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“やわらかで、自由”な佐渡の恵みをおまかせでいただく。ハレの日を彩る島レストラン「kaneto」

  • 2025年6月4日
  • CREA WEB

天気の良い日には気持ちのいい風景と佐渡の恵みを堪能することができるレストラン「kaneto」。

 新潟からフェリーで約1時間、日本海最大の離島として知られる佐渡へと行ってきました。最初の目的地は両津港ターミナルから徒歩5分の加茂湖沿いのレストラン「kaneto(カネト)」。

 島内ではちょっと珍しい、おまかせコースとソムリエが提案する上質なぺアリングがいただける一軒で、島民からも一目置かれているとの噂です。


加茂湖沿いに佇む、上質なフローティングレストラン


両津港からもすぐのロケーションでアクセスも抜群だ。

テラスからの眺めは格別。

 牡蠣いかだをオマージュした店内からは壮大なレイクビューが眺められ、天気の良い日はテラスも開放。まさしく正真正銘のフローティングレストランです。


水飼さんご夫婦。

 お店を切り盛りしているのは水飼さんご夫婦。奥さまの智子さんがシェフを務め、旦那さまの創さんがソムリエ兼サービスを担当。お二人の息ぴったりなサービスとアットホームな雰囲気も魅力のひとつです。

 オーナーの創さんは、前職で百貨店のデパ地下開発やワインの輸入会社へ出向していた経験から、いつか自分が理想とする飲食店を作りたいという想いが募っていたそう。そんな時、智子さんの実家がある佐渡に帰省し、加茂湖の景色にすっかり一目惚れ。両津の活性化にも一役買いたいという想いも相まって、お店を作ろうと一念発起したのだとか。


外壁には佐渡の杉を使用。バリアフリーを意識して造られた店内。

 元々会社員として企業に勤めていたお二人、もちろん料理やサービスは未経験。一から修行を始めたといいます。智子さんは発酵料理が評判の横浜の日本料理屋「楽只」で腕を磨き、創さんは横浜マンダリンホテル内のフレンチレストラン「エタージュ」でサービスを学び、その経験を佐渡へと持ち帰ってきました。


漁具を再利用した扉。「kaneto」という店名は、加茂湖で牡蠣漁師として働いていた智子さんのおじい様の屋号を譲り受けたもの。島内の人々から愛されてきた祖父のようなお店になって欲しいというお二人の思いが店の随所から感じられます。

佐渡の恵みが詰まった逸品を召し上がれ


季節のペアリングコースは8,800円(オープン特別価格)。7品によるコース料理とアルコールペアリングではワイン3杯+日本酒、ノンアルコール4杯が提供される。

 料理は月替りのおまかせコース一本。野菜ソムリエや出汁マイスターの資格を持つ智子さんならではの滋味溢れる7皿が順々に供されます。

 ペアリングはソムリエ、S A K E D I P L O M Aなど4種もの資格を有する創さんがコーディネート。ワイン主体のペアリングながら、佐渡らしく日本酒も織り交ぜて構成しています。


こちらはフランス製最高級ノンアル・スパークリング 1688 Grand Blanc(グラン・ブラン)。お酒が苦手な人やドライバーの方向けにノンアルコールペアリングも用意されています。

 こちらは山菜盛り合わせならぬ、前菜盛り合わせ。胡麻の餡をかけたわらびとセリのお浸し、ウドに真鯛の昆布締めを巻いた天ぷら、自家製のハムをのせたブルスケッタ、竹の子のつけ焼き、ふきのゼリー寄せとズッキーニのケーキ、ホンズワイガニの解した身をのせている根もずく、加茂湖産牡蠣の有馬煮など、旬を詰め込んだ7つの小皿が並びます。


少量で色々な味を楽しみたい女性やお年寄りから喜ばれていると言います。

北海道・余市産ブドウのくまコーラのスパークリング。

 合わせる泡は、佐渡島在住のフランス人醸造家が手掛けたくまコーラのスパークリング。タレの香ばしさと独特の食感が活きた竹の子のつけ焼きや甘めに仕立てたズッキーニのケーキにドライな泡が好相性です。


しっかりとした肉の食感が食欲をかきたてる。これからの料理が楽しみになる一品。

 コースには変わり種の点心も登場。ブロック肉を買ってきて手切りしたお肉で作った粗挽きの焼売にお酢を効かせたウドのきんぴらを添えて。ジュワジュワと甘い肉汁が広がり、口福の絶頂に達したらミネラルたっぷりなオレゴンの白ワインでぐびっと流し込み、マリアージュを堪能しましょう。


両津湾で養殖されている佐渡産サクラマスは全国的にも評価が高いブランド魚。春を告げる魚としてこの時期旬を迎える。

メインの肉料理は妻有ポークを使った一品。酢豚からインスパイアされた味わいはワインにもぴったり。

 メインの魚料理は生でも食べられるフレッシュなサクラマスをソテーで仕上げ、ニラペーストと泡状の醤油ソースを添えています。皮目はカリッと焼き上げ、中はレア気味にしっとり仕上げて上品な味わいにまとまっています。


魚料理のペアリングとして提供された天領盃酒造の雅楽代。

日本酒の品ぞろえにもこだわっている。地元の人には島外の日本酒を提供し、佐渡への来訪者には島内の酒蔵のお酒を提供するのだとか。この気遣いもうれしい。

 合わせるのは佐渡を代表する酒蔵、天領盃酒造の雅楽代。アルコールは12%とやや低めで、口当たりがライトかつ甘口なのでスイスイと飲めてしまいます。


お酒をたっぷり入れて昆布とカツオの出汁で炊いた竹の子が主役の土鍋ご飯。竹の子出汁をたっぷり吸わせたご飯も瑞々しく、旨味たっぷり。2杯目はお出汁をかけてお茶漬け風にアレンジするのがオススメ。

 どこかほっとするような馴染みを感じさせながらも、ジャンルレスで未経験な味わいはどうやって生まれるのか尋ねてみると、「料理人としての経験が浅いゆえに固定概念がないので、食材の掛け合わせや使用する調味料も自由に組み合わせています。そのおかげで自然と新しい味を生むことができるのだと思います」と、その秘訣を教えてくれました。

 心と身体が喜ぶ澄んだ料理に癒され、ワインラバーも納得の秀逸なペアリングを楽しめるkaneto、佐渡での新しい流れを作るレストランになりそうです。

kaneto

所在地 〒952-0014 新潟県佐渡市両津湊213-5
電話番号 050-1722-0310
定休日 月曜、不定休
営業時間 17:00〜22:00
コース 8,800円
ペアリング付おまかせコース(完全予約制)
https://www.sadokaneto.com/

文=星子莉奈
写真=石川啓次

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