家族との日常を描くほのぼの系や、淡い青春時代を描いた漫画をInstagramに投稿している、漫画家のしろやぎさん。いろんなジャンルの漫画が投稿されるなか、特に話題になっているのが「フォロワーさんの本当にあった怖い話」。
ほのぼのとしたタッチでテンポよく展開していくストーリーに油断し、何気なく次のページを読み進めると…突如としてホラーイラストが出現!イラストのタッチにギャップを付けるという見事な構成に、フォロワーからは「油断禁物!」「お化け屋敷に入ったみたい」という称賛のコメントが届くことも。
今回は大人気の「フォロワーさんの本当にあった怖い話」の中から、作者がおすすめする7作品を紹介。創作のきっかけや、ホラー作品への思いを聞いた。
■読者から寄せられる恐怖の声が創作意欲に
―SNSにホラー作品を投稿するようになったきっかけは?
「最初は、子供の成長記録になればいいなと思って絵日記ブログを書いていました。その後、妻から『Instagramを始めたら?』と言われて投稿してみたところ、ブログより読者からの反応を多くもらえることがうれしくて。何か夏っぽいことをしたいなと思って怖い話を募集したら、予想よりたくさんの応募が来ました。普段の絵日記と違った絵を描くのも楽しいし、読者が怖がってくれる反応がおもしろいです。ただ、夏限定にしようと思っていたのですが、思いのほか反響が大きくてうれしい反面、子供の絵日記を待ってくれている方には申し訳ないなと…」
―ホラーを描く際の漫画のタッチやテイストで気をつけていることは何ですか?また、「恐怖」を生むコツは何ですか?
「絵日記のかわいいタッチのままホラー漫画にできたらいいなと思って描いています。あと、自分は文字を書くのも読むのも苦手なので、できる限り絵で説明できればと。『ここで急に怖い顔を出してやろう!』とか、『いきなりgifアニメで動かしてやろう!』とかその時のノリで描いているので、コツはわかりません。ただ、読者からの投稿文を読んで、自分自身が怖いな、描きたいなと思ったシーンを描くために、前後を繋げていく作り方をしています」
■恐怖は"日常"に潜むからこそ、普遍でおもしろい
―ホラー作品の魅力や、「恐怖」についてはどのような考えをお持ちですか?
「どちらかというと、幽霊を信じていなくて。人の不安とか悲しみとかストレスとか、願いみたいなものが作り出したものだと思っています。そういう感情は誰でも日常的に感じるものだから、漫画でもその人の日常の部分をよく描くようにしています」
―今後、挑戦したいジャンルや、展開について教えてください。
「フォロワーさんの『10代の話』というシリーズを描いているのですが、10代という多感な時期の不安や悩み、出来事を丁寧に描きたいです。ホラーにも繋がると思っています。また、来年の夏には書籍化できるようにがんばっていきたいですね」
ほのぼの漫画タッチで恐怖を描くしろやぎさん。今後、「10代の話」をどのように恐怖につなげていくのか。次の異色作にも注目だ!
取材・文=橋本未来