう。

「弊社で取り扱っている『こどものニッパー』(税別3200円)の売上が、コロナ禍に入ってから約10倍となりました(※2019年5月~2020年4月と2020年5月~2020年11月までを比較)。つまり、模型に復帰した親御さんがお子さんにニッパーを買ってあげて、一緒にプラモデルを作っている証左ではないでしょうか」

しかし、同社のこども用ニッパーは3000円以上。この価格帯でも売れる理由は何なのか。

「よい工具を使うことで面倒な手間が省けたり、新しい改造に挑戦できたりします。弊社製品はそういった部分のお役に立てるように開発・設計を行っております。こうした点により、模型工作の“楽しさ”を親子で共有体験できるのだと思います」

2021年を迎えた今、「プラモデル業界」の展望を聞いた。

「コロナ禍により家の中で模型を作る方が増えました。この増えた方々が少しでも模型に楽しさを感じて、模型工作を続けてくれるようにするのが課題だと考えています。弊社の工具が少しでもそのお役に立てるように、引き続き努めて参ります」

取材協力:模型ツール専門店「ゴッドハンド」

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