下田出身・村崎なつ生さんが集英社ノベル大賞で準大賞 デビュー作発売へ

  • 2025年5月19日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 下田市出身の作家・村崎なつ生さんの小説「いつか忘れる君たちへ」が、2024年集英社ノベル大賞の準大賞を受賞した。本作品を改題・改稿した「片付かないふたり」が5月19日、デビュー作として発売された。(伊豆下田経済新聞)

 デビュー作「片付かないふたり」の書影(関連画像3枚)

 集英社ノベル大賞は集英社と一ツ橋文芸教育振興会が主催する公募文学賞で、1983(昭和58)年に創設され、今年で43年目を迎える。入選者には大賞・準大賞・佳作のいずれかの授与と、文庫デビューが確約されている。2024年は1600を超える応募作品の中から準大賞3作が選ばれ、村崎さんの作品はその1つ。

 村崎さんは現在、会社員として働く傍ら、執筆活動を続けている。子どもの頃から本を読むのが好きで、好きな作家の物語を読んでは「自分もこんな物語を書いてみたい」と思っていたという。

 初めて小説を書いたのは高校時代。ネットの掲示板に投稿した作品に反応があったことで、自分の作品を読んでもらえるうれしさを知ったという。

 受賞作は、片付けコンサルタント会社に勤める決断が苦手な女性が主人公。効率よく物事をこなす女性社長に憧れ、ファッションや生活スタイルまでまねている。物語はある朝、彼女の部屋で目を覚ました見知らぬ男性との出会いから始まる。「自分を片付けてほしい。定位置を見つけてほしい」と語る彼は、そのまま彼女とルームシェアすることになり、奇妙な同居生活がスタートする。

 この物語の着想は、数年前にミニマリストと出会って「物を持たない生活を小説にしたら面白そうだと思った」ことだという。「何かを捨てる考え方は、物語の中では批判的に描かれがちだと感じていた。でも、良い悪いではなく、どちらの考え方も必要になることがあるのではと思いながら書いた」と振り返る。

 テーマをあえて設定せずに書くことが多いという村崎さんは、自然と女性が主人公になる作品が多く、「日常で思い当たる違和感や、心の機微を取り上げたい」と話す。現在は次回作の構想も進行中で、「AIと人間のロマンス的な物語にしたい」という。

 「いつかは伊豆を舞台にした作品も書いてみたい。短編集になるかも」と、地元への思いも募らせる。

 発売は集英社オレンジ文庫から。288ページ。715円。

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