トランプ関税で「値上がりするもの」って何がある?

  • 2025年4月17日
  • All About

2025年4月2日、トランプ大統領が相互関税を発表しました。あまりに高い関税が課されるということで、全世界が混乱しています。今回のトランプ関税が、日本の物価にどのような影響を与えるでしょうか? 詳しく考えていきます。
先日、読者より以下の質問が届きました。

「トランプ関税で値上がりするものって何? 日本で暮らしている人にとっては何が高くなる? 車? iPhone? 教えてください」

2025年4月2日に、トランプ米大統領が相互関税を発表しました。

日本の税率は24%、ベトナムは46%、台湾は32%、中国に至って4月12日時点で計145%もの関税が課されるということで、全世界が混乱しています。

「関税はインフレにつながる!」といううわさも耳にします。今回のトランプ関税が、日本の物価にどのような影響を与えるでしょうか? 詳しく考えていきます。

■物価が上がるメカニズム
大前提として、物価はどのようにして上がるのかを押さえておきましょう。

物価が上がる理由は2つ。1つは「カネ余り」、もう1つは「モノ不足」です。

カネが余ると物価が上がります。

足りないものは希少価値がありますが、余ったものには希少価値がありませんから、価値が薄れていくのです。

これは貨幣も同じで、お金が余ると貨幣の希少価値が薄れるため、価値が下がります。そして、貨幣の希少価値が下がった分、ものを買うのにお金がかかるようになるわけですね。

また、モノが不足すると物価が上がります。

例えば、100人の買い手と100個の商品があるとします。買い手は1人1つの商品がほしいので、この場合は需要と供給が釣り合ってバランスが取れています。

しかし、ここで商品が50個紛失してしまったとします。すると、100人の買い手に対して商品は50個しかありません。こうなると買い手全員に商品が行き渡らないので、奪いあいになります。

すると、売り手のパワーが強くなり「もっと高く売りたい」と価格交渉しやすくなるわけです。

■トランプ関税で値上がりするもの
では、トランプ関税で値上がりするものは何でしょうか?

関税が物価に与えるインパクトは貿易量によります。日本企業の場合は「アメリカに対して貿易黒字をもつ国」なので、「短期的には物価が下がるのではないか?」というのが筆者の見解です。

と言うものの、本来ならばアメリカに輸出するはずだったものが関税で売れなくなれば、それは「モノ余り」につながりデフレ圧力がかかるからです。

日本であれば自動車メーカーなどが生産過剰になりそうですが、仮にそうなった場合は、自動車が余ったり、中古車が値崩れしたりするかもしれません(生産量を調整して対応すると思いますが)。

また、米中の貿易状況も考えると、これも日本にはデフレ圧力になるだろうと思います。

例えば、中国では、
・アメリカ製品が輸入しづらく値上がりする(モノ不足によるインフレ圧力)
・中国製品が輸出しづらく値下がりする(モノ余りによるデフレ圧力)
という2つが起きそうです。

アメリカに輸出できない、となると、近場でそれなりにマーケットが大きい日本に売り込みに来る気もします。

そうなったら、スマホやパソコンが値崩れして、安く買えるようになる、なんて未来もあるかもしれません。

一方、インフレ圧力が生じるとしたら、アメリカの上場企業の製品などでしょうか。

アメリカの上場企業は利益を伸ばすよう、株主から強いプレッシャーにさらされています。米中貿易摩擦で利益が減りそうな会社は、日本で値上げすることで利鞘(りざや)を増やし、帳尻を合わせるかもしれません。

ここまで考えるとキリがない気もしますが、基本的には「アメリカに対して貿易黒字を出している国にとってはデフレ圧力になるのではないか?」というのが僕の見解です。

トランプ大統領にとって、関税は看板政策でもあります。どんな形で落ち着くのか、引き続き注目ですね。

文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)

18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。

中原 良太(個人投資家・トレーダー)

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