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材料は本物のパン!ミニチュアパンアクサリー作家・Ryeさんの憧れが詰まった作品作りの極意とは

  • 2020年8月1日
  • Walkerplus

昨今、大人のコレクターズアイテムとしてだけでなく、全国各地で教室やワークショップが開かれ、作り手側への注目も増しているミニチュア。今回は、まるで本物のようなミニチュアパンを制作しているパンアクセサリー作家のRyeさんにインタビューを実施。制作のこだわりやミニチュアの魅力について聞いた。


■ふっくらとしたミニチュアパンのリアルさは「パンと同じ材料」で再現

――これまでにたくさんのミニチュアパンを制作していますが、最も反響があった作品はどれですか?

【Rye】パンケーキや山食などシンプルなシリーズと、具が鮮やかなハンバーガーやサンドの作品は毎回反響がありますね。

また、“あったらいいな”シリーズも人気です。“あったらいいな”シリーズは、実際にはないものを作成しているので、インパクトを大事にしています。普通だったらありえないサイズバランスや、「食べにくいけど見ためがかわいい!」ものを作っているんです。

――なるほど!Ryeさんの作品を見ていると、どれも指先サイズだとはわからないほどのリアルさですよね。どうやって作っているのでしょう?

【Rye】基本的には本物のパン生地と同じ材料を使っています。

――本物のパンと一緒!どうやって保存できる状態にしているのですか?

【Rye】低温で長時間焼いて、カラカラになった状態を加工剤で封じ込めています。本物のパンと同じく生地に水分が残っていると腐りやすいので、完全に乾燥させるのがポイントなんです。

プラスチックのような永久的な強度はありませんが、基本的な加工はしているので、ニスやマニキュアなどで定期的に補強すれば、より長く楽しめますよ。

――そうなんですね。でも、なぜ本物のパンの材料でミニチュアを作ろうと思ったんですか?

【Rye】大学卒業後に会社員として働きながら、趣味でパンを焼いていたときに、たまたまネットで“パンでできたマグネット”を見つけて、「ちょっと小さく作ってみよう!」と始めたらハマりました。

――ということは、もともとミニチュアを作りが趣味だったというわけではなく、むしろパン作りがお好きだったんですね。

【Rye】学生のころから、パン作りの上手な姉に憧れていて、姉が実家に残したテキストを参考に、パンの勉強をしていたんです。結局、パン屋さんになる夢を追わずに、パンと関係のない業界の会社員になったんですけどね。

■「お菓子の家」のような憧れが詰まった作品は“菌”にまでこだわる

―― ミニチュアパンを作る上で、大切にしていることは何ですか?

【Rye】パンの魅力って、ふっくら膨らんで香ばしい焼き色が付いていることにあると思います。ここで重要になってくるのが、“菌”の働きなんですね。

ミニチュアでパンを作るときに、この“菌”が入っていないと粘土細工のように平面的な感じになってしまい、重く仕上がってしまいます。だから、パンの種類ごとに“菌”の微妙な調整をして、ベストな配合を決めているということは大切にしていますね。

――“菌”という細かい部分まで注目しているとは…!ほかにも、本物さながらのミニチュアパンを作るための秘訣があれば教えてください。

【Rye】作りたいものを自分の目で見て、どうなっているのかを確認し、制作することが秘訣だと思います。でも、実を言うと、私の作品は12分の1スケールのミニチュア作家さんやサンプル屋さんに比べて、まったく本物に似つかないレベルのできだと思っています。だから、本物とはまた別の魅力を見つけてもらえたらうれしく思います。

――とてもリアルな作品に見えるので”本物とは別のもの”として楽しんでほしいというのは意外でした。

【Rye】私の作品は、例えるならヘンゼルとグレーテルに出てくる「お菓子の家」なんだと思います。お菓子の家って、屋根は何でできて、窓はどんな大きさで、色は何か…というのがぼんやり浮かぶ程度ではっきりしたことはわからないじゃないですか。それと同じで私の作品は、それぞれが「こうであってほしい」と思う憧れのイメージを形にしているんです。

■ミニチュアの魅力は「理想の空間・世界が作れること」

――きっかけはパン作りといいながらも、ずっとミニチュアパンを作り続けていますよね。ずばりRyeさんにとって、ミニチュアの魅力とはなんでしょう?

【Rye】理想の空間・世界が作れることです。現実だけど非現実でもある空間を自分の作品で演出できたら、また一つの世界が作られる。そんなところに魅力を感じながら作っています。

――おうち時間が増えた今、ミニチュアに興味を持つ人も増えていると思います。そんな読者の方へ一言、お願いします。

【Rye】おうち時間を拘束されていると思わず「家にこんなにいていいんだ!」とポジティブにとらえられたら、今までよりも視界が開けて、創作意欲が増すのではないかなと思います。

ミニパンはちょっとの粉とイースト、水分でできますよ。イーストがなければ果実の皮や花からできる自家製酵母を使えば、のんびり楽しめます。パンのモチモチの生地に触れているとホッと癒やされますし、毎回表情が違うのがパンの楽しさです。小さいだけでかわいらしいミニチュアパンの制作をぜひご自宅で楽しんでみてくださいね。

――今後の目標、これからの活動予定などを教えてください。

【Rye】ネット販売は引き続き受け付けて行く予定です。あらかじめこのメニューを作っていますという告知はインスタグラムでさせていただいていますが、パン屋さんと一緒で、その日その日で出せるパンの種類は変わるので、ぜひ注目していただければと思います。

また、見てくださっている方々が自宅でミニチュアを学べるよう、オンラインでの教室も予定しています。


取材・文=於ありさ

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