
まるさん(@shishishishimr)は、フリーデザイナーの仕事に加えてパートでも奮闘するシングルマザー。彼女のコミックエッセイ「シンママのはじめて育児は自閉症の子でした」は、自閉症と軽度知的障害をもつ息子・リュウ君との日常が描かれている。
初めての育児に忙しい毎日を送るある日、幼い息子が発達障害である可能性を指摘される。息子の成長への不安や戸惑い、悩みがあふれ出す。だが、そんな親の苦しみをよそに、息子はゆっくりと確かに成長していく…。
SNSでも話題となっている本作から一部を抜粋・編集し、まるさんのインタビューとともにお届けする。ここでは、大変だったというリュウ君との買い物の話を紹介する。
外出先ではじっとしていられないリュウくん。一緒に買い物に出かけるが、体の大きいリュウくんは買い物カートに乗せられない。仕方なく連れて歩かせることになるものの、とにかく落ち着きのないリュウくんはまるさんに構わず走り回る。
やっと捕まえれば寝転がって泣き叫び、レジでは前の人の順番がまだなのに構わず進んでいく。買いたかったものも買いきれず、リュウくんの対応だけでヘトヘトになって家路へ向かうのだった。
それから1年。リュウくんは少しずつ「人についていく」ことを覚え始めた。気づいたきっかけは、まるさんの友人の一言。
ママの居場所を確認し、まるさんと手をつなぎたがるようになったリュウくん。まるさんはスーパーで逃げ回ったころのリュウくんを思い出し、成長を実感する。
■自分の思い通りに動けないことが、こんなにストレスになるとは
「そもそも初めての育児でもあったこともあり、幼い息子との買い物には苦労しました。自分の思い通りに動けないことがこんなにストレスになるんだなと、とてもイライラして疲れていました。今も当時よりはついてくるようにはなりましたが、場所や日によってはいなくなることも多いです。今日も切符を買っている隙にどこかへ行ってしまい慌てて探したら、すごく遠くの方を一人で楽しく徘徊しているのを見つけて、走って追いかけました…」
ちょうどこの漫画を描いていたときは、落ち着いてついてくることが多かったそうだが、「最近またフラフラすることが復活しています(笑)。とはいえ、いつも買い物へ行くスーパーだと、息子も『お菓子コーナーはここ!』『ジュースはここ!』ということがわかるようになって、見失ってもだいたいその場所にいてくれるようになりました。前ほど焦ることがなくなったおかげで、落ち着いたと感じているのかも」
そんなリュウ君が、最近は手をつないでくるように。「興味があるものを見ると走って行っちゃうこともありますが、基本的に道を歩くときだけはしっかりと手をつないでくれます。車道への飛び出しや迷子になるといった心配が減ったのが、素直にうれしいです!」
こんな些細な仕草にも、リュウくんの成長が感じられて微笑ましい。