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キャンプの恵み

Vol.13 命を出迎える El Tesoro de la Vida (1)

  • 2012年8月16日
El Tesoro de la Vida

 これから何回か、El Tesoro de la Vida(エル・テソロ・デ・ラ・ビダ)というキャンプについて書いてみたいと思っています。これは今年25周年を迎えた、肉親を失う経験をした子どもたちのためのグリーフキャンプで、7月の終わりから1週間、テキサスの体が干からびてしまいそうな暑さの中、参加させてもらいました。

  今年の参加者は約150人。日曜日の午後、子どもたちは三々五々、保護者に連れられてやってきます。そして、受付を済ませると「ミツバチ(​b​u​m​b​l​e​b​e​e​)」「サメ(​s​h​a​r​k​)」「テントウムシ(​l​a​d​y​b​u​g​)」「虹(​r​a​i​n​b​o​w​)」などと名付けられた自分のキャビン・グループの旗の下に集まるのです。そこにはキャビン・バディと呼ばれるボランティア・スタッフが待っていて、キャンパーを出迎えます。スタッフの表情は一様にうれしそうで、初めて参加するキャンパーには「参加してくれてありがとう」という気持ち、2年目、3年目のキャンパーに対しては「また会えて本当にうれしいよ」という気持ちが届けられます。


El Tesoro de la Vida

 そこには「生きていてくれて、本当にありがとう」という思いがあります。キャンパーが家族を亡くした理由はさまざまです。病気による死別もあれば、自殺、殺人、薬物によるものもあり、中には目の前で親が殺されるという経験をした子さえいます。そのような彼らの人生は過酷です。大切な人の死に加え、周囲の大人たちの環境の変化によって、さまざまな生活上の変化も強いられています。翌年のキャンプに参加できないこともあるし、自ら死を選んでしまうことだって十分にあり得るのです。

 だからこそ、スタッフたちは最大限の歓迎の意を表します。このキャンプの名前はスペイン語で「命の宝もの」という意味ですが、El Tesoroはキャンプ場の名前でもあり、つまり「命のキャンプ」という意味になるのです。

 キャンパーを出迎えるのは、どんなキャンプでもうれしいことです。しかし、このキャンプではキャンパーの「命を出迎える」という印象がより強く感じられます。

 いっぱい楽しんで、いっぱい考える1週間が始まりました。

El Tesoro de la Vida紹介ビデオ (http://youtu.be/VnbfzlRcoJk


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