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Vol.09 趣味が仕事、シゴトが趣味の趣味仕事人
体験学習ファシリテーター 教育手法研究家 二宮 孝さん

  • 2008年6月1日

体験学習ファシリテーター 教育手法研究家 二宮 孝さん

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PROFILE

1955年東京都新宿区生まれ。
アドベンチャー教育、アウトドア教育、環境教育を束ねてファシリテイトしている。その中で個人の成長とグループの成熟を支援・促進すること…が、シゴト。一風変わったところでは『国際クマ会議』などにも出席。また資格オタクの一面も…(本人談)
スローハス調理師。LOHASコンシェルジェ

今回ご紹介するLOHASコンシェルジェは二宮孝さん。不得意なことは「自己紹介」と言うだけあって、ひと言で言い表せないお仕事をなさっています。でも「ワタシがLOHAS」に最も相応しい人物でもあります。知る人はみな「にのさん」と呼んで親しんでいます。

簡単に仕事内容を箇条書きにして頂くと…
 ・ 体験学習プログラムの指導者養成
 ・ 教員研修(教育委員会)や企業研修の講師
 ・ 応急手当やテーピングあるいはレスキュー講習会の講師
 ・ アメリカ型のオーガナイズドキャンプ(サマー・スノー)の企画実施
 ・ LOHASツアーのコーディネイト
 ・ 学生・生徒対象の自己研鑚または資格発行ワークショップ
 ・ その他 料理教室講師(笑)等(詳しくはNPO体験学習研究会ホームページ
だそうで、そのための資格は以下でした。
MEDIC FIRST AID(国連認知の応急手当)国際インストラクター、レスキュー3 SWFR、キネシオテーピングトレーナー、アドベンチャー教育トレーナー、環境教育(Project WILD Project Learning Tree)指導者養成トレーナー、GEMS(理数系体験学習プログラム)リーダー、日本山岳ガイド協会所属ガイド、CONEトレーナー2種、プロスキーヤー、ノルディックストックウォーキングインストラクター、調理師、LOHASコンシェルジェほか

それでは実際の活動をもう少し紐解いて語っていただくことで、「持続可能な地球環境と健康を意識したライフスタイル」の実践に近づいてみましょう。

塩づくりはLOHASの原点

 塩分を控えないと高血圧をはじめ各種疾病のリスクが高まると一般的に思われていますし、お医者様もそうおっしゃいます。これは我が国では昭和46年からイオン交換膜式により電気的に取り出した高純度の塩化ナトリウムを専売公社を通じて国民に与えたことが根原だと言えそうです。自然海塩には各種ミネラルが含まれているので、塩分摂取過多に思えても大丈夫というのが、最近では定説になりつつあるようです。理由の一つはナトリウムを体外に排出する役目を果たすカリウムもまた含有ミネラルの中に含まれているためです。

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 さらに伊豆大島の海洋深層水に含まれるミネラルは驚くべき高濃度(海洋深層水フォーラムDATAによる)だそうです。塩づくりの活動はこれを100リットルほど購入してビニールハウスの中で雨露をしのぎつつ、平釜を薪で焚いて煮詰めていく作業を繰り返します。塩分濃度が上がり、結晶ができてからは、暫く煮詰めたのち塩とにがりに分離します。

 大量の汗と煙と目や鼻への刺激に苛まれるつらい作業の末、しょっぱいけれどやさしい味の塩が出来上がります。3日間をかけてアルカイーダのごときイデタチで行う体験ですが、伝承文化や生命に欠かせない塩のありがたさに気づくのみならず、塩からはじまる無限大の世界にLOHASの繋がりを感じる有意義な活動でもあります。伊豆大島に限らず、実は日本中の海岸でできる素晴らしい活動なのです。 このつづきは、自作の海洋深層塩を使って、味噌作りや料理教室に発展するとさらに一層「健康や環境への意識」が高まるのだそうです。

グループビルディングのファシリテーター

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 ゲームやアクティビティあるいは自然体験活動を通じて、グループの人と人の絆を次第に強めていきます。楽しく過しているうちに信頼関係が構築されていくのが実感できます。そればかりかフィードバックを伝えたり、受け入れたりできる関係にまでなっていくから不思議です。この中に微妙にアドベンチャーの要素が織り込まれているからヒトは協力するのだとか…。「ぼくのチカラというよりはプログラムのチカラであり、グループのチカラです」と、にのさんは言い切ります。

 学校の先生方の研修やワークショップ、はたまた企業研修の講師をする機会も年間だと相当回数にのぼるそうです。アドベンチャー教育(主にProject Adventure)をベースに実施するわけですが、にのさんが日本の学校教育に最初に導入した張本人だというから頷けます。

 屋内屋外を問わず、目前の課題にグループで取り組んで解決していきます。そんな時人はそれぞれ「こうするといいぞっ」と思うので、他者との違いをすり合わせるのに戸惑います。あるいは手間取るわけです。この体験のふりかえりからグループを成熟させ、合意を作り、誰にとっても居心地のいい「場」を形成していく過程にグループで取り組みます。

 このとき、「蟻の目」と「鳥の目」が重要になります。今この場所に全力でかかわることとともに、鳥瞰図的に離れて客観視する双方の態度が望まれます。にのさんはこれこそがLOHASな行為だと感じています。「緊急性においてはプライオリティが低いようでも、重要度の高いことを後回しにしたりつい忘れたりする傾向は誰にでも見られます。たとえば人間関係を築くことや家族との時間、手間をかけた調理や健康維持増進のための行為等々は重要度の高いことですが、緊急性が乏しいのでついなおざりにしがちです。」これらに気づいてもらう研修が持続可能な未来のために養いたい能力だと考えてのことです。

 「もし日本中の学校の職員室がチームビルディングをしたならば、今とは比べものにならないチカラを発揮できる教師集団になるに違いないと思う」と言い、「これを僕らは『フルバリュー職員室』と呼ぶんですよ」と教えてくれました。ん〜確かに!

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