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一度は失われた酒米で造る日本酒「穂増」の誕生秘話!オンライン日本酒講座「SAKE(酒)×NOMY(学)」第13弾レポ

  • 2020年7月24日
  • Walkerplus

蔵元とともに自宅でこだわりの日本酒を楽しめるオンラインテイスティングイベント「SAKE(日本酒)x NOMY(学)」の第13弾が、7月19日(日)に開催。熊本・花の香酒造の酒造りの魅力や、現代に蘇った酒米「穂増」の復活秘話が語られた。

「SAKE(日本酒)×NOMY(学)」は、毎回異なる日本酒の蔵元をゲストに招いた、オンラインテイスティングイベント。オンラインミーティングアプリ「Zoom」を通し、蔵元から直接、日本酒や蔵にまつわるエピソードや日本酒の魅力を聞きながら、参加者に事前に送られるその酒蔵の特別な酒を味わえるという内容だ。

第13回目は日本遺産にも認定された菊池川流域の熊本県和水町で、同地の水と米にこだわった酒造りをしている花の香酒造から、蔵元の神田清隆さんが登場。同蔵は7月の九州集中豪雨で浸水などの被害を受け、オンラインイベントの開催も危ぶまれたが、「こんなときだからこそ熊本を伝えたい」という想いから開催が実現した。

今回テイスティングしたのは「穂増」「菊花」「和水 生もと」の3銘柄。菊花以外の2本は非売品扱いで、すでに蔵にも現物が残っていないという貴重な日本酒だという。中でも穂増は、今回はじめて仕込んだという新銘柄で、一度は酒造の世界から姿を消した熊本の在来種「穂増」という酒米を使用したもの。菊池川流域の農家たちが3年前に再発見し、わずか40粒の種籾から復活させることに成功。現在、同米で日本酒を造っているのは花の香酒造のみというオンリーワンの1本だ。

神田さんは「江戸時代の酒米を、江戸時代に主流だった生もと造りで今によみがえらせたノスタルジックな味」と穂増の魅力を語り、視聴者からも「優しくて神秘的」と味の感想が寄せられた。また神田さんは、「かなり淡麗に仕上がっているので、古きよき江戸の香りを感じられるよう、グラスの縁が小さなものを」と、グラス選びのコツも教えてくれた。

さらに、イベント中盤には穂増を栽培する米農家の実取義洋さんがゲストとして参加。神田さんとともに、穂増を使った酒造りにまつわるエピソードを語った。

在来種で稲そのものの生命力が強く、肥料を使うとどこまででも大きくなって稲が倒れてしまうことから、自然農法で栽培している穂増。実取さんによると収穫量は一般的な酒米の半分程度で、よりよい酒造りのために選別すると使用できる酒米の量はさらに減ってしまうという。

こうした背景もあり、日本酒「穂増」には精米歩合などの情報をあえて記載しなかったという神田さん。「穂増はスペックで言うと純米酒になりますが、(米作りなどの)裏の部分が反映されていないのに、『純米吟醸ならこのぐらい』というようなグレードごとの目安で価格が決まってしまうのが嫌だった。米作りや酒造りにこれだけこだわっているので、今後は(米を)磨くこともやめていきたいという思いがあります」と、古来の酒造りへの情熱をのぞかせた。

このほか、蔵元セレクトの熊本ご当地おつまみや、「全量ドメーヌ和水町」をうたうほどの土地へのこだわりなども語られた同イベント。気になる次回の「SAKE(酒)×NOMY(学)」は、7月31日(金)、若波酒造の蔵元3名を招き開催。さらに8月2日(日)には伯楽星で知られる新澤醸造店が登場する第15回も開催される。蔵元イチ押しの銘柄や希少銘柄を楽しみたい人や、普段はなかなか聞けない日本酒造りのストーリーを知りたい人にはおすすめのオンラインイベントだ。


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