Vol.45 春休みに九州、四国を旅してきました。

　みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
　今月は3回目のソロ・ライブがあります。で、２回目のソロ・ライブの感想をスタッフから聞かれて改めて振り返ってみたのですが、僕自身はもう去年の出来事のように感じます。１回目のライブが、例えば免許を取って初めて高速道路を走るようなものだとするとこの間の２回目のライブは初めて県境を越えた感じというか、だいぶ流れに乗れた感じでした。“そもそもオレはクルマの免許が取れているのか？”というのが１回目なので、その結果としてこれくらいのことはできるなというのがはっきりした次の段階として、2回目はコーラスを入れたりとか多少新しい要素も入れたりしてみたわけです。それは、自分ができなさそうなこととできることを混ぜてライブを構成するということを常にやっていきたいと思っているからで、今回もタイトルが「新学期」というくらいですから、まただいぶ雰囲気が変わると思います。
　で、本題は春休みの旅行の話。先のたとえ話がクルマの運転になったのも、3月半ばに自分でクルマを運転して10日間で約5000キロを移動するという、なかなかにハードな旅をしてきたからです。
　まず簡単にその工程を紹介すると、最初の目的地は大分でした。そこに住んでいる友達に紹介してもらって、地元の環境関係の仕事をしている人に話を聞くつもりだったんですが、出発直前に実家から連絡が入り、急遽八戸に向かうことに。白山台中学校で「卒業生を送る会」に参加して、実家で両親と妹たち（犬２猫１）に挨拶してひきかえしました。滞在時間４時間弱。その後の大雪を考えると大正解でしたね。さて。話は戻って大分ですが。行ってみるとその方々がものすごく歓待してくれて、おいしいものと温泉に滞在時間のほとんどを費やしてしまいました（笑）。その人は地元の名士というか、とにかく地元の若い人を育てることに大きな歓びを感じていらっしゃるようで、その人の部屋には若い人がひっきりなしにやってきて、いろいろと教えを乞おうていくって感じでしたね。僕との話でも、新しい環境技術について質問されたり、逆に教えてもらったり、アイデアを交換したりと、とにかく意欲にあふれた魅力的な人でした。
　それから香川県の高松市に移動し、高松から船で豊島（てしま）というところと、その隣にある小豊島（こてしま）というところに行きました。１日目の昼間にまず豊島に渡り、見学ツアーで島を回って帰ってきて夕食後ミーティング。２日目は小豊島に行って、夜帰ってきた港でミーティングをして解散。その後、有志で温泉に展開（笑）。
　それから、また九州に向かい、熊本でゴスペラーズの村上てつやとskoop on somebodyのTAKEでやっている“武田とてつや”というソウル・デュオのライブを見ました。当初は１stステージを見せてもらったらすぐに東京に向かうつもりだったんですが、2ndも見たくなり、結果ステージにも飛び入りで出演させてもらっちゃいました。帰りは大学の後輩が同乗し、二人で運転を交代しながら走り続けて翌日の朝にはもう京都に到着。そこからちょっとスローダウンし、大津で高速を下りて「水の博物館」など琵琶湖周辺を見て回り、また彦根から高速に乗って浜松まで行き、そこで下に下りてうなぎを食べ（笑）、なぜかアミューズメント施設に行って3時間セットでスポーツに励み、疲れきって近くのビジネスホテルに宿泊。翌朝、日本平のレストランで朝食を摂って戻ってきました。
　京都に着いたところで、京都観光も考えましたが、“今回は環境関係のネタ探しの旅”というテーマだったので、琵琶湖方面を選びました。正解だったと思います。例えば今回初めて琵琶湖で風力発電の風車のふもとというか、土台の部分に行ってみたんですが、そこに立つとやっぱりかなりうるさいんです。近くに住むのは大変だなと思いました。風車から出る低周波のせいで近隣住民に被害が出ているというような話は聞いていたんですが、実際には低周波以前に風を切る音がすごい。建物の中に入るとそれほどでもないのかもしれませんが、こういうことは現場に行かないとわからないですよね。それに、5000キロもクルマを走らせていると、その途中で例えばトンネルを抜けるときに“このトンネルで便利になったこともあるだろうけれど、本当に必要なんだろうか？”とか考えます。そういうふうに想いを巡らせる時間は、僕にとってとてもいい時間でした。今回の旅は、そうした“現場”というものが持つ説得力とそこから生じる妄想刺激力を期待しての旅だったので、収穫は予想以上で、やりたいこと、やらなければいけないことが旅のなかでも新しくどんどん見えてきて、ちょっと悩ましい感じなんですが（笑）。
　次回は、まず豊島見学について詳しくご紹介します。