美術家・淺井裕介さんが4月22日、金沢21世紀美術館(金沢市広坂1)でボランティアと共に壁画を制作する様子を公開した。(金沢経済新聞)
壁画制作の様子
公開したのは泥絵を制作する様子。館内の交流ゾーンにあるマイケル・リンさんの壁画の上に設置した長さ27メートルのパネルの上に描いている。泥絵は4月29日から開催する企画展「積層する時間:この世界を描くこと」に展示される作品の一つ。同美術館の募集に応じたボランティア97人が分担して参加し、淺井さんと共に共同制作している。ボランティアの年代は10代から80代まで。中には大阪から参加する人もいるという。
淺井さんは国内外のさまざまな所で泥絵を制作している。泥はその土地の土を採取して作り、制作には現地の人の手を借りる。金沢での制作に当たっては、土を採取するフィールドワークを能登で行った。採取地では歴史や被災の話などをヒアリングした。水害に遭った家からかき出した泥や、被災した建物の廃材を燃やした灰も泥に混ぜるために採取したという。最終的には能登を中心に40カ所から採取した土などから88種類の泥を作って作品に使う。
大きなはだしの足が大地に接する様を大胆に描いた淺井さんは「足元にいる生命にも目を向けて自然の豊かさを感じてほしい」という思いを表現したと話す。参加するボランティアには「大きな壁画だが小さな筆で少しずつ描いてもらっている。みんな丁寧に作業に集中してくれる。どの国でも、絵を描いたことがない人であっても同じ」と感謝する。