フリーランスディレクターとして、アパレルやライフスタイルブランドなど多数の企業とコラボアイテムを手がける石岡真実さん。飾らないけど、丁寧でうつくしい。その暮らしぶりは多くのファンを集め、石岡さんの日常を綴るInstagramはいまや14万人を超えるフォロワーが注目しています。
そんな石岡さんの2冊目の著作である『母ちゃん、ていねい たまにガサツ』(双葉社)の企画イベントが、2025年4月30日〜5月11日、伊勢丹新宿本館5Fにて期間限定のポップアップショップが開催されています。「住まい」と「食」をテーマに器やグラス、調味料、キッチングッズ、日常雑貨、食品などが販売され、多くのファンで賑わっています。
フリーランスディレクター・石岡真実さんに自身が思う良い物や日々の生活の中でアイテムを選ぶ時に気をつけていることを伺いました。
「台所は“私の部屋”」と言う石岡さんの趣味は、友人たちを家に招き「おもてなし料理」でもてなすこと。埼玉へ引っ越して以降は、東京で暮らしていた頃よりも頻繁に友人が集うようになり、より「おもてなし料理」に磨きがかかったのだそう。
書籍『母ちゃん、ていねい たまにガサツ』でも、大きく取り上げられている「料理のこと」。どのようなきっかけで器集めをするようになったか聞いてみました。
「世田谷に住んでいたときのことですが、息子の英語の習い事の合間の時間つぶしに、器のギャラリー『AELU(アエル)』にふらりと入ったんです。そこでバイヤーの真子さんとお話をして、器の特徴や作家さんの魅力を知り、一点物の良さに引き込まれていきました。たくさんの工程を経てこの形、この色、風合いになったと思うと愛しく思えるのです」
「例えば、竹村良訓さんの器。前回代官山蔦屋書店のポップアップイベントを開催したときよりも拡充したおすすめの器で、今回のイベントのために千葉県松戸市の工房へ足を運んでセレクトしました。竹村さんの器は、粘土の配合や釉薬の調合によって、すべて色の組み合わせや形が異なる一点もの。写真はお香立てですが、細かなものや、食べ物をのせてみても」
石岡さん自身もたくさんの種類を持っている<下村淳>の器も要チェック。
「下村淳さんは、佐賀県唐津市を代表する窯のひとつ、隆太窯(りゅうたがま)で陶芸を学び、今は相模原の藤野で独立されています。下村さんの器は、窯の中で焼かれてできた目跡やヒビがそれぞれ異なり、土の質感を感じられる、素朴さと温かみがあるのが魅力です」
多くの作家さんやバイヤーさんと話している中で、感銘を受けたのが、器の使い方。
「マグカップならお茶や珈琲、お茶碗ならご飯を盛付けるものだと思い込んでいたのですが、ある作家に『お茶碗にビールを注いで飲む』と教えてもらったときは衝撃でした。器は自由に使っていいんだ、と知ってからは器の無限の可能性にワクワクするようになりました。器を見ながら、何を入れようか、組み合わせたらどのようになるか、アレコレ想像するのが楽しいんです」
例えば、骨董の器を揃えている<Kotto Shop(コットショップ)>の器。おかずを入れたりするのが一般的ですが、石岡さんは電子レンジで加熱できるほど耐久性に優れた点に注目。信州木曽で作られた<山一>の日本製せいろに<コットショップ>の器を重ね、中に食材を入れ、蒸し料理にしてそのままドン! と食卓へ出したりするのだそう。ゲストの前で熱々の料理にごま油をかけると、それだけで盛り上がると言います。
<mushimegane books.(ムシメガネブックス)>の高台皿は、食器やアクセサリートレーとしても活用していると言います。
石岡さんは、普段からひとつの器で何通りも使い方をアレンジするそうで、どの器に対しても即興でいろいろなアイディアを提案してくれます。今回のイベントでは石岡さんが店頭にいる時間帯もあるので、気になる器の使い方のアイディアを聞いてみるのもおすすめです。
日々の生活の中でアイテムを選ぶ時に気をつけていることを伺ってみると、子育てに仕事に忙しい“母ちゃん”ならではの時短につながるものを選んでいることも教えてくれました。
「キッチングッズでも、雑貨でも、出しておいても可愛いものを選ぶようにしています。使う時に取り出して、使い終わったら片付けるという一連の動作は、大がかりなものだと忙しいときに使うのをためらってしまうことも。だから器や台所道具、雑貨類は、出しっぱなしでもおしゃれに見えるデザインも重視して選んでいます」
キッチンにそのまま置きたい米びつは<山一>の5キロサイズを愛用。桐素材なので湿気や乾燥を防いでくれて、お米の水分量やおいしさを保ちます。さらに、天然の抗菌作用で虫除けいらずなのもうれしいポイント。
花瓶も、インテリアグッズとして活躍できる見た目を重視。本来、お花を入れるための花瓶ですが、枯れてなくなったとしても置きっぱなしにして、絵になるオブジェとなるものをチョイス。花瓶だけが飾られていても寂しくなりません。
時短のために、食材に和える・かけるだけでごちそうが一品完成する、おいしくて便利なアイテムも常備。忙しいときはもちろん、おもてなしで何品も料理をつくるときも大活躍します。
鎌倉で出会った<かかん>の麻婆ソース。ソースを温めて豆腐や茄子と和えるだけでお店の味に。
「ストックを切らさないぐらい大好き」という<うさぎ農園>の玉ねぎドレッシングも。新玉ねぎだけで作られているので風味も豊かで、サラダはもちろんマリネにもおすすめです。
料理が好きな石岡さんでも、忙しい日はお惣菜を買ってしまうこともあるのだそう。そんなときはシンプルながら存在感のあるお皿に頼るのが石岡さんのマイルール。
「村上祐仁さんの器はシンプルで程よいマットさがあり、どんな料理も受け止めてくれる万能さが魅力。ワンプレートにするときもあれば、惣菜をお皿にのせるだけの日だってあるけれど、お皿が良いと不思議と料理もおいしく感じられます!」
石岡さんがおつまみとしてよく口にしている<ZENB(ゼンブ)>のグルテンフリー食品も展開されています。おすすめは、アーティストyukartさんが描いたオリジナルデザインのボックスに、「ゼンブブレッド」や「ゼンブチップス」などを詰め合わせた100箱限定のギフトセット。
また、<ANYWHERE PRODUCTS>の洋服やポーチ、メイクペンや<OLSIA(オルシア)>など自分へのお土産としてはもちろん、友達、家族へ贈るギフトにもぴったりなラインナップがズラリと並びます。
会期中は、予約なしでアーティストyukartさんがお客様をイメージして描くライブペイントや、最終日5月11日には<NEEDLEWORK EVERYDAY>のハンドルミシンでチェーンステッチをするイベントや<ハッカニブンノイチ>の生花の販売など楽しいイベントも盛りだくさん。
贈りものに悩む方はもちろん、普段使いしやすくてセンスのいいキッチンアイテムや雑貨を探している方にもおすすめなポップアップイベント。是非足を運んでみてください。
石岡 真実『母ちゃん、ていねい たまにガサツ展』
場所 伊勢丹新宿 本館5F センターパーク/ザ・ステージ♯5
所在 東京都新宿区新宿3丁目14-1
日程 2025年4月30日(水)〜5月11日(日)
時間 10:00-20:00
https://www.mistore.jp/store/shinjuku/shops/living/park/shopnews_list/shopnews_041.html
文=桐生奈奈子
写真=釜谷洋史・田村昌裕(freaks)