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Vol.91 ヨーロッパ企画と文房具の音

  • 2015年9月3日

 近年、映画音楽などを手掛けるようになった僕ですが、このたび演劇の音楽も担当することになりました。その作品とは、京都を拠点に活動する劇団・ヨーロッパ企画の新作「遊星ブンボーグの接近」。

劇団・ヨーロッパ企画

 1998年の結成以来、一貫してコメディを上演し続けているヨーロッパ企画。毎回誰も考えつかないようなことをテーマに、大掛かりな舞台セットを組んで様々な仕掛けを作る、企画性の強いコメディを得意としています。そして今回、テーマに選ばれたのが「文房具」。

 脚本・演出を手掛けるのはヨーロッパ企画・代表の上田誠さん。上田さんは幼い頃から、迷路ゲームを作ったり、豆本を作ったり、壁新聞を作ったりしながら、人並み以上に文房具に親しんできました。同時に上田さんは、僕・HARCOのヘビーリスナーでもあったそうで、最近の曲からわりと初期のマニアックな曲までよく知っています。

劇団・ヨーロッパ企画

 2008年に発表した僕のアルバムのなかに「文房具の音」という曲があります。これは、国内や海外の文房具を集めることが大好きだった僕が、セロテープやホッチキス、鉛筆削りやクリップ入れなど、 文房具が紡ぎ出す「音」を録音して作った1曲。歌詞は、文房具たちに触れることで得られる「小さな贅沢感」をテーマに書きました。

 上田さんはその「文房具の音」という風変わりな歌を、ずっと好きでいてくれたらしいのです。誰も思い付かないことを作品にする、という部分でシンパシーを感じてくれたのかもしれません。そしていつか「文房具コメディ」を作ろうと企画を温めてきたなかで、ついに今年、上演が決定し、その音楽を僕が担当することになったわけです。

 先日、ヨーロッパ企画の稽古を見学するために、京都芸術センターという昔の小学校を改装した施設に行ってきました。木材で組み立てられた仮の舞台装置がたくさん置かれた部屋で、所属の役者さんたちが稽古をしていました。

舞台稽古

 ヨーロッパ企画の面白いところは、簡単なレジュメやかなり未完成の台本をもとに稽古をスタートさせ、役者さんの喋るアドリブをどんどん拾って、脚本を組み立てていくところです。それを彼らはエチュードと呼んでいて、会場リハーサルの直前まで続きます。この日も仮のセリフを確認する本読みのあと、エチュードが始まり、思い思いのアドリブや上田さんのその場の指示によって、新しい展開が生まれていきました。

 ある一定の緊張感のなか、息の合った役者さんたちのやり取りを間近に見て、もうすでに本番かのように、たくさん笑わせてもらいました。いやぁ、本公演が今から楽しみです。僕も音楽でうまくサポートしなくちゃ。今回も文房具が奏でる「音」をフィーチャーするつもりです。

 公演は9/5のプレビュー公演を皮切りに、全国9カ所をまわります。合わせて1万人を動員するほどの人気だそうです。詳しくはこちらの特設サイトをごらんください。




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