敦賀市在住の女性が現在、地元の魅力発信を目的とする写真集の制作に取り組んでいる。(福井経済新聞)
誌面より。市内の神楽町1丁目商店街での一こま
タイトルは「敦賀日和」。敦賀市出身で市内のコミュニティーFM局パーソナリティーなどを務める「ゆい」さんが、同市など福井県内在住のフォトグラファーやデザイナーらと共に、7月下旬の出版に向けてプロジェクトを進めている。
ゆいさんによると、制作のきっかけは2023年に市内で行われたポートレート写真展「若狭フォトライン」という。「私がモデルになった作品を見た人から写真集出版の声を頂いたものの、出版の方法などが分からず応えられずにいた。その後、ラジオ番組に出演した時に写真集制作の思いを口にしたことが転機となり、プロジェクトが具体的に動き出した」と振り返る。
写真集出版を見据えて昨年5月、知己のクリエーターらとの地域プロジェクト「敦賀女子」実行委員会を発足。同年7月から、市内の四季折々の風景をゆいさんがナビゲートする、旅日記風の写真をインスタグラム上に発信してきた。
プロジェクトに参加するフォトグラファー4人が手がけた作品をまとめた今回の写真集。誌面には撮影地紹介、4人のコメント、ゆいさんのメッセージなども盛り込む。ゆいさんは「私をモデルにした写真集というより、市外の人たちが敦賀を訪れるきっかけになるような一冊を目指した」と話す。
印象に残るロケ地として、ゆいさんは子どもの頃の記憶とリンクするというスポットを挙げる。「実家から自転車で行ける範囲にあった『原子力の科学館 あっとほうむ』の坂道は、あまり知られていないサクラの名所。写真を見た友達も『あの坂道だよね』とすぐに反応してくれて、子どもの頃の楽しい思い出がよみがえってきた」と笑顔を見せる。
「10年ほど前に体調を崩して療養生活を送った経験が『敦賀女子』の活動の原動力」とも。「入退院を繰り返して気持ちが落ち込んだ時期を周りの人たちの支えで乗り越えることができた。だからこそ、元気になった姿を見せて地元に恩返しをしたいし、今やれることは何でも挑戦していきたいという気持ちにもなっている」
大学時代の4年間を除き、人生の大半を敦賀で過ごしてきたというゆいさん。「夏から春にかけて撮影を進めるにつれ、地元の魅力をもっと発信していきたいという思いが強まった。北陸新幹線開業などで町の姿は変わりつつあるが、先人が残したものを大切にしながら、この先100年たっても『いい意味で変わらない町』であってもらえたら」と地元への思いを口にする。
出版に合わせ、7月21日、多目的ホール「きらめきみなと館」(桜町)で出版記念イベントを行う。イベントでは写真集の販売を行うほか、フォトグラファーとのトークセッション、撮影地当てクイズ、参加者対象のプレゼント抽選会などを予定する。
仕様はB5判112ページ。価格は2,500円。300部限定。