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5年ぶりぐらいにバリ島へ上陸。トレンドの移り変わりが激しいこの島では、まるで浦島太郎のような気分になります。
今、バリ島南部のビーチエリアでは、チャングーが来ています。
3月にコモ ホテルズ アンド リゾーツの方々が来日した際、「コモ ウマ チャングー」のマーケティング ディレクターと話をする機会がありました。
「チャングーはすごく変わりましたよ。欧米系のセンスのいいショップもたくさんできましたし、観光客も押し寄せています」
コロナ禍前に見たチャングーは在住外国人が手掛けた、センスのいい小さなヴィラが点在。海辺におしゃれなカフェがあり、海を見ながらパソコンに向かっている欧米系の住民を見て、そんな海辺の暮らしに憧れたものです。
今回、週末のチャングーに行って、その変貌ぶりにびっくり。
チャングーの中でも人気が高いエコービーチ界隈のストリートにはショップがずらり。おしゃれなレストランやカフェ、洗練のブティックにコンビニ、マッサージ店にネイルサロン……。
ストリートの雰囲気はバリ島の人気ビーチ、ダブル・シックスとスミニャックを掛け合わせた感じでしょうか。ちょっとゴチャゴチャ感がありつつも、シャビーシックなインテリアなどに洗練を感じます。
オーガニックなカフェやリサイクル素材のサンダル(インドソール)など、ラインナップも今どきの潮流です。バラまき土産を探すなら、ラブ・アンカーが便利でしょう。
そして日曜日にはエコービーチのレストラン&ビーチクラブ「ラ・ブリザ・バリ(以下、ラ・ブリザ)」のサンデーマーケットを目当てに、観光客もわんさわんさ。タクシーやバイク、配車アプリ「Grab」で手配された車などでごった返しています。日曜日は渋滞緩和のために、Grab車両のエコービーチ界隈でのピックアップは禁止されているとか。
サンデーマーケットへ続く木々の間の小道を抜けると、小さな出店が並んでいます。ガジュマルなどの大樹の木漏れ日が揺れる中、アクセサリーや洋服、財布などの手作り雑貨、ポップなアート作品などが連なっています。ドーナッツやスーパーフードの出店もあり、今どきの洗練された雰囲気。
サンデーマーケットの突き当りにはジャングルのような、こんもりとした木々に囲まれたラ・ブリザのレストランとビーチクラブが展開しています。
ビーチクラブは海に面した木材でできたデッキが印象的です。古いボートの廃材を500隻分も使ったデッキは、どこか秘密基地のよう。大きなクッションに身を沈めて海を眺める人や、両足を外に突き出して眠る人。チルするにはぴったりです。
ラ・ブリザから浜辺をつたって北上すると、さらに長屋スタイルのサーフ小屋というか、カフェやバーが続いています。アサイーボウルなど、ラインナップされているメニューもちょっとヘルシー。
昼下がりの海に面したカフェ群では、景色を眺めるお客もどこかゆるりとしています。
ビンタンビールにかけた手は力が抜け、ウェイターを呼ぶ手も気だるそう。この時は波の状態がよくなかったせいか、サーファーの華麗なライディングではなく、波が砕ける様子を見るともなく眺めている様子。会話を交わすこともなく、海を眺める人々の間を無為な時間が流れています。これはこれで、贅沢な過ごし方でしょう。
印象的だったのが、ツーリストの多くが欧米系であったこと。アジア人は一握り。聞くところによると、イタリアやブラジル、フランス、アメリカからのツーリストが多いのだとか。
思い返せば、バリ島の南部ビーチリゾートは10年単位くらいで新しいムーブメントが生まれているようです。
1960年代にサヌールにバリ島で最初のリゾートエリアが誕生し、1970年代はクタやレギャンにサーファーが押し寄せ、サーフカルチャーが開花。1980年代に政府の肝いりでヌサドゥアにマスタープランのリゾートが誕生し、1990年代にジンバランにラグジュアリーリゾートが登場。
2000年代に入ると、スミニャックに一軒家ヴィラが急増。ミニマルモダンなデザインが一大ブームになりました。さらに2010年代には島の南端のウルワツ界隈にウルトラ・ラグジュアリーリゾートが出現。
そして、2020年代にチャングーやバトゥブロン。コモ ウマ チャングーはこのエリア初のラグジュアリーホテルで、いわばけん引役。また、オープンしたてのリージェント・バリ・チャングーに続き、来年にはアナンタラもチャングーにお目見えするとのウワサ。「チャングーは半年でいろいろ変わるよ」と地元の人談。これからますます賑わいが加速しそうです。
もちろん、ビーチリゾートエリアごとに個性が異なるので、新しいエリアができようと同じところに通いつめるリピーターも。自分にあった場所がみつかるバリ島の南部のビーチです。
チャングー
●アクセス バリ島のングラ・ライ国際空港から車で90分。
●おすすめステイ先 コモ ウマ チャングー
https://www.comohotels.com/jp/bali/como-uma-canggu
取材協力
ガルーダ・インドネシア航空会社 https://www.garuda-indonesia.com/jp/ja
コモ ホテルズ アンド リゾーツ https://www.comohotels.com/jp
古関千恵子(こせき ちえこ)
リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること30年あまり。
●Instagram @chieko_koseki
文・撮影=古関千恵子