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【京都よりみちこみち】良質なお茶は育まれる地で、いにしえからにぎわう通りの風景。宇治橋通:後編

  • 2022年2月4日
  • ことりっぷ


今回は、源氏物語のクライマックス『宇治十帖』の舞台になった宇治に位置する宇治橋通をご案内する後編です。
宇治川特有の風土に育まれた、おいしいお茶を一服いただいて、冬の寒さにひとときのぬくもりを過ごしてみませんか。
平安時代の絵巻物に登場する宇治は、悠久の時を超え、人びとを魅了してきました。そんな宇治のメインストリートのひとつが宇治橋通。連綿と続く茶商、抹茶スイーツやベーカリー、飲食店、スーパーや電気店など日用の店が入り混じった、旅人とふだん着の地元の人が行き交う通りです。
元は町家と建具工場だった「中宇治yorin」、昭和の市場を再現した「大阪屋マーケット」とふたつの複合施設にもあらたな活気が生まれています。新しい物語を紡いでいく宇治のまちをゆるりと歩いてみませんか。
「心からおいしい!と笑顔になってほしい」との想いを込め、小河エミコさんが切り盛りする「中宇治yorin」内の焼き菓子専門店。
メインは13~15種類のマフィンで、土・日曜の限定でタルト2~3種も加わります。マフィンは午後には売り切れてしまうことも多く、種類が豊富にそろう早めの時間の来店がおすすめです。
小麦粉は香ばしくて口溶けのよい北海道産のものを吟味。冬にお目見えする、国産あまおうをフレッシュなまま焼き込んだいちごのマフィンは、毎年心待ちにしているファンが多いシーズン限定の一品。小河さんがこれまでに考案したレシピは300近いそうで、探究心はとどまることなく、今も新作を考案中です。
奥路地の複合施設「中宇治yorin」内にある「WITTE DE WITH」は、オランダのロッテルダムにある通りにちなんだ店名を持つワイン食堂。
フレンチをベースにしたノンジャンルの料理を創り出す渡辺朋之さんは、10代で料理人としてオランダへ。滞在中の長期バカンスを活用してさまざまなお店で修業したり、食べ歩いたりという経験を経てシェフとして独立しました。
ランチメニューは常時3~4種類。野菜や肉、魚など季節によって仕入れが異なるので訪れる度に新しい味わいに出会えます。
料理に合わせたいワインは、国にこだわらず渡辺さん自らがセレクトしたもの。自然派ワインもそろうので、注文の時に食事と合うおすすめを尋ねてみて。
料理や花の仕事に携わってきた店主が、「毎日使いたくなる」うつわをセレクト。北は北海道から南は九州まで作家のもとを訪ねて、自身の目で見て使って確かめているそう。使用前の目止め処理などの手間をかけずにすぐに使え、電子レンジの使用も可能なうつわなどを多く扱っています。
友人たちとナラ材の木板を張り、天然由来の塗料・柿渋を塗った床や、古い箪笥の引き出しを利用した窓辺の棚、戸板を再生したテーブルなど、DIYを取り入れた店のインテリアにも注目です。
企画展を開くことも多く、取材時は「珈琲と。」展が開催されていました。うつわに合う料理や焼き菓子、宇治観光まで、さりげなくも惜しみないアドバイスに次もまた訪れたくなります。
何組かの絹糸を伝統の技に寄り1本に組み上げる「京くみひも」の専門店。くみひも作品をあしらった暖簾がかかる、築100年超の町家をモダンに再生した空間で京くみひもの原点である和装小物をはじめ、バッグチャームなど職人がひとつひとつ手作りする多彩なくみひも製品を販売しています。
角台にぶらさがった木の「玉」を操り、複数の絹糸を1本に組み上げる手組体験も実施。指南してもらえるので、初めてでも安心して挑戦できます。
色とりどりの正絹の帯締めや、六角桐箱のつややかな光沢を宿した美しさを目にしていると、着物を纏ってみたい、そんな気持ちが高まり自然と背筋が伸びます。
創業1854(安政元)年の茶商「中村藤吉本店」。カフェの看板メニューは香り高い抹茶をぜいたくに使ったゼリイのちゅるんとなめらかな口あたりで人気の「生茶ゼリイ」。ゼリイをトッピングにしたパフェなどの抹茶スイーツも評判です。
おすすめは、風情ある座敷での「挽き茶とお茶席体験」。石臼で「碾茶(てんちゃ)」を引いて抹茶にする工程が体験できます。石臼は1秒1回転。早く回しすぎるときめが粗く、遅すぎると摩擦熱で劣化してしまうのだとか。体験後は、メニューに含まれる、茶釜のお湯で点ててもらう2種類の抹茶とデザートをおともにひと息つきましょう。

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