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キャンプの恵み

Vol.46 子どもを護る

  • 2013年12月5日

 先日、オーストラリアで行われた会議でのこと。アメリカの知人から「日本におけるバックグラウンド・チェックの状況について聞かせてほしい」と言われました。

 ここで言う「バックグラウンド」とは、キャンプにスタッフとしてかかわろうとする人の“犯罪歴”のことです。アメリカキャンプ協会では、10年ほど前からこの取り組みをしており、2011年には、18歳以上のスタッフのチェックが、認定キャンプ場として認められるための必須条件となりました。

 これは子どもたちを護るために、性犯罪歴のある人をキャンプにかかわらせないことを主な目的にしています。いまだその正否については議論が続いていますが、さまざまな犯罪の中でも性犯罪は再犯のリスクが高いと、一般的に言われます。ですから、性犯罪歴のある人を子どもに近づけないことが、子どもたちを護る方法として有効だと考えられたわけです。

ここまで読んで、みなさんはどう思われますか?

 「合理的だとは思うけれど、なんか違和感あるなぁ」という方も多いのではないでしょうか?日本では犯罪歴の情報が行き来するということはほとんどありませんから、「そこまでするの?」と感じるのも当たり前です。

 実際、日本ではバックグラウンド・チェックに相当することはほぼ行われていないと言っていいでしょうし、同じ仕組みをいきなり持ち込むのはどう考えても無理です。ただ、「無理だから関係ない」「ボランティアは善意でかかわっているのに、性悪説を持ち込むのはよくない」で済ませてしまうのも問題です。

 私たちがキャンプを行うのは、参加する子どもたちの成長を願ってのことです。当然、そのキャンプで性犯罪の被害に遭うようなことがあってはなりません。よいキャンプを行う前提として、「子どもを護る」という発想は欠かせませんし、何らかの手立ては必要です。その友人が私に質問したのも、バックグラウンド・チェックが求められる事例が日本で生じたからです。

 正直、話していて気分のいいテーマではありませんが、キャンプを行う基本的な意義に立ち返って、少しずつ、ゆっくりと議論を深めていければと考えています。


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