今年もシャープは有機ELとMini LEDでフラッグシップを用意。どちらもさらなる高画質化を遂げています。
シャープは4K有機ELテレビ3シリーズ/8機種と、Mini LEDテレビ2シリーズ/5機種を発表。これに合わせて新製品の説明会が開催されました。まずはラインアップおよび発売日、市場想定価格(税込)を見てみましょう。
有機ELテレビ「AQUOS QD-OLED」
HS1ライン
4T-C65HS1(65V型)/5月31日発売予定/60万5000円前後
4T-C55HS1(55V型)/5月31日発売予定/44万円前後
有機ELテレビ「AQUOS OLED」
HQ1ライン
4T-C65HQ1(65V型)/6月21日発売予定/44万円前後
4T-C55HQ1(55V型)/6月21日発売予定/35万2000円前後
HQ2ライン
4T-C65HQ2(65V型)/6月21日発売予定/38万5000円前後
4T-C55HQ2(55V型)/6月21日発売予定/28万6000円前後
4T-C48HQ2(48V型)/6月21日発売予定/25万3000円前後
4T-C42HQ2(42V型)/6月21日発売予定/24万2000円前後
Mini LEDテレビ「AQUOS XLED」
HP1ライン
4T-C75HP1(75V型)/5月31日発売予定/57万2000円前後
4T-C65HP1(65V型)/5月31日発売予定/44万円前後
4T-C55HP1(55V型)/5月31日発売予定/35万2000円前後
HP2ライン
4T-C50HP2(50V型)/6月21日発売予定/25万3000円前後
4T-C43HP2(43V型)/6月21日発売予定/24万2000円前後
注目は4K有機ELのフラッグシップモデルであるHS1ラインと、Mini LEDのフラッグシップとなるHP1ラインが同時に出てきたことです。
HS1ラインは、2024年に登場した前世代のフラッグシップ「GS1ライン」からさらに高画質化しました。パネルには発光効率の高い、最新世代の量子ドット有機ELパネルを採用。このパネルの性能を最大限に引き出すべく、シャープ独自の放熱構造とパネルの駆動回路を取り入れたことで、GS1ラインに比べてピーク輝度が約2倍に向上したとのこと。
また、有機ELが発する光を色純度の高い赤/緑/青に変換する量子ドット層を搭載することで、豊かな色彩を再現するといいます。これによって有機ELテレビ特有の漆黒と、そこに浮かぶきらめきを鮮明に映し出すことが可能。ピーク輝度と相まって、AQUOS史上最高の輝きと色彩を実現したそうです。
AIを採用した画像処理エンジンは「Medalist S6X」に進化。新たに、各被写体の前後関係を認識して、明暗と精細感を自動補正する「空間認識AI」を搭載しました。たとえば画面内で近くに映る人物はくっきりと表現し、遠くの風景は少しぼやけ感を出すことで、奥行きのある映像にします。
ほかにも、画面内の人や空などを認識してそれぞれに最適な処理を施す「AIオブジェクト識別」や、輪郭を判別してよりリアルに見えるよう復元する「AI超解像」などの高画質技術が採用されています。加えて、部屋の明かりや自然光の状態などから色温度を検知して、映像を見やすいよう自動で調整してくれます。
ピーク輝度を高めながらも、省エネを実現しているのもHS1ラインの特徴。必要なエリアだけを発光させる有機ELパネルに加え、緻密に輝度をコントロールすることで、省エネ目標基準値100%を達成したそうです。
音質については引き続き合計出力100Wのスピーカーシステムを搭載しています。構成はツイーター2基、ミッドレンジスピーカー4基、サブウーファー1基、ハイトツイーター2基、ハイトミッドレンジスピーカー2基とGS1ラインと同じです。
また、Medalist S6Xは音質面でも効果を発揮し、コンテンツが映画なのか音楽なのかニュースなのかなどを判別し、瞬時に最適な高音質処理を施すとしています。AIによるこれらの高画質・高音質化はコンテンツ内容や視聴環境に合わせて自動で調整するため、「AIオート」と名付けられています。
複数の便利機能も新たに搭載されました。タイパを意識し、2倍速の早見/早聞き再生が可能。セリフなどはAIオートによって聞き取りやすく調整されます。また、テレビ番組などの放送時に緊急情報を伝えるL字放送を、録画で視聴する際にカットする「L字カット機能」も搭載。加えて2番組を同時に視聴できる「よくばり視聴」は、ハードディスクに録画した番組と放送番組の同時再生に対応しました。この機能では、サブ画面扱いの放送に字幕も表示されるようになっています。
Mini LEDのフラッグシップとなるHP1ラインも、高い輝度による高画質化を実現しました。パネルには高輝度・広色域な「N-Black Wideパネル」を採用。Mini LEDバックライトを細かく制御するうえに、高効率な光反射シートを新たに搭載することで、ピーク輝度が従来モデル「GP1ライン」に比べて約1.5倍に向上したそうです。
また、量子ドットシートによってバックライトの光を純度の高い赤/緑/青に変換するため、豊かな色彩を再現可能。さらに画像処理エンジンのMedalist S6Xを搭載するため、空間認識AIを含む、AIオートによる高画質・高音質処理を施します。
省エネ性能も高く、Mini LEDバックライトの細かな制御に加え、光反射シートによる効率的な輝度のコントロールによって省エネ目標基準値100%を達成したといいます。
音質は、合計出力80Wのスピーカーシステムを搭載。75V型モデルと65V型モデルの構成はツイーター2基、ミッドレンジスピーカー4基、サブウーファー1基、ハイトツイーター2基、ハイトミッドレンジスピーカー2基です。55V型モデルのみハイトミッドレンジスピーカーが非搭載となっていますが、合計出力は上位モデルと変わりません。ただし、従来モデルが合計100W出力だったので、比べると控えめなスピーカーシステムといえます。その分、AI自動調整強化などで音質の進化を図っているとのことです。
有機ELのHS1ラインに搭載された、2倍速再生やL字カット機能などの便利機能も踏襲しています。
シャープは有機ELテレビとMini LEDテレビを「高付加価値テレビ」と位置づけ、これらのテレビは年々、販売が増加傾向にあるとしています。
そのなかで、独自の調査によると高付加価値テレビの購入者が、購入時に重視するポイントは画質、明るさ、色合い、視野角、音質の順に高いと指摘。こうした傾向を踏まえて、有機ELとMini LEDそれぞれのフラッグシップを投入することに至ったと説明しました。
また、有機ELとMini LEDで幅広いサイズを展開することも強調。「業界屈指のラインアップをそろえる」としており、ユーザーが視聴したいコンテンツや環境に合わせて最適なテレビを選べるといいます。
フラッグシップの高画質化以上に、豊富なラインアップでユーザーのニーズをくみ取るのが今年のシャープAQUOS全体の特徴といえそうです。
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