生物的な性別や自認するジェンダーなど、見かけや振る舞いだけではわからない人の性。どちらともつかない出で立ちのクラスメイトと、その性別がわからないまま好きになった少年の青春を描く創作漫画が、矢尾いっちょ(@1203Yao)さんのオリジナル作品「どっちかわからないクラスメイト」だ。
2020年からX(旧Twitter)で発表をはじめ、Amazon Kindle インディーズの無料電子書籍シリーズとして公開されている同シリーズ。作品のあらすじとともに、作者の矢尾いっちょさんに同作の制作背景についてインタビューした。
■コミカルな雰囲気、しかし真剣に向き合うストーリー作りを心がけた
矢尾いっちょさんは多くの漫画作品をSNS上などで発表している。今回はじめて電子書籍として作品を公開したことについて、「まとめ読みのしやすい形に整え、さらに描きおろしのおまけを添えることで新しい読者はもちろん、昔読んでいただいた読者の方々にも、また愛川さんたちに会ってほしいという思いから電子書籍化に挑戦しました」と語った。
本作が生まれたきっかけについて、「中性的なキャラクターに昔から魅力を感じており、僕自身でも描いてみたくなったというのがきっかけです」と話す。また、「そのうえで男か女かわからないという設定にして、読者にも考察ができる形にすれば続き物としておもしろいではないか、といったところから本格的な執筆にいたりました」と語った。
愛川さんのキャラクターデザインには、さまざまな中性的なキャラクターを参考にしたそうだ。そのなかでも、「眉毛の太さは最後まで悩み、友人などにも相談した結果太い眉にしましたが、今ではお気に入りのチャームポイントです」と教えてくれた。
性別のテーマを取り扱ううえで意識したことについて、「性別の問題はいまだ正解を出せていないことも多く、そこには苦しんだりしている人も多くいる」と話す。そして、「それを踏まえたうえで、今作はできるだけたくさんの読者に楽しんでほしいのでコミカルな雰囲気に、しかし茶化してしまうことなく真剣に向き合うストーリー作りを心がけた作品です」と語った。
クラスメイトの性別がわからないまま好きになった少年の青春を描く本作。まだ読んでいない方は、ぜひ読んでみてほしい。
取材協力:矢尾いっちょ(@1203Yao)