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Vol.64 まずは去年を振り返ることから始めてみます。

  • 2011年1月13日

 

謹賀新年  みなさん、あけましておめでとうございます。年をまたいで絶賛ツアー中のゴスペラーズ、北山陽一です。

 というわけで、この連載も新年第一回目は逆の形で年をまたいで、去年を振り返ることから始めたいと思います。去年の初めに、この連載でも「1年の抱負」としてできることとやりたいことを整理したいという話をしましたが、2010年というのはたくさんある“やりたいこと”のなかで“できること”がかなり具体的に見えてきた1年だったと感じています。「ゴスペラーズの北山陽一」としてはもちろん、この連載でも再三ご紹介しているように個人的な創作活動や社会貢献に関する取り組みについてもかなりの手応えを得ることができました。

 特に、僕はこれまでずっと自分でやろうと思ったことは自分でやりきるという形でいろんなことをやってきた人間だったわけですが、そうではないやり方で自分がやりたいことを形にしていくやり方、つまりいろんな人と手分けする形で目標をクリアしていくという形がうまく進み始めているという実感があります。例えば。大学の後輩や友人たちが僕のやりたいことに共鳴して集まってくれているわけですが、集団に慣れて理解が深まってくるとそれぞれが主体的に意見を出し合ったりするようになります。向かっていく方向やその方法が、自分が最初に考えたものとは離れていきます。以前の僕はこれがとても不安だった。やはりどこかで「俺が」と思ってしまっていたのでしょう。ここ数年で少しずつ、僕自身の意識の変化として“赦す”ということをいろんな局面でようやくできるようになってきたことで、リスクや責任の分担に関する考え方が変わって、うまく行き始めているように感じているのです。

“赦す”というとちょっと大げさかもしれませんが、その感覚をわかってもらうには「宇宙兄弟」というマンガがわかりやすいんじゃないかと思います。僕も友人から勧められて読み始めて、目からウロコという感じに何度もなりました。宇宙で活動するための訓練を受けている人たちの物語なんですが、その訓練中、グリーンカードと呼ばれるモノが出てきます。名前のとおり緑色のカードなんですが、このカードは秘密裏に誰かのところにやってきて、プロジェクトを妨害する指令を誰にも知られずに遂行することを要求します。同じ目標に向かって一致団結することを求められる環境の中で、仲間に嘘をついてまで目標達成を邪魔しなければいけないのです。ただでさえ過酷な任務を自分の手でさらに追い込むのは精神的負荷は相当なものになりますし、何も知らない仲間は疑心暗鬼になったり、誰かを責めたりします。ただ、グリーンカードが全員に行き渡ったとき、面白い変化がチームに訪れます。グリーンカードに指令に因るものではないミスや事故、アクシデントであっても、「これもグリーンカードの指令なんだろう」と誤解して、お互いに赦し合うようになっていくのです。ミスによる不測の事態や事故が起きた場合、現場で最も大切なのはどう切り抜けるかであって、その場で犯人探しをすることではありません。腹を立ててもいいことなんて何一つない場合が殆どです。メンバー同士で赦し合うことがチームのポテンシャルを高めることがあるという話は、頭ではわかっていてもなかなか実践できないでいたことですが、このグリーンカードの存在を知ったおかげでそれが少しずつではあるものの僕もやれるようになってきたかなという感じです。もちろん、その“赦し合う関係性”には、メンバーそれぞれがちゃんとした主体性と責任感を持って行動するという大前提があるわけで、そのあたりについても僕がやっている軽音部や日妄研といった活動ではかなりうまく回り始めているなという手応えをつかんだ1年でした。

 今回は僕の外的環境についての2010年の成果を振り返りましたが、次回は内的な環境について振り返りたいと思います。

 さて、今年もこんな調子でやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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