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Vol.164 面白法人カヤックCEO、柳澤大輔氏との対話その2

  • 2015年2月5日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

 前回は、北山があまりの衝撃に唸ってしまったところで終わりましたが(笑)、第2回は柳澤さんのリーダー論/経営者論から始まります。

柳澤:これは仮説ですけど、3人とか5人とか仲間でスタートして最初は公平感があっても、多分リーダーになる人は自ずと決まっていくんでしょうね。カヤックの場合はたまたま同じ方向に変わっていくと言いましたが、3人なら3人全員がリーダー的かというと、それはわからない。ただ、過去にいろいろ見てきましたが、最終的にリーダーになる人は「他の人間が全員止めても、俺が絶対残していく。絶対やってやる」と言い切れる人なんだと思います。僕もそういう覚悟はもちろんあるし、他の二人も“仮に他の二人が死んだり、やめたりしてもカヤックをやっていく”という気概でやってるんだろうなという気がするから、対等だなという感覚があります。普通は、そういう覚悟の度合いの差というのが途中で出てくるのかもしれないですね。
北山:でも、3人が3人とも“俺一人になっても、この会社をがっちりやっていくぞ”という足並みの揃い方って、すごくかっこいいと思うなあ。
3人 柳澤:多分、そうしないと、会社の経営者になっていけないということだと思うんです。バンドは、“誰かがやめたら、そこで解散”というつもりでやってる場合もあると思うんだけど、会社の場合はそれは許されないと思うんですよね。経営者としては。いつかはどこかのタイミングで引退するんだろうけど、その場合も後継者を選んで引き継ぐというところまでが仕事で、その前に投げ出してはいけないと思うし。そう思ってるからこそ3人とも代表取締役という権限を持っているわけですけど、それは“僕ら3人がいなくなったらカヤックという会社は解散すればいいや、という思いでいると、それはもう経営者ではないんだな”ということを理解して自覚し、腹落ちしたときに、そういう覚悟になったということかもしれないですね。
北山:それは、いくつくらいのときですか。
柳澤:16年やってきたなかの、どこか途中で思ったんでしょうね。最初は、もちろんそんなことは思ってませんでした。3人でスタートして、無理なら解散すればいいや、くらいの気持ちで始めてるわけだから(笑)。そこからだんだんメンバーが増えていき、社会的責任も増えていく過程でそうなったんですよね。それこそ会社がもう個人のものではなくなったというか、パブリックなものになっていく中で、そういう意識になっていくということですよ。バンドもそういうことがあるんじゃないですか。
北山:ありますね。
柳澤:3人代表がいるというのは結構特徴的なことだとは思っています。会社としてパブリックな存在としてのルールに則りながら、代表が3名というような組織は他には少ないように思います。
北山:外からふんわり見ていると、その3人代表制も含め、会社のあり方や運営の仕方についてのひな形や常識みたいなものに対して、「本当に効率がいいの?」とか「本当にそれで楽しいの?」というふうに逐一見直しを行っている組織に思えるんですよ。
柳澤:ああ、なるほど。
北山:それは、そうしようと思って始めたんですか。あるいは、会社を面白がっているなかでそういうことになっていったんですか。
柳澤:16年やってきて一つわかったことは、いろんな実験を通して、会社とはどういうものなのかな?というか、会社を生き物のように捉えてきたんだけど、やっぱり生き物ではないんですよね。とても人工的なものなんです。だから、何の目的のために存在するのかという株式会社の原理原則に則っていくと、実態は冷たいものではあるんですよ。その根っこの部分を目指すわけでもない限りは、会社という組織でなくなってしまうというのは果たして世の中にとっていいことなのか?ということも考えるわけです。だから、その両方を満たすような存在になろうという決意と覚悟をした、ということだと思いますよ。
北山:がんばらなきゃいけないのは株式会社としてのルールを守るということで、でもそれを守っている限りにおいて、自分たちの好きなことをやる、と。
柳澤:そうそう。両方がんばるっていう。
北山:言わば、「欲張り法人」ですね(笑)。
柳澤:(笑)。面白法人という言葉そのものもそうですよ。立ち上げた当時、「仕事が面白いなんてふざけるな」という人は多かったですから。一般的に仕事は面白いものではない、基本的にはつらいものだという考えもあると思います。でも、今の若い会社の中には企業理念に「面白く」と謳っているような会社がたくさんあるように、変わってきてるんだと思いますよ。
北山:でも、面白くするために苦労はしてるんですよね。
柳澤:苦労とは思ってないんですけどね。それに、最近では経済合理性だけではない理由で地方に移住していく人が増えたりとか、必ずしも規模を大きくしなくてもいいと考えている会社が増えてきているとか、起業家の性質としてもただ儲かればいいというのとは違ってしなやかにやっている人もたくさんいるし。そこの価値観は変わってきてますよね。

(つづく)

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