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41光年先の惑星に、灼熱のマグマ状態になった大気がある可能性

  • 2024年5月22日
  • Gizmodo Japan

41光年先の惑星に、灼熱のマグマ状態になった大気がある可能性
Image: NASA, ESA, CSA, Ralf Crawford (STScI)

地球から約41光年先に位置する「かに座55番星e」。岩石によって構成される系外惑星であり、地球のおよそ8.8倍の大きさを持つ、いわゆるスーパー・アースに分類される惑星です。表面温度は華氏3,140度(摂氏約1,726度)と非常に高温とのこと。

今回複数の機関による研究チームが、このかに座55番星eはマグマの海で覆われており、そこから湧き出る大気が存在している可能性があるとの研究論文を発表し、Natureに掲載されました。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡でわかったこと

「かに座55番星eは最も謎に満ちた系外惑星の1つです」と、ベルン大学の天体物理学者で、この研究の共同著者であるBrice-Olivier Demory氏は述べています。

「これまで10年もの間、数十の地上および宇宙の施設によって観測に膨大な時間を費やしたにもかかわらず、その性質自体は捉えられずにいました。

ですが、最近になってジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)のおかげで、そのパズルの一部がようやく埋まるようになってきました」

JWSTは、地球から100マイル(約160km)離れた地点から、約2年間科学観測を実施してきました。これまで非常に古い銀河の観測や銀河の形成、遠く離れた系外惑星など宇宙の理解を深めるいくつもの発見をもたらしています。

研究チームは、JWSTに搭載されている近赤外線カメラ(NIRCam)と中赤外線観測装置(MIRI)を使用して系外惑星を観測しました。研究者たちはこう述べています。

「今回の観測結果は、この惑星が蒸発した岩石によって生まれた希薄大気に覆われた溶岩の世界であるというシナリオからは外れています。二酸化炭素、あるいは一酸化炭素を多く含む本物の揮発性の大気であることを示しています」

かに座55番星eは潮汐において固定されており、片側が常に主星に面していると考えられます(月が常に同じ側が地球に面しているのと同じような形)。しかし、惑星の昼側、つまり恒星側の気温を測定したところ、研究チームが予想したよりも低いことがわかりました。これは、大気が惑星の周囲に熱を分散しているという証拠だといいます。

岩石質の惑星の画像化は難しい

NASAのジェット推進研究所の研究員であり、この論文の筆頭著者であるRenyu Hu氏は米Gizmodoのメール取材に対し、以下のように述べています。

「系外惑星の大気はこれまで数多くの観測が行なわれてきましたが、そのどれもが大規模な水素主体の大気でした。

今回の研究で、私たちはついに岩石によって構成された系外惑星を覆う大気の観測ができたのです」

これまで述べてきたことでもわかるようにかに座55番星eは、生命には厳しい場所ではあります。ですが、JWSTがはるか遠い世界を直接画像化せずにどのように特徴づけられるかを示すには、有益な研究事例といえるでしょう。巨大なガスとは対照的に、恒星のように明るくなく、質量もはるかに小さい岩石質の系外惑星は直接画像化するのが非常に困難といえます。

その代わりに、科学者たちは系外惑星が周回する星を利用して、系外惑星の構成を見定めるのです。今回の研究チームは、かに座55番星eが恒星を周回する際にそこから発せられる光の量を注意深く観測することによって、その惑星に存在する可能性のある大気を特定しました。

次世代型宇宙望遠鏡のハビタブル・ワールド・オブザーヴァトリーの運用が開始されれば、遠く離れた系外惑星の様相を見定めるのがはるかに容易になり、地球外の生命を発見するという研究も進む可能性があります。

系外惑星と生命の研究

天文学者たちは、これまで5,000以上の系外惑星を発見してきました。研究者たちが宇宙生物学の観点からこれらを詳しく区別していくにはさらに多くの調査が必要となります。そのなかには、生命には適さない環境に注目することも含まれていて、惑星がどのように進化するのかや惑星にはどんな多様性が存在するのかを明らかにできるわけです。

2023年の3月に、40光年離れた岩石質の系外惑星「TRAPPIST-1b」には大気が存在しないことを発見しました。この発見は、TRAPPIST-1bがおそらく恒星に近く、発達する可能性のある惑星にエネルギーを与えるようなものだと考えられることを示しています。

さらにTRAPPIST-1の惑星系のうちのいくつかは、いわゆるハビタブル・ゾーン内に位置していることもわかっています。こうしたことからもこの惑星系は宇宙生物学者にとって魅力的なものであるといえるわけです。

さて、一方で大気は生命を維持するために非常に重要な指標と考えられるため、TRAPPIST-1の惑星系に対しての関心が薄れている中、今回のかに座55番星eが宇宙生物学研究において魅力的な研究対象の候補として浮上しているといえるでしょう。

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