エージェント化が加速。CESで見えたAIの最先端を紹介するイベント

  • 2025年2月10日
  • Gizmodo Japan

エージェント化が加速。CESで見えたAIの最先端を紹介するイベント
Photo: 今村拓馬

AI使ってますか?

中国から突如発表されたダイナマイト級AI「DeepSeek」が話題になってますが、実際のところ、すでにAIを生活に取り入れている人と、取り入れてない人とでは、かなり温度差があるようです。取り入れてない人の言い分を聞くと…

「うーん…なんだか難しそうっすよね」

「今のわたしの生活には別に必要ないし」

「というか、今のAIってちょっとポンコツじゃない?」

って感じですよね。まぁわからないでもない。

でも、AIがわれわれの生活や仕事に浸透してくるスピード感は、おそらくあなたの想像以上に早いでしょう。インターネットやスマートフォンが私たちの生活を大きく変えたように、AIも多くの人に影響を及ぼすことは間違いありません。

この1月にラスベガスで開催されていた世界最大の家電・電子機器見本市「CES」。

2025年もCES、行ってきます! ギズモードから全力レポートをお届け 2025年1月8日(水)から3日間、世界中の最新テクノロジーが集まる「CES」が開催。われわれギズモード編集部も新年早々アメリカ・ラスベガスに向かい、現地レポートをしていきます。すでに遠いむかしのようですが、今年はこんな記事や… こんなおもしろプロダクトまで紹介していました。 今回も動画に記事にXにライブに、今年も全力でレポートしていく予定です!「来年の話かぁ〜」とついつい思いがちですが、20 https://www.gizmodo.jp/2024/12/ces-2025-kokuchi.html

こちらに足を運んだギズモード・ジャパンとTech Insiderのスタッフが、現地で見てきたAIの最先端事情をAI初心者にもわかりやすくレポートするイベント「AI First Lounge Vol.0 〜CESから見える2025年のAI新潮流〜」が開催されました。

イベントのテーマは

AI First Approach(AI前提)

AI First Line(AI最前線)

AI First Step(AI活用の第1歩)

の3本柱。そのプレゼンの模様をレポートしましょう。

時代はAIエージェント

まず登壇したのは、われらがギズモード編集部の西谷茂リチャード。

CESは世界最大というだけあって、規模がケタ違い。企業や団体による出展は4,000以上といわれており、今年は多くのブースがAI推しでした。以前よりもずっと実用的な事例が増え、いち早く社会実装に成功して、AI分野でイニシアチブを取りたい企業の思惑が感じられます。

リチャード曰く、これからのAIのトレンドは、生成AIから「自律型AI(AIエージェント)」に移行していくとのこと。つまり、今は人間がいちいち入力したプロンプトに基づいて答えを見つけるだけのAIが、自分で情報を集め、次にやるべきタスクを理論的に類推して、指示がなくても行動するようになっていきます。CESでもAIエージェントはかなり熱いテーマになっていて、各社が開発状況を競っていたそうです。

さらにリチャードは、「AIとロボティクスの融合」についても力説していました。要は「動くAI」ってこと。例えば、AIエージェントと手足のあるロボットを組み合わせることで、ハウスキーピングをしてくれるメイドロボなどが考えられます。

朝になったらブラインドの開閉をして、ベッドまで新聞を運んでくれる。そして静かに掃除をスタート…とか、人間のオーナーが指示することもなく、一連の作業を自分で考えながら行動してくれるロボットがいたら便利ですよね。

Image: Unitree

模倣学習でどんどん進化するヒューマノイド「Unitree G1」など、すでにそれっぽい製品も展示されていたそうで、こうしたテクノロジーが家庭に入り込んでいくスピードはかなり早そうです。

だけど、自分で考えて行動するAIって、ちょっと怖いですよね。勝手に世界を揺るがすような大それたことをしでかすんじゃないか?って。

そこで重要なのは、AIにどれだけ権限を与えて、何をさせるかを明確にすること。リチャード曰く、「AIを使う側の人間には、AIにここまでなら任せてもいいと判断できるディレクター的な視点が求められる」とのこと。

AIを使うことで業務効率が上がるとか、何かしらの利益が生まれないと意味がないわけで、リソースをうまく振り分け、リスクを回避しながら、利益を生み出すマネージメント能力も必要です。

こうした能力に長けた人こそ、今後のAIが主導するテックの世界で生き残っていけると考えていいでしょう。

AIを業務に実装した企業も増加

続いて登壇したのはTech Insider編集チーフの小林優多郎。昨年のCESが「AI上陸」を感じさせるものだったのに比べ、今年は「AI実装」を実感させられたとのことで、すでにAIをビジネス活用している具体例として、日立製作所、mixi、パナソニック、デルタ航空などの企業をピックアップして紹介してくれました。

特に興味深かったのは日立製作所。同社はMicrosoft(マイクロソフト)と提携して、Azure Open AI Serviceなどのソリューションを活用していることでよく知られていますが、その一例として実際のデータセンターと同じものをメタバース空間に展開して運営をシミュレート。機材の故障など予見できないトラブルも織り込んで、サーバの保守効率をアップさせるなど、AIと仮想空間を結びつけたアプローチを公開していました。

あと、「AIに興味のある人は絶対見ておくべき」と力説していたのが、NVIDIAのCEO ジェンスン・フアン氏によるCES基調講演の動画。

自動運転やロボティクス、AIエージェントなどが、私たちの生活にどう絡んでくるかを、具体的にわかりやすく紹介しています。日本語字幕もありますので、これはぜひ見てほしいです。

日本はどうする?

最後にリチャード、小林に加えて、生成AIの社会実装に取り組むスタートアップCynthialyの國本知里氏を交え、AI活用の今後のあり方についてディスカッションが行なわれました。

NVIDIAやMicrosoftといったビッグテックがこぞってAIエージェント推しだった今年のCESを振り返りながら、資金やリソースの確保、収益化をどうするかといったビジネス的な視点も交えながら、さまざまな意見を交換していました。現状のAIには高性能なGPUや莫大な電力といったリソースが必要で、どうしても高コストになりがちですから、ここをいかにクリアするかは大きなポイントですね。

さらに今後のカギとなりそうなのは、AIをどれだけカスタマイズできるか。つまり個々の要求に適したサービスをいかに提供できるかということ。AIエージェントといっても今は細かいジャンルに特化されたものが多いので、実際に運用するときは複数のAIを組み合わせて、チーム化していくことが必要になります。人間側としては、そうしたディレクションを強化していく必要がありそうです。

あと日本独特のちょっと閉塞した企業文化をぶち破りながら、ビジネスにAIを取り入れていく取り組みも必要です。日本企業の保守性は、新たなテックとは相性が良くないですからね。

企業内でもAIスキルは属人的というか、スキルに長けた人と関心のない人の差が激しく、そこが日本のAIが伸び悩んでいる原因かもしれません。米中が必死になってAIに取り組んでいるのを見ても、AIの活用は国力に関わってくる大問題なので、政策を含めた国家的な取り組みも必要です。

というわけで、2時間ほどのセッションでしたが、会場は立ち見も出る盛況でした。本イベント「AI First Lounge」は今後も開催していく予定で、ギズモードでも告知していきますのでチェックしてください。

また、ギズモードと一緒にAIをテーマにした楽しくためになるイベントを開催したいという企業関係者の方も大歓迎です。合わせてご連絡お待ちしております。

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