33歳で乳がんの宣告。抗がん剤、手術、放射線治療を経た漫画家が伝えたいこと【インタビュー】

  • 2025年5月5日
  • レタスクラブニュース
『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より
『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より / (C)ななぽよ

もし子育ての真っ最中にがんを宣告されたら、あなたならどうしますか?

イラストレーターのななぽよさん(@nanapoyodiary)は娘がまだ2歳で授乳中のときにがんを宣告されてしまいます。幼い娘を育てながら、抗がん剤治療、両胸を全摘出する手術、そして放射線治療とフルコースでがんの治療を行い、現在は経過観察の状態になっています。

その経験を綴ったコミックエッセイ『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』を今年2月に発表。がん宣告にショックを受けながらも、病気としっかり向き合い、治療したその経緯を丁寧に描いています。

まずは作品の内容についてご紹介しましょう。

『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします』あらすじ


 『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

初めての育児で乳腺炎に悩まされたななぽよさん。胸や脇がパンパンに腫れて40度の熱を出したり、乾燥で血が出そうなほどに乳首がガサガサになるなど、様々なトラブルに見舞われます。

 『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

娘ももうすぐ2歳になるというタイミングで、ななぽよさんは胸のしこりに気づきます。しかし、このときはまだ授乳による乳腺炎のなごりとしか考えていませんでした。

『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

ななぽよさんは帰省から家に戻る前に乳腺の詰まりを見てもらおうと、軽い気持ちで病院を訪れます。しかしマンモグラフィやエコー検査の後、医師に「生検しましょう」と言われます。突然がんの疑いで検査をすることになったななぽよさんは激しく動揺します…。

『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

検査を受けた病院からの連絡を受け、再度病院を訪れたななぽよさんは、母親と娘の同席する中でがんを告げられます。ここから長い闘病生活が始まるのでした…。

このコミックエッセイについて、著者のななぽよさんにお話を伺いました。


著者・ななぽよさんインタビュー


――まず、はじめにこの作品を書こうとしたきっかけを教えて下さい。

ななぽよさん:
闘病中に、がんから元気になった人の情報を泣きながら毎日検索していました。自分に近い世代でステージ3C以上というと中々情報が少なくて…。もし元気になれたら私がみんなの希望の星になりたいと思っていました。元々イラストレーターなので、情報を発信するなら漫画だと思いました。夢が叶って出版できたことを嬉しく思います。

『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

――胸のしこりに気づいたのは娘さんがまだ幼く授乳中の時だったそうですが、乳腺炎など胸トラブルが多発する時期なので、なかなかがんの可能性に思い至らなかったのではないかと思います。この頃は胸のしこりについてどのように考えていましたか?

ななぽよさん:
産後に乳腺炎になったので、また乳腺のつまりだと思っていました。痛みがなかったので病院に行かず家でマッサージなどをしていました。




――しこりに気づいたあとしばらく経ってから病院を受診されていますが、検査を受けることを決めたきっかけを教えて下さい。

ななぽよさん:
お正月だったので転勤先の東北から、関東の実家に帰省していました。たまたまその年が豪雪で、雪が落ち着くまで実家にいることになり、母に娘を預けられるうちに乳腺のつまりを病院で診てもらおうと軽い気持ちで受診しました。受診の時点では乳がんだとは思っていなかったので、帰省中じゃなければ受診していなかったと思います。

――生体検査を受けて結果が出るまでの間はさぞ不安で落ち着かなかったのではないかと思いますが、この時の心境について教えて下さい。

ななぽよさん:
人生で一番辛くて長い一週間でした…。「生検」「乳がん」などで調べては、悪い情報に当たって落ち込んだり…。食欲もなくなり体重も3kg減りました。



『33歳ママ、乳がんステージ3でおっぱいにサヨナラします 寛解までのポジティブ闘病記』より

――卒乳を検討する時期に差しかかってたとはいえ、断乳を決めた時は残念な気持ちもあったのではないかと思います。断乳の時の心境について詳しく教えて下さい。

ななぽよさん:
娘は本当におっぱいが大好きだったので、大泣きして私も辛い気持ちになりました。今はがんでも授乳は問題ないとわかるのですが、当時は知識がなかったのでがんかもしれないおっぱいをあげ続けるわけにはいかないと思って泣く泣く断乳しました。最後の授乳はムービーに撮り、今でも時々見返しています。大切な宝物です。

――この作品を通して読者の皆様に伝えたいことを教えて下さい。

ななぽよさん:
がんになっても人生は終わりじゃないと言いたいです。標準治療で寛解した私の治療の道のりが、誰かの勇気になるかもしれないと思っています。医療従事者の方や支える側の人、がんになってもう二度と幸せになれないと思って泣いている人に届いて欲しいです。

   *    *    *

同じ病気の方の希望の星になれたら、と自身の体験をマンガに綴ったななぽよさん。がんの宣告にショックで泣いた日のことも、乳房をすべて切除する手術を決めた時のことも、様々な治療に立ち向かう様子も丁寧に描いています。同じ状況にある方にとっても、その家族の方にとっても、病気に向き合う勇気をくれる作品です。


※こちらの記事で紹介した症状や検査方法は著者の場合のものです。ご自身が検査や治療を受ける場合は、必ず診察を受けた上でご担当の医師にご相談ください。

取材・文=レタスユキ

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