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キャンプの恵み

Vol.29 くちびるに歌を、心に太陽とマナーを

  • 2013年4月11日


海とのいい関係を結び直してほしいと願って、余島という小さな島でキャンプを行いました。
 先日、3度目のグリーフキャンプが終わりました。といっても、ここで書くのはキャンプそのものの話ではありません。マナーについてのお話をしたいのです。

 今回の私の役割は、仙台空港での見送りと出迎え。年度末ということもあって、残念ながらキャンプに参加することはできませんでした。

 出迎えに行ったときのことです。全員が揃ったのを確認して、仙台行きの電車の出る駅に向かいます。エスカレーターに乗っているときには、いろいろとキャンプの話をしてくれていたのですが、エスカレーターを降りるといったん列が崩れ、話が途切れました。そして空港と駅を結ぶ渡り廊下を歩き出すと、誰かが歌い始めました。

 キャンプ中に何度も歌った曲なのでしょう。自然と合唱になりました。「楽しいキャンプだったんだろうなぁ」と感じられ、ちょっとウルッとするくらい感動してしまいました。

 でも同時に私は、「電車に乗ったら、だまれよぉ〜!!!」と、子どもたちに向かって“念”を送りまくるのです。結局、私の念力は十分でなく(当然ですね)、「電車の中では静かにしようね」と言葉を添えなければなりませんでしたが、ほどなく「これなら大丈夫」と思う程度には、静かになりました。



「またね〜!」
 キャンプからの帰り道、子どもたちはキャンプの高揚感と楽しい時間が終わってしまう寂しさがない交ぜになって、少し興奮状態にあるのかもしれません。こんなときだからこそ、マナーを守ることも大事だと思います。

 それは、日常に戻るためのスイッチです。もちろん、子どもたちにマナーを守らせることは、社会の一員として大切なことです。しかし同時に、キャンプという「ハレ」の場から、「ケ」の場である日常生活に戻るために必要な切り替えの機会でもあるように思うのです。

 日常の自分の視点でキャンプのことを思い出すと、その意味が浮かび上がってきます。うちに着いたら、保護者から「キャンプどうだった?」と聞かれるでしょう。「マナーを守る」といった、興奮状態を少し鎮める作業を経ることで、キャンプの楽しさを伝わりやすい言葉で話すことができるのではないかなと思います。

 さて、彼らはうちに帰って、どんな話をしたのでしょうか?


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