「集団行動にイライラする」「先に帰りたくなることがある」。これがいつものこととなると、発達障害の傾向がありそうです。
せっかちで早とちりすることが多いEさん(33歳)には、メールや LINE のやりとりを最後まで読まない困ったクセがあります。
先日も変更を知らせるLINEのやりとりを最後までよく読まなかったためにハイキングの日程変更に気づかず、違う日に行ってしまいました。
不注意と衝動性のせいでやりとりの全体を見ないで判断し、かってに思い込んでしまったようです。ADHDの衝動性は「せっかち」という特性となってあらわれることがあります。
また、ADHDの人は集中力に問題があり、事務連絡のメールなどを最後まで注意深く読むのが大変です。
結局、後日に行くことはできましたが、楽しいはずのハイキングで、今度はみんなの歩みが遅いことにイライラしてしまいます。ADHDの人の中には、人とペースを合わせるのが難しく、集団行動が苦手なASD的な傾向をもつ人もいます。
待つのも苦手なため、「早くして!」と周囲をせかしたり、あからさまにイライラしてしまったりということが起こりやすいです。
メールやLINEのやりとりはきちんと最後まで目を通して、最後の句点まで読むように気をつけましょう。
自分は早とちりしがち!ということを普段から意識して、声に出してチェックしたり、指さし確認したりする習慣をつけるのもいいですね。目で文字を読むことと、読んで耳から聞こえることとでダブルチェックになるからです。
また、視覚的に確認するとミスを防ぎやすいので、ADHDの人のスケジュール管理には、スマホのスケジュールに加えて、カレンダーなどの紙に記入して両方で確認することをおすすめします。
さらに、LINEやメールに返信するときに、「〇月〇日〇時に〇〇駅に集合、了解しました」と確認しながら書いて送ると、思い違いがあれば相手が指摘してくれ、気づくことができます。
教えてくれたのは…司馬理英子先生●司馬クリニック院長。医学博士。岡山大学医学部卒。1983年渡米。アメリカで4人の子どもを育てるなか、ADHDについての研鑽を深める。1997年に帰国し、東京都武蔵野市に発達障害の専門クリニックである司馬クリニックを開院。以来、子どもから大人までの治療を行っている。