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キャンプの恵み

Vol.72 与えられたものに対する責任

  • 2014年12月18日

 「キャンプはスチュワードシップ(Stewardship)を育てます。」
雪のキャンプ  英文のキャンプの資料を見ていると、ときどき「Stewardship」という言葉を見かけます。日本ではなじみのない言葉ですが、辞書を見ると「財産管理の職務」「受託責任」などと書いてあります。これではどうもピンときませんが、「自然環境や人とのつながりなどの与えられたものを大切に用い、後世に引き継ぐ責任」といった意味になるのではないかとおもいます。
 キャンプというのは自然の中での共同生活なので、自然の大切さ、人のつながりの重要さを体験的に学ぶことができ、自然や人のつながりを大切にしようというStewardshipも身に付くというわけです。
 ここでポイントとなるのは「体験的に」ということです。
 世の中には大切にしなければならないであろうことが、たくさんあります。「地球環境」「平和」「人権」などに対して、「大切にしなくていい」と言う人などいません。でも、大切にする方法はさまざまで、真逆の主張が並立することもままあります。さまざまな考え方が乱立する中で自分の態度を決めるには、体験を通じて感じたり、過去の体験に基づいてじっくり考えたりするしかないのです。
 地球環境を守ることは大事だとおもっていても、テレビで流れる気候変動枠組条約締約国会議(COP)のニュースには冷めた目を向けてしまうことがあります。それはたぶん、誰かの体験に基づく切実なStewardshipとは違う文脈の思惑が見え隠れするからなのだとうとおもうのです。
赤い実  「私は自然の恩恵、他者の恩恵を受けている」と感じることのできる体験が豊かであればあるほど、大切なものが増えます。大切なものが複数あると、それらが関連し合って、また別の大切なものを生みます。そうした大切なものを守ろうとする責任がStewardshipで、それは、私たちが暮らす社会をなんとかうまく回し続けるために不可欠なものです。
 来年もまたたくさんの人が、キャンプを通じてStewardshipを育ててくれればよいなと、こころから思います。


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