「良い器には無限の可能性がある。固定概念をなくし、自由に」石岡真実さんが考える“いいモノ”とは

  • 2025年5月8日
  • CREA WEB

2025年4月30日〜5月11日、伊勢丹新宿本館5Fにて期間限定のポップアップショップ「石岡真実『母ちゃん、ていねい たまにガサツ展』」を開催。撮影:釜谷洋史

 フリーランスディレクターとして、アパレルやライフスタイルブランドなど多数の企業とコラボアイテムを手がける石岡真実さん。飾らないけど、丁寧でうつくしい。その暮らしぶりは多くのファンを集め、石岡さんの日常を綴るInstagramはいまや14万人を超えるフォロワーが注目しています。

 そんな石岡さんの2冊目の著作である『母ちゃん、ていねい たまにガサツ』(双葉社)の企画イベントが、2025年4月30日〜5月11日、伊勢丹新宿本館5Fにて期間限定のポップアップショップが開催されています。「住まい」と「食」をテーマに器やグラス、調味料、キッチングッズ、日常雑貨、食品などが販売され、多くのファンで賑わっています。

 フリーランスディレクター・石岡真実さんに自身が思う良い物や日々の生活の中でアイテムを選ぶ時に気をつけていることを伺いました。


良い物とは“ストーリーがあってアレンジができるモノ”


「器の特徴や作家さんの魅力を知り、一点物の良さに引き込まれていった」と語る石岡さん。撮影:釜谷洋史 

おもてなし料理が趣味の石岡さん。SNSでは「#マミノメシ」が大人気。撮影:田村昌裕(freaks)

「台所は“私の部屋”」と言う石岡さんの趣味は、友人たちを家に招き「おもてなし料理」でもてなすこと。埼玉へ引っ越して以降は、東京で暮らしていた頃よりも頻繁に友人が集うようになり、より「おもてなし料理」に磨きがかかったのだそう。

 書籍『母ちゃん、ていねい たまにガサツ』でも、大きく取り上げられている「料理のこと」。どのようなきっかけで器集めをするようになったか聞いてみました。

「世田谷に住んでいたときのことですが、息子の英語の習い事の合間の時間つぶしに、器のギャラリー『AELU(アエル)』にふらりと入ったんです。そこでバイヤーの真子さんとお話をして、器の特徴や作家さんの魅力を知り、一点物の良さに引き込まれていきました。たくさんの工程を経てこの形、この色、風合いになったと思うと愛しく思えるのです」

<竹村良訓>色の組み合わせが唯一無二


竹村良訓さんの器は、今回のイベントのために千葉県松戸市の工房へ足を運んでセレクト。撮影:釜谷洋史

「例えば、竹村良訓さんの器。前回代官山蔦屋書店のポップアップイベントを開催したときよりも拡充したおすすめの器で、今回のイベントのために千葉県松戸市の工房へ足を運んでセレクトしました。竹村さんの器は、粘土の配合や釉薬の調合によって、すべて色の組み合わせや形が異なる一点もの。写真はお香立てですが、細かなものや、食べ物をのせてみても」

<下村淳>土の質感を感じられる、素朴さと温かみがある器


素朴で温もりのある下村淳さんの器は普段使いはもちろん、特別な日にも活躍してくれる。撮影:釜谷洋史

 石岡さん自身もたくさんの種類を持っている<下村淳>の器も要チェック。

「下村淳さんは、佐賀県唐津市を代表する窯のひとつ、隆太窯(りゅうたがま)で陶芸を学び、今は相模原の藤野で独立されています。下村さんの器は、窯の中で焼かれてできた目跡やヒビがそれぞれ異なり、土の質感を感じられる、素朴さと温かみがあるのが魅力です」

固定概念をなくし、器選びがより楽しくなった


「器の使い方の自由さに感銘を受け、器選びの楽しさが増した」と語る。撮影:釜谷洋史

 多くの作家さんやバイヤーさんと話している中で、感銘を受けたのが、器の使い方。

「マグカップならお茶や珈琲、お茶碗ならご飯を盛付けるものだと思い込んでいたのですが、ある作家に『お茶碗にビールを注いで飲む』と教えてもらったときは衝撃でした。器は自由に使っていいんだ、と知ってからは器の無限の可能性にワクワクするようになりました。器を見ながら、何を入れようか、組み合わせたらどのようになるか、アレコレ想像するのが楽しいんです」

コットショップの器+山一のせいろ=蒸し料理


<山一>のせいろにのせた<コットショップ>の器の中に食材を入れ、蒸し料理にしてそのままドン! とテーブルへ置くだけ。

 例えば、骨董の器を揃えている<Kotto Shop(コットショップ)>の器。おかずを入れたりするのが一般的ですが、石岡さんは電子レンジで加熱できるほど耐久性に優れた点に注目。信州木曽で作られた<山一>の日本製せいろに<コットショップ>の器を重ね、中に食材を入れ、蒸し料理にしてそのままドン! と食卓へ出したりするのだそう。ゲストの前で熱々の料理にごま油をかけると、それだけで盛り上がると言います。

mushimegane books.=アクセサリートレイ/おかず入れの2WAY


<mushimegane books.>の高台皿は、食器やアクセサリートレーに。撮影:田村昌裕(freaks)

ぽってりした厚みが特徴の<mushimegane books.>の器。撮影:田村昌裕(freaks)

<mushimegane books.(ムシメガネブックス)>の高台皿は、食器やアクセサリートレーとしても活用していると言います。

 石岡さんは、普段からひとつの器で何通りも使い方をアレンジするそうで、どの器に対しても即興でいろいろなアイディアを提案してくれます。今回のイベントでは石岡さんが店頭にいる時間帯もあるので、気になる器の使い方のアイディアを聞いてみるのもおすすめです。

