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キャンプの恵み

Vol.74 安全の文化

  • 2015年1月29日

スキー  キャンプなどの自然体験活動の指導者の方々に、安全について講師としてお話をする機会が立て続けにありました。基本的には「安全に活動をするために、指導者はきちんと備えましょう」とお話しする立場なのですが、少し逡巡するところがあって、毎回、どのように話せばよいのかと考えるのです。
 自然の中での活動は、ある意味「危険がいっぱい」で「不確定要素だらけ」なので、キャンプの指導者はさまざまな備えをしなければなりません。講座の中で例示される「やるべきこと」だけでも、かなりたくさんあります。確かに、それをきちんと押さえておけば、かなり安全な活動が提供できるはずです。
 ただ、キャンプの目的はなにかと考えると、「ちょっと待てよ?」となります。「楽しさ」が唯一の目的の活動であれば、参加者は安全に関してなにも気にしなくて済むほうがよいでしょう。ちょっと気を抜くと事故に遭ってしまうようなテーマ・パークでは遊びたくありません。でも、キャンプはそれとは違います。
激流  活動を通じて小さな危機を回避できる能力を身につける、これもキャンプの目的のひとつだとおもうのです。たとえば、「売買される商品は安全であってしかるべきだ」というのは正しいけれど、「買ったものは絶対に安全である」というのは、ちょっと正しくない。やはり「安全なはずだけれど、なんだか怪しい」ものをかぎ分ける力は大切。そのトレーニングの場として、キャンプは最適です。だから、いろいろ考えた末に、講義の中では「すべての利害関係者(Stake Holder)を安全な活動をつくる当事者(Actor)にする取り組みを大事にしましょう」などと言うのです。
 しかし、これはとても難しいことです。まわりの人々を巻き込むよりも、自分が余分にがんばるほうがずいぶん楽なわけで、自分で話しておきながら「酷な要求だなぁ」とおもいます。
 それでも、「大事ななことだから‥」と自分に言い聞かせて、図々しく「安全の文化を育てましょう」と講師の顔で話すのです。


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