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防災のプロに学ぶ!災害発生時の行動と簡単に備えられる防災術

  • 2020年9月9日
  • Walkerplus

近年、地震や津波、台風などといった自然災害が毎年のように発生している。今一度、災害時の対応や対策を見直したいところ。そこで、阪神・淡路大震災の経験を語り継ぐ防災関係の研究機関「人と防災未来センター」の研究員・河田慈人さんに、地震や台風などが起きた場合に困ること、また普段から備えられることについて、被災者の実体験も含めて聞いてみた。

■海のある町で震災が起きたらどうする?
「海のある町にいる場合、津波の被害に備えましょう。地震発生時は大津波警報など情報を待たずに、真っ先に内陸部の高台を目指すことが重要。東日本大震災発生時、名取市や仙台市では海岸より7km以上の内陸部にまで津波が押し寄せた記録があります。これを自身の町に置き換えて考えておくことが必要です。例えば、私は大阪駅にいる時にもしも南海トラフ巨大地震が起こったなら、上町台地へ歩くと決めています。自宅、職場など、この場所にいる時はここへ逃げるという万が一の場合の避難場所を想定しておくことが大切です」

■エレベーターの中に閉じ込められないためには?
「大阪北部地震時には、66000基のエレベーターが緊急停止し、エレベーター内に閉じ込められるという事態が339件発生しました。2009年からは『地震時菅制運転装置』が導入され、緊急時に自動で最寄りの階に停まるたエレベーターが設置されるようになりましたが、過信せずに緊急時にはすべての階のボタンを押すようにしましょう」

■通勤中、帰宅中に震災が起きた時はどうすればいい?
「大阪北部地震では、大勢の帰宅困難者が出ました。そのため、通勤中に公共交通機関が使えなくなった場合を想定しておく必要があります。大きな地震が起こった場合、電車は動かなくなると考えておきましょう。駅で滞留していてもどうにもならないですから、自宅までの経路と途中に立ち寄れる避難所情報などはおさえておきたいところです。また、今のような暑い時期は飲料水は必携。スマートフォンのバッテリーも必ず持ち歩くようにしましょう。ヒールを履く女性は、万が一に備えて職場にスニーカーを置いておくのもおすすめです」

■キッチンにいる場合は何をすべき?
「熱くなった調理器具や油などでケガをする可能性が高いので、まずは慌てずその場からすぐ離れることを優先しましょう。火災の心配も出てきますが、震災時にガスは緊急停止します。ガスの火を消すことを第一に考えるよりも身の安全を第一に考えましょう。阪神淡路大震災では、朝ごはんの準備をしていた方が台所の棚の下敷きになったり、飛んできた冷蔵庫で大怪我をしたなどの報告があります。普段から台所を整理整頓し、家具を固定させておくことが大切ですね」

■無防備な入浴時の震災に備えられることは?
「入浴時に震災が起こった場合、洗面器で頭部を守りましょう。揺れが収まってから、鏡が割れていないかなどに注意して慎重に浴室から脱出を。また、水は貴重な資源になるため、湯船の湯は抜かないように。過去の例では、入浴時の震災で停電したため、真っ暗な中手探りで浴室から出て服を着た方もいますので、脱衣所にも懐中電灯を用意しておくことをおすすめします」

■就寝時の震災を想定して対策できることは?
「寝ている時は無防備のため、就寝時に地震が起きると状況を理解するのに苦労します。阪神・淡路大震災でも、数多くの人が寝室で家具や家の下敷きとなって亡くなりました。そのため、寝室には背の高い家具を配置しないこと。また窓側に家具を配置すると、倒れた拍子に窓ガラスが割れる可能性も高いので危険です。また、裸足で割れたガラスなどを踏んでしまうと危険なので、寝室にスリッパや靴を用意しておくのもいいでしょう」

■災害が起きてから備えず、起こる前に備えること!
「大阪北部地震などの災害時には、買い占めも含めて様々なものがお店で手に入らなくなります。今年の新型コロナウイルスでもマスクが手に入らなくなりましたが、2009年の新型インフルエンザの教訓から、常にある程度のマスクを備蓄するようになった方は慌てることがなかったはず。

ちなみに我が家では、緊急事態を想定し、トイレットペーパーを常に約50ロール備蓄しています。自分が備えておくことで心のゆとりを持つことができますし、また新型コロナウイルスでトイレットペーパーが手薄になった際に困っている知人や友人に配ることができました。

物資を準備しておくことで、震災時には困っている方達と助け合い、家族や知人、友人も守れるはず。人の心を大切にしながら、災害が起きてから備えるのではなく、起きる前に備えることを徹底してほしいですね」

■ハザードマップの活用&避難指示が出る前に避難を
「普段からハザードマップで自宅周辺のリスクを理解しておきましょう。避難の基本は、海や河川からより遠くへ移動する”⽔平避難”。過去の災害では、夜間に台風が接近したり、夜中に大雨が降ったりしたことで被災するケースが多数ありましたので、なるべく明るい安⼼安全な時間帯に避難しましょう。よく誤解されますが、避難指示を待ってはいけません。避難指示が出る前に避難をし、避難指示が出たタイミングでは避難が完了しているように行動してください」

■避難経路は事前に確認
「指定避難所に逃げるだけが避難ではありません。過去の災害では、カーナビを頼りに避難しようとしたところ、川近くの道を通ろうとした車が浸水したケースがあります。避難経路は事前に考えておき、声を掛け合って避難してください。もし自宅周辺が浸水や土砂災害の危険性があれば、早めに安全な場所にある親戚や友人の家に避難させてもらうなど多様な避難を考えましょう」

■冷凍庫に水の備蓄など、日頃からできる対策を
「台風が近づくと、備蓄食やポリタンクなどが売り切れます。令和2年の台風10号では、水や養生テープが手に入らなくなりました。慌ててネットで買おうとしても売り切れていたり、台風が接近するなか届かない可能性もあるので日頃から備蓄することを意識して欲しいですね。

簡単にできる対策としては、水を冷凍庫に備蓄しておくこと。停電時には冷蔵庫を保冷することに役立ちますし、断水時の飲料水の確保にも繋がります。また窓ガラスは、普段からUVカット遮熱飛散防止のフィルムを貼っておくと、光熱費の節約にもつながりますし、台風の時に飛散防止対策を慌ててする必要もなくなります。一石二鳥を狙った防災対策を心掛けていただければと思います」

《今回話を聞いた人》
人と防災未来センター 研究員 河田慈人さん
京都大学防災研究所 巨大災害研究センターなどを経て、平成30年4月より現職。防災教育や早期避難、地域防災を専門とし、数々のメディアで防災に関する情報を発信する。

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