サイト内
ウェブ

Vol.31 連載の新しい1年に向けてやってみたいこと その1

  • 2009年9月10日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 さて、今回から2年目の連載に入っていくわけですが、今月は新しい1年に向けて現時点でやってみたいなと考えていることをランダムにご紹介していきたいと思います。
 まず、ゴミ工場見学でも改めて思いましたが、やはり現場に行くのはいいですね。というか、どんなことにしろ現場に行かなければわからないことがたくさんあると思うので、今年はさらに外に出かけていく機会を増やしていきたいと思っています。
 この間も、最新シングル「宇宙(そら)へ 〜Reach for the sky〜」のつながりでJAXA(宇宙航空研究開発機構)の人と話す機会があったんですが、JAXAはいろいろな団体と共同で親子向けの宇宙講座というか物理講座というか、「理科を好きな子どもを増やす」というテーマのイベントをやっているそうです。それから、NASAのことはみんなけっこう知ってるけど、JAXAについてはあまり知らないというお話も聞きました。「宇宙開発にまわすお金があるくらいなら、環境保護に充てたほうがいい」という意見をよく聞くというお話も聞きました。以前、この連載でも「若い人たちはエネルギーを使って次の世代の幸せを考えるべき」というようなことを書きました(Vol.20参照)が、宇宙開発なんていうのはまさに次の世代の可能性を広げる分野です。次の世代の環境問題を考えるという意味でも、みんながそんなふうに近視眼的にならなければいいな、と思います。せっかくつながりもできたし、JAXAの施設か何かに見学に行くのも面白いかなあと思っています。

 それから、少し大げさな言い方になるかもしれませんが、「望ましい社会の姿を考える」ということを少しアピールしたいなとも思っています。例えばCO2を削減しようとか、“もったいない”という美徳を大切にしようと言われていますが、“その先に何があるのか? どんな世界があるのか?”ということを見据えている人はほとんどいないのではないかというのが、現在の僕の印象です。CO2削減や“もったいない”精神が世の中では良いとされていて、しかも自分も“確かにその通りだ”と思うからやるんでしょうが、でもその取り組みの行き着く先を考えたときに、“北極圏にシロクマがウジャウジャいる状態があなたの理想なんですか?”と言えば、そうじゃないと思うんです。おそらくは、ゴミがあまり出ないとか、コミュニティがしっかりしているとか、子どもたちをサポートするネットワークがあって治安も良くて、というようなことでしょうか。確かにどれも重要なポイントですね。ただ、ひとつ気をつけてほしいと思うのは、みんなが思う理想郷に近づけていくと何ものでもなくなってしまうんじゃないかということです。確かに理想的ではあるかもしれないけれどあまり人間的ではないというか。 和服 僕が思う「日本人が日本で目指してほしい社会」とは、自分が日本人であることをもっと意識する社会です。そういう社会になってほしいと思うんです。戦後、そういう意識が失われる方向に教育が進んだということがあるのかもしれませんが、あまりオリジンというか自分たちの起源みたいなことを考えなくなってるように思うし、伝統あるいは文化としてこの国に根付いているものにもっと触れるべきだと思います。音楽の話で言えば、演歌や民謡がもっとリスペクトされるべきだと思うんです。グラミー賞ではカントリーの部門はすごく重要な部門として認められています。それは、あの音楽がアメリカの魂だというふうに思われているからだと思うんですが、そういう感覚が日本にはないのがもの足りなく感じるんです。
 誤解しないほしいのは、僕が言っていることは今の形から昔の形に揺り戻そうというのではなく、今ある形にそういう要素を入れ込んでいけばいいんじゃないかなあということです。“古いものは駄目だ”という感覚は、最近のエコ・ブームのなかで少しずつ色あせてきている印象もありますから、その流れを生かして、“古くてかっこいいもの”をみんなでいっぱい探していきたいなと思います。

 さて、次回もひき続き、これからやってみたいことについて書いていきます。お楽しみに。

 

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。