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別府大で菊池恵楓園絵画展 「『知らない』を観に行こう。」

  • 2025年5月26日
  • みんなの経済新聞ネットワーク

 国立ハンセン病療養所菊池恵楓園(熊本県合志市)の絵画クラブ「金陽会」の作品展「『知らない』を観(み)に行こう。」が現在、別府大学(別府市北石垣)の佐藤義詮記念館で開かれている。(大分経済新聞)

 恵楓園内に残る監禁室を描いた中原繁敏さんの「鎖」

 金陽会は1953(昭和28)年に発足。指導者がいない中で入所者が思い思いに絵筆を走らせてきた。制作した絵は管理されていなかったが、元熊本市現代美術館学芸員の藏座江美さんらが2016(平成28)年に調査と保存活動を開始。2025年までに950点を確認するに至った。

 作品展は入所者が絵を描いていたことや、いまだに続くハンセン病問題の偏見や差別を知ってもらう目的で、2018(平成30)年から熊本県内外で開催している。20回目の今回は、藏座さんが同大卒業生であった縁から大分で初めて開くことになった。

 会場では、会員10人(うち8人が故人)の油彩画など30点を展示。作品一点一点に作画背景などを伝える説明文を添える。

 吉山安彦さんは、入所者自治会の運転手時代に通りかかった臼杵の風景を描いた「セメント工場地帯」や2025年の新作「菊池渓谷」などの大型作品を出品した。中原繁敏さん(故人)の「鎖」は恵楓園内に残っている監禁室を描いた作品。6歳で発病し、1年しか学校に通えなかったという木下今朝義さん(故人)の「遠足」は「恵楓園の宝」ともされる。説明文では「満開の桜を見ながら列を作って菜の花畑を歩いた遠足は、仲間に入れてもらえなかった木下さんが、仲間と行動を共にした唯一の記憶だったのかもしれない」とつづっている。

 開館時間は9時~17時30分(5月31日・6月1日は13時まで)。観覧無料。6月1日まで。

 主催者によると、菊池恵楓園には現在約120人が入所しており、平均年齢も90歳近くになっているという。金陽会会員の高齢化も進み、今も絵を描いているのは96歳の吉山さん1人となっている。

 ハンセン病は「らい菌」による慢性感染性疾患。四肢や顔などに変形や機能障害を残す。治癒可能の病気だが、国の患者隔離政策などで差別や偏見が広がった。1996(平成8年)の「らい予防法の廃止に関する法律」から始まった一連の賠償裁判が終結した今も社会問題として残っている。

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