
進展しない彼との関係に焦りを感じ、定期的に「電話占い」を利用している、あかね。主婦の梅子は、あかねのアドバイスで実家のリフォームに風水を取り入れることにした。いいことがあれば「運気を向上させる」アイテムのおかげ、悪いことがおきると庭の梅の木のせいかも...と思うようになる。幸せになることを願い、スピリチュアルにすがった2人の女性を描くセミフィクション漫画、福々ちえさんの「占いにすがる私は間違っていますか?」を紹介するとともに本書の見どころを聞いた。
■「運気が悪い」実家をリフォームするにあたり、風水鑑定することにした
今日の運勢や今月の運勢など、信じる信じない関係なく、つい注目してしまう「占い」。思い返したら「当たっていた」と感じる瞬間もあるのでは?この偶然の一致、実は「占いを信じている人」の方が的中率が高いという。
2人の子どもと優しい夫に囲まれて幸せな家庭を築く、専業主婦の梅子。自分に自信がなく、うじうじしがちで、実家の整理とリフォームに迷いがあった。母親の突然死や梅の木で娘が怪我をするなど、不運な出来事が続き「この家、運気がよくないのでは?」と感じていたからだ。
看護師として大病院で働く親友のあかねに相談すると、風水を勧められる。あかねは進展しない彼との関係に焦りを感じ、定期的に「電話占い」を利用していたり、恋愛運アップのパワーストーンを身に付けていた。
今なら20万円の風水鑑定が10万円だという広告を見た梅子は、思い切って実家を鑑定してもらうことに。初めは半信半疑だった梅子だが、小さな幸運があると「運気がいい方に流れている」と感じ、どんどん風水にのめり込でいく――。
■占いにすがる大きな理由は「未婚」と「既婚」で大きく変わる
――本書「占いにすがる私は間違っていますか?」は「立ち行かないわたしたち」シリーズのセミフィクション漫画ということですが、作画にあたってはどの段階から携わったのでしょうか?
企画があったうえで、お声がけいただきました。主人公といくつかの出来事の通過点は決まっていたので、それに合う舞台と人間関係を考え、物語に起こしました。
――一歩間違えば「誰しも2人のようになってしまうかもしれない」と思わせる展開で、どんどん読み進めてしまいます。本作の見どころをお願いします。
人の思考は、生い立ちや環境に影響されて、選択肢が作られていくと考えています。本作の2人を真逆の生い立ちの女性にしたのも、そのためです。2人の思考の違いを楽しんでいただければと思います。
――あかねと梅子、2人の女性を軸に描いたポイントを教えてください。
リサーチした結果、占いにすがる大きな理由は、「未婚」と「既婚」で大きく変わってくることに気づきました。多方面から占いについて描くために、あかね(未婚)と梅子(既婚)の2人を主役としました。
――風水を取り入れたり、占いのいいところを信じたり、日常あるあるが実は落とし穴だった...ところが怖いですね。福々さんは描いていて、どのような気持ちでしたか?
私自身、婚活がうまくいかずに自己啓発にすがっていた時期がありました。占いにはまる心理もそれに近いのかなと。振り返って思うと、我ながら危うかったなと。「〇〇すれば大丈夫!」という考えは、それ以上の思考を止めてしまうからです。何かにすがる危うさを、物語を通して感じていただけばと思います。
――読者の皆さんにメッセージをお願いします。
あかねと梅子、とても愛着のあるキャラクターになりました。梅子の家族も描いていて楽しかったです。人間味のあるキャラクターたちが、混乱し、あがく姿を楽しんでいただければうれしいです。
福々さんは、漫画家&イラストレーターとして活動中。現在は、 「結婚したい女と離婚したい女」をKindleに投稿している。また、「お金がないと幸せになれない」と思っていた女性が、稼いでも稼いでも孤独や不安感が消えないコミックエッセイ「稼いだら幸せになれると思ってた」などの著書がある。
■取材協力:福々ちえ(@fukufuku_comic)