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Vol.94 さて、いよいよ僕の講座スタートが近づいてきました。

  • 2012年3月29日

 みなさん、こんにちは。無事にソロ・ツアーを終えて、ひと息つきたいなと思っている北山陽一です。が、もちろんそんなヒマはなくて、前回お伝えした“うた”講座に向けて、まさに待ったなしの状態です。

僕の講座スタートが近づいてきました  前回ご紹介したおおまかな構想を見て、スタッフから「この講座は“うたを聴く”よりも“うたを歌う”ということに比重をおいたものなんですね」という指摘がありました。確かに、大学という場では“歌う”という、感覚的で固定化されていない行為を云々することよりも、音源化されていたり映像化されている作品を鑑賞し批評する、というようなことのほうが取り扱いやすいだろうし、もっと言えばそういう内容を選ぶべきなのかもしれませんが、それでは僕が講師をやる意味がない、というふうにも思うわけです。あるいは、僕の講座を受ける以前には普通に“ああ、凄いなあ”と聴けていたのに、講座を受けたおかげで“ここで、こういう筋肉を使ってるんだよな”とか、そういうことにも気が向いてしまったりして、歌を聴くということを無邪気に楽しめなくなってしまうというような、ある種の弊害も出るかもしれません。それにしても、僕の授業では鑑賞よりは実践についての意識の問題が中心になると思います。

 僕は子どもの頃から“俺は歌手になる!”と思ってずっと歌ってたという人間ではなくて、歌う上での素地みたいなものに関して肉体的にはほぼ皆無の状態で20歳まで育った状態から歌手活動を始めました。だから、いろいろわかるんですよね。で、そういう状態で始めたから、理論的にやるしかなかったんです。僕が17年やってきたことのなかで、“こうやったら歌に良かった”、あるいは“こうやったら歌に良くなかった”という経験から、“こういうことなんじゃないかな”という話をすることになると思います。

 先に言っておきますが、この講座を受けたからと言って歌が上手くなるわけではないです。ただ、歌うということがより楽しくなるということは請け合いです。サッカーでもオフサイドをめぐる駆け引きとかわかってくると見ててより楽しくなってくるでしょ。そういう意味で、歌手として歌手を見る、ということの楽しさは確実に増えると思います。それに、少なくとも歌に興味がある人であれば、どんな人でも自分の身体を歌に向かわせることはできると思うんです。そのためのノウハウを紹介する講座ということになりそうですね。

 この講座のすべてを受講し終わったときに学生がどうなってるかというのは正直わからないんです。とりあえず、第1回目の講義で「あなたにとって歌とは何か」ということを書いて提出してもらおうと思っています。そこから一緒にスタートして、一緒に掘り下げていきたいんです。どこまで深く潜ることが出来るか、そしてそこから無事に上がって来られるのか。この講座の意義はそこにかかっていると思っています。

 最後に、この連載でも再三取り上げ、僕自身も取り組んでいる音楽を通した社会貢献というテーマについては、“うた”というものを分解しきって、そこからまた再構築して“うた”というものを提示した後に、その“うた”というものを重ねるということはどういうことなのかということを最後のところで紹介できればいいのかなと思っていますが、さて講師としての僕はどこまでやれるのか、自分でもすごく楽しみです。この講座でのようすも、折にふれてご紹介していきますので、お楽しみに。


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