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第52回日本漫画家協会賞ノミネート! 現代の働き方や育児のモヤモヤを描く『夫ですが会社辞めました』著者に聞きました

  • 2024年4月17日
  • レタスクラブニュース


ある日突然会社にいけなくなってしまった夫と、それを支えるために大黒柱になった妻。
そんな家族を中心に、男女の役割や働き方が少しずつ変化していく社会の中で、今どきの夫婦が抱える身近な悩みを繊細に描いて共感を呼んでいる漫画作品が『夫ですが会社辞めました』です。

神奈川県葉山町在住の漫画家・とげとげ。さんが地元を舞台にして描いたこの作品は、2021年9月にWEB連載スタート。累計PVは4000万を超え、2月にはシリーズ第2弾の電子書籍も発売されました。

さらにこの作品は、昨年の第52回日本漫画家協会賞において「萬画部門」の最終候補作品に選ばれました。惜しくも受賞は逃しましたが、長い歴史のある賞にノミネートされたとげとげ。さんに、当時の思いを伺いました。


『夫ですが会社辞めました』はどんな作品?



仕事に追われるうち、ある日突然会社にいけなくなってしまった会社員の川田俊。妻の沙月は行き詰まった状況を変えるために、海沿いの葉山の街へ引っ越すことを提案します。



妻は大黒柱として外で仕事に専念、夫は主夫として家事と育児を担当。そんなふうに役割を変えてみたものの、最初のうちは状況への不満や不安が積み重なっていきます。



「男なのに働いてない」という偏見や、「家計をひとりで支えること」の重圧など、夫婦はそれぞれ目に見えないプレッシャーを日々感じています。時に不満を押し殺したり、時に激しくぶつかりあったりしながら、ふたりは自分たちの家族にとって心地よく暮らせる方法を模索していくのでした…。


著者・とげとげ。さんインタビュー


──「夫ですが会社辞めました」が第52回日本漫画家協会賞の最終候補作品に選ばれました。候補作品に選ばれたと聞いた時はどんなお気持ちでしたか?

とげとげ。さん: 応募したことをすっかり忘れていたので、とにかく驚きました。認めてもらえたことが嬉しくて、泣きました。

──選考会の日はどのように過ごされたのでしょう?

とげとげ。さん: 編集部のみなさんが「受賞連絡待ち会」を開いて下さったので。美味しいパンなどをつまみつつおしゃべりしながら待ちました。

──残念ながら今回の受賞は逃しましたが、候補作品となったことは励みになったのではないでしょうか?

とげとげ。さん: 自信がなかったので、「面白いよ」と太鼓判を押してもらえたような自信になりました。そしてここまでやってきたこと、これからやりたいことの方向は間違っていないと思えるようになりました。



──この作品は「主夫」と「大黒柱妻」をテーマにした物語でしたが、読者からはどのような反響がありましたか?

とげとげ。さん:器用そうで社交的に見える意外な人から、『わかる』と共感をいただくことがありました。前作で描いた、社会と馴染めなかったり、人と上手に関われなかったりする『モヤモヤ』は、わりと誰もが抱えやすいものなんだと改めて実感しました。

──主人公の主夫に共感する声が多く寄せられたんですね。

とげとげ。さん:反対に、『夫なんだからしっかりしてほしい。頼りなさ過ぎる』と、会社を辞めて主夫になった主人公を責めるようなコメントも多くありました。これがもし逆だったら…妻が仕事を辞めたのだったら、ここまで言われないのではないかと思いました。時代は進んでいても価値観を変えるのは難しいと痛感しました。

──今後、この作品でどんなことを描いていきたいか教えて下さい。

とげとげ。さん: 連載を始めて3年目ですが、この3年で育児や仕事、親子をとりまく環境は大きく変わったように思えます。以前なら冗談として扱われていたものがモラル的にアウトになったり、ジェンダーレスを目指して物事の扱い方も変わってきたり。そんな時代ならではの背景を描きつつも、みんなが隠したりやり過ごすようなモヤモヤや生きづらさを深掘りして描いていきたいです。



    *    *    *

この『夫ですが会社辞めました』には、一組の夫婦が自分たちにとってあるべき姿を模索する様子を中心に、人間関係に疲弊する会社員やワーキングマザーの葛藤、育児の悩みやママ友トラブルなど様々な社会問題が描かれています。さまざまな問題に直面しながらも、少しずつ前に進もうとする夫婦の姿は、現代社会に生きづらさを感じる人々に共感と勇気を与えてくれます。


取材・文=レタスユキ

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