「緑のgoo」は2025年6月17日(火)をもちましてサービスを終了いたします。
これまで長きにわたりご利用いただきまして、誠にありがとうございました。
Nゲージ専門の鉄道模型レンタルレイアウト店「TOKYO N-Train」(八王子市初沢町)が4月12日に開業し、1カ月がたった。(八王子経済新聞)
「八王子N広場」から継承し約10メートルの直線の線路を敷設
高尾駅南口、駅から徒歩2分の高尾パークハイツB棟2階にオープンした同店。2006(平成18)年に高尾駅北口に開業し、2023年末に閉業した鉄道模型レンタルレイアウト店「八王子N広場」の設備やノウハウなどを継承し、クラウドファンディングなども活用して今回、店をオープンした。
約120平方メートルの店内には、「八王子N広場」の設備とノウハウを生かして作ったという約10メートルの直線の線路を設置したほか、さまざまな路線を展開。在来線、新幹線などの模型を走らせることができる。6月上旬には新たな路線も利用できるようにする予定。
ジオラマ製作は八王子に拠点を置くミニチュア・ドールハウス作家の谷本朋子さんらが中心となって手がけた。山間部から平野部、都市部、臨海部へと向かう構成になっており、昭和50年代前半の雰囲気を表現した。ジオラマの中には有料で広告の看板を置けるようにしているほか、5月中旬からはジオラマの一部を年間契約で貸し出し、利用者が好きな建築物などを設けられるようにする「東京ジオラマ不動産」と名付けた活動も始めた。
店内にはこのほか、子ども向けのレンタルレイアウトも設置しているほか、鉄道写真や信号機などの展示、ショーケース、谷本さんのアトリエも用意している。客から要望があればジオラマに置く模型の製作も請け負う。
「八王子N広場」閉業の話を聞き、その設備などを継承しようと、「TOKYO N-Train」代表を務める古林佳樹さん、谷本朋子さん、夫の谷本広幸さん、商品企画などを手がける狩野雅代さんら地元有志が協力し、新施設開業に向けたプロジェクトを始動した。昨夏にはクラウドファンディングで支援者を募り、150人以上から約160万円の資金を集めた。線路の敷設やジオラマ製作などに時間がかかったこともあり、約1年半をかけて開業にこぎ着けた。
高尾にアトリエを設けている谷本朋子さんは「『N広場』が閉店すると聞き、すぐに古林さんにコンタクトを取って、設備を受け継げないか交渉しようとなった。引き取る人がいなかったら処分する予定だったと聞き、同じ市内で引き取ってもらえるならうれしいと一切合切引き受けた」と話す。
「もともとやる予定だったわけではなく予算もあまりなかったので、クラウドファンディングを利用した」とも。「『N広場』のファンは多く反響も大きかった。今でも八王子の市外からクラウドファンディングで知ったという方が手伝いに来てくれることがある」と古林さん。
ジオラマは学生が桜並木の下を行き来する様子を表現するなど細部までこだわり、製作には1年以上かかったという。古林さんは「『N広場』はあまり情景には力を入れていなかったので、情景をしっかりと作り込もうと作家とともにレイアウトを考えた」と話す。
谷本朋子さんは「本格的なNゲージの造形はやったことがなかったし、ミニチュアとはスケール感も違うが、何も知らなかったがゆえにチャレンジ精神の方が大きかった。路線のレイアウト決めが難航し、それが決まらないと情景も作れなかったが、埋められるところから埋めていこうという気持ちで進めた。これまで思い出を形に残すことをテーマにしてきたので、今回はノスタルジーをメインテーマにすることにした」と話す。
オープンから1カ月がたち、土曜・日曜を中心に多くの利用があるという。「メインのお客さまが50代、60代より上の方なので、裾野は広げていかないといけない。子どもたちがプラレールを卒業した後、Nゲージにいけるような仕掛けを作っていくことも私たちがやらなければいけないこと。Nゲージに興味はあったけど触ったことがない方が気軽に参加できるような企画も進めている」と谷本さん。
古林さんは「定点カメラを設けることで、自分の模型電車が走っているところを見られるようにしたり、ジオラマに照明を付けて夜のイベントを行ったりしたい。鉄道好きな玄人の方だけでなく、高尾山に来るようなファミリー層や海外の方にも訴えかけていきたい」と意気込む。
利用料金は、2時間在来線向け=2,600円~、同新幹線向け=2,800円~、1日(8時間)=9,300円~ほか。見学は500円。営業時間は11時~19時。完全予約制。予約は同店のウェブサイトで受け付けている。木曜定休。