「出しっぱなしでも絵になる」ものを選ぶ
<山一>の米びつ


<山一>の米びつは出しっぱなしでも美しい佇まい。桐素材は湿気や乾燥を防ぎ、お米の水分量やおいしさを保ってくれる。撮影:田村昌裕(freaks)

 日々の生活の中でアイテムを選ぶ時に気をつけていることを伺ってみると、子育てに仕事に忙しい“母ちゃん”ならではの時短につながるものを選んでいることも教えてくれました。

「キッチングッズでも、雑貨でも、出しておいても可愛いものを選ぶようにしています。使う時に取り出して、使い終わったら片付けるという一連の動作は、大がかりなものだと忙しいときに使うのをためらってしまうことも。だから器や台所道具、雑貨類は、出しっぱなしでもおしゃれに見えるデザインも重視して選んでいます」

 キッチンにそのまま置きたい米びつは<山一>の5キロサイズを愛用。桐素材なので湿気や乾燥を防いでくれて、お米の水分量やおいしさを保ちます。さらに、天然の抗菌作用で虫除けいらずなのもうれしいポイント。

<Kos+Vintage>のヴィンテージフラワーベース


<Kos+Vintage(コスヴィンテージ)>のヴィンテージフラワーベースは花なしでもオブジェとして飾る。撮影:釜谷洋史

 花瓶も、インテリアグッズとして活躍できる見た目を重視。本来、お花を入れるための花瓶ですが、枯れてなくなったとしても置きっぱなしにして、絵になるオブジェとなるものをチョイス。花瓶だけが飾られていても寂しくなりません。

食材に和える・かけるだけでごちそうが一品完成する便利アイテムも


食材に和える・かけるだけでごちそうが一品完成するおいしくて便利な食材も常備。撮影:田村昌裕(freaks)

 時短のために、食材に和える・かけるだけでごちそうが一品完成する、おいしくて便利なアイテムも常備。忙しいときはもちろん、おもてなしで何品も料理をつくるときも大活躍します。

<かかん>の麻婆ソース


かかんの麻婆ソース(税込1,200円)は冷凍もできて日持ちもバッチリ。撮影:田村昌裕(freaks)

 鎌倉で出会った<かかん>の麻婆ソース。ソースを温めて豆腐や茄子と和えるだけでお店の味に。

<うさぎ農園>の玉ねぎドレッシング


ドレッシングや調味料は一度食べたらリピートする方続出。撮影:釜谷洋史

「ストックを切らさないぐらい大好き」という<うさぎ農園>の玉ねぎドレッシングも。新玉ねぎだけで作られているので風味も豊かで、サラダはもちろんマリネにもおすすめです。

お惣菜をのせてもおいしく見える良質な器選びも大切


<村上 祐仁>の器は薄くて軽くて繊細なシルエット。それでいて食洗機も電子レンジもOKで丈夫なところが魅力的。撮影:田村昌裕(freaks)

 料理が好きな石岡さんでも、忙しい日はお惣菜を買ってしまうこともあるのだそう。そんなときはシンプルながら存在感のあるお皿に頼るのが石岡さんのマイルール。

「村上祐仁さんの器はシンプルで程よいマットさがあり、どんな料理も受け止めてくれる万能さが魅力。ワンプレートにするときもあれば、惣菜をお皿にのせるだけの日だってあるけれど、お皿が良いと不思議と料理もおいしく感じられます!」

会期中はイベントや特別なオリジナルボックスセットも


グルテンフリー食品<ZENB>を日頃から愛用するアーティスト・yukartさんがデザインしたギフトボックスも数量限定で販売。撮影:釜谷洋史

ギフトやお土産にぴったりな雑貨類も充実。撮影:田村昌裕(freaks)

 石岡さんがおつまみとしてよく口にしている<ZENB(ゼンブ)>のグルテンフリー食品も展開されています。おすすめは、アーティストyukartさんが描いたオリジナルデザインのボックスに、「ゼンブブレッド」や「ゼンブチップス」などを詰め合わせた100箱限定のギフトセット。

 また、<ANYWHERE PRODUCTS>の洋服やポーチ、メイクペンや<OLSIA(オルシア)>など自分へのお土産としてはもちろん、友達、家族へ贈るギフトにもぴったりなラインナップがズラリと並びます。

アーティストyukartさんがお客様をイメージして描くライブペイント


石岡さんの台所に飾られている大きなアートはyukartさんが描いたもの。撮影:田村昌裕(freaks)

アーティスト・yukartさんによるライブペイントのほか原画の展示販売も。撮影:釜谷洋史

 会期中は、予約なしでアーティストyukartさんがお客様をイメージして描くライブペイントや、最終日5月11日には<NEEDLEWORK EVERYDAY>のハンドルミシンでチェーンステッチをするイベントや<ハッカニブンノイチ>の生花の販売など楽しいイベントも盛りだくさん。

 贈りものに悩む方はもちろん、普段使いしやすくてセンスのいいキッチンアイテムや雑貨を探している方にもおすすめなポップアップイベント。是非足を運んでみてください。

石岡 真実『母ちゃん、ていねい たまにガサツ展』

場所 伊勢丹新宿 本館5F センターパーク/ザ・ステージ♯5
所在 東京都新宿区新宿3丁目14-1
日程 2025年4月30日(水)〜5月11日(日)
時間 10:00-20:00
https://www.mistore.jp/store/shinjuku/shops/living/park/shopnews_list/shopnews_041.html

文=桐生奈奈子
写真=釜谷洋史・田村昌裕(freaks)

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