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Vol.38 新しい製品に購入する前に、新しい視点を生活に持ち込んでみては?

  • 2009年12月17日

 

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。
 この季節になると“歳末大売り出し”だとか“お年玉お得セール”といったフレーズが僕たちの物欲を激しく刺激するわけですが(笑)、財布の事情も手伝って、そうした刺激を自分なりにうまくコントロールしなければと考えている人は少なくないと思います。そういう意味では、昨今の不景気が新しい生活スタイルに向かうことを後押ししてくれるというふうに言えるかもしれません。身の周りの機器や生活スタイルのグレイドを上げていくのが従来型の豊かさだとすると、これからは与えられたツールを自分なりの使い方で自分なりの生活スタイルを構想し実践していくことが豊かさにつながっていくという発想を持つべきだろうと思います。
I wish you a Happy New Year !  具体的な話をしましょう。
 先日、たまたまテレビで「最新コンパクト・デジカメ・ランキング」みたいな企画をやっていました。ランキングの第3位はパノラマ撮影機能。第2位は指定した被写体の顔が小顔補正される機能。そして、第1位はプロジェクター付きなんです。このランキング、僕はなんかいいと思ったのですが、なぜいいと思ったかというと、ここまでくるとひとつの生活スタイルを提案してるなと思ったからです。たとえば、プロジェクター付きのデジカメなんて、買うほうも“こういうふうに使おう”という明確な意識がないと買わないだろうなと思われるところもすごくいい。
 電化製品は一般的に種類や機能が多過ぎて情報過多による思考フリーズみたいなことが起きるわけですが、こういう製品が増えてくればそういうことから解放されそうな予感がするし、似たりよったりじゃないラインナップになっていって、“オレはこれを選ぶ”ということを決めやすくなるような気がします。あるいは、どれかに対して“オレはこれをこういうふうに使ってみよう”というアイデアを何か思いつければ勝ちということになっていくのだと思います。言い換えれば、機械が成熟していくのに対応して使う側も成熟していかないとバランスの悪いことになってしまうということでしょう。 
 僕もカメラを購入するときに一度失敗したことあります。今から思えば、そのときの僕は写真を撮りたかったのではなく、カメラが欲しかったんですね。漠然と“欲しいな”という物欲だけでものを選ぼうとすると失敗するという典型だったと思います。もし、“こういう写真を撮りたい!”というイメージをちゃんと持っていれば、“このカメラじゃ駄目”とか“このカメラで十分”とか、そういう判断ができるんです。あるいは、“とにかく最高級のものが欲しい”という設定だっていいと思います。とにかく、日常生活のいろんな場面に際して、自分なりのイメージを持っているかどうかということが大きいのかなと思います。
 それから、この9月に初めてソロでライブをやりましたが、そこで再認識したことがあります。僕はゴスペラーズで15年歌ってきたわけですが、同じ歌うということでありながらソロで使える技術と使えない技術があることを改めて実感したんです。似た方向ではあっても同じ方向ではないので、ゴスペラーズで培った技術で掘り進むと速い場合もあれば、まったく歯が立たないから自分で新しい技術を開拓していかないといけない場面もありました。つまり、必要に迫られてある種のリセットを経験したということでしょう。仮に、ゴスペラーズでやっている音楽と僕がソロでやっている音楽が対極だとしても、例えばいままで見れなかったような視点からいままでやってきたことを見れるようになるというように、結果的には影響があります。他のメンバーに頼っていたことやグループであることに寄りかかっていたことで伸びてこなかった能力をソロでやるとなると伸ばさざるを得なくなったとして、それがまたゴスペラーズをやるときには還元されていくわけですよね。同じように、いま自分がどういうライフ・スタイルで生活しているのかということをみつめ直すためにも、たとえば30分だけでもゼロにしてみる。あるいは、いつもと反対のことをしてみると、いつもやっていることの意味が見えてくるっていう。そういう視点の切り替えって楽しいよなと最近特に感じています。
 最後に、今回が年内最後の更新になるので、月並みではありますが、来年の抱負を簡単に発表しておきます。自分には何ができるんだろうということと自分は何がしたいんだろうということを整理したいと思っています。3回目の年男でもありますし(笑)。
 それでは、みなさんもよい年をお迎えください。来年もよろしくお願いします。


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