サイト内
ウェブ

国立公園に接する北海道の風発、取りやめ/配置変更を求める環境大臣意見

  • 2017年6月9日
  • エネクトニュース
国立公園の特別保護地区に接する区域で計画
環境省は6月1日、株式会社道北エナジーが北海道で計画している「(仮称)浜里風力発電事業」に係る環境影響評価準備書に対して、環境への配慮を求める環境大臣意見を提出したと発表した。

同事業は、北海道天塩郡幌延町において、最大で総出力61,200kW(3,600kW×17基)の風力発電所を設置するもの。

対象事業実施区域は、利尻礼文サロベツ国立公園の特別保護地区、ラムサール条約登録湿地であるサロベツ原野、国指定および北海道指定の鳥獣保護区に接しているほか、一部が重要野鳥生息地(IBA)に指定されている。

出力10,000kW以上の風力発電所の設置または変更の工事は、環境影響評価(環境アセスメント)法および電気事業法の対象。これらの法令に基づき、環境大臣は、提出された環境影響評価準備書について、経済産業大臣からの照会に対して意見を述べることができる。

景観や鳥類に対する影響を強く懸念
今回の意見では、対象事業実施区域およびその周辺が自然環境保全上極めて重要な地域であるとした上で、景観、鳥類、植生・生態系への重大な影響を懸念。設置の取りやめまたは影響回避を可能とする配置の変更を行うことを求めた。

具体的には、幌延ビジターセンターやパンケ沼といった国立公園の利用拠点を結ぶ歩道から利尻山を眺めた際、眺望を遮る風車があると指摘。景観への影響について、事業者による回避は十分ではないとした。また、事業者が参考にした幌延町のアンケート調査には、景観に配慮して風車の配置等を検討するための質問項目がなく、対応は不十分であるという。

さらに、事業実施区域周辺は、希少猛禽類であるチュウヒやオジロワシの重要な生息地となっており、ガン類・ハクチョウ類等の渡り鳥の集団飛来地となるサロベツ原野にも隣接。風力発電設備の稼働によりバードストライクの影響が懸念されるとした。特にチュウヒへの影響については、追加的な調査、予測および評価の実施を求めている。

同事業は、環境影響評価に係る手続きとして配慮書・方法書を経て、今回の準備書の手続きを行っている。準備書の縦覧に当たっては、環境保全の見地からの住民意見が166件寄せられていた。

今後事業者は、環境大臣および関係自治体の長の意見を受けた経済産業大臣勧告を踏まえ、環境影響評価書の作成等の手続きを行うこととなる。

(画像は環境省HPより)


▼外部リンク

環境省 プレスリリース
http://www.env.go.jp/press/104048.html

あわせて読みたい

キーワードからさがす

gooIDで新規登録・ログイン

ログインして問題を解くと自然保護ポイントが
たまって環境に貢献できます。

掲載情報の著作権は提供元企業等に帰属します。