ダサくて「モテなさそう」だけど本当は優しい生物教師のほむら先生と、そんな先生を追いかける変わり者の女子高生・蓮見さん。先生と生徒が織りなす脱力系ラブコメ『ほむら先生はたぶんモテない』の続編となる『先生日誌 ほむら先生はたぶんモテない』が、この夏ついに完結しました。
先生と生徒として出会った2人ですが、続編では蓮見さんが教師になってほむら先生の同僚に。ついに成就した2人の恋に、胸キュンする読者が続出中なんです! そこで今回は、作者のせかねこさんに連載を終えた今のお気持ちを伺いました。
蓮見さんの片思いが実って2人は恋人同士に!
ジャージに白衣にマスク姿、いつもダルそうで「たぶんモテない」雰囲気だけど、実は優しくて憎めない生物教師のほむら先生。マイペースな女子高生・蓮見さんは、そんなほむら先生にぞっこんで、放課後は生物準備室に押しかけるのが日課になっていました。しかし当時の2人が恋愛関係に至ることはなく、卒業を迎えて離れ離れになることに。
あれから数年、なんと蓮見さんが教師となって、ほむら先生のいる高校に戻ってきたのです!晴れて正式に付き合うことになったほむら先生と蓮見先生。だけど、「先生と生徒」だった頃の関係性が抜けず、2人の距離はそう簡単には縮まないようで…。
「身内のイチャイチャシーンを描いてるようで…」恋人になってもなかなか進展しない2人
――晴れて恋人同士になったほむら先生と蓮見さんですが、それでも簡単には進展しない距離感がもどかしくてキュンキュンしました。2人の恋愛の進め方について、意識されたことはありますか?
せかねこさん:もともと『ほむら先生はたぶんモテない』はゆるギャグマンガのつもりで描き始めたものなのですが、いつの間にか恋愛マンガになっていました。
恋愛マンガを描いたことがなかったので、蓮見さんをどう扱っていいかわからなかったほむら先生のように、私も大人になった2人をどうしたらいいものか途中で分からなくなったというか。なんだか身内のイチャイチャシーンを描いてるみたいな気持ちになってしまって…。
もっとイチャイチャさせたかったんですけどあれくらいが限度でした!
あと、たまにファンレターで「小学生です!」とか「◯歳の娘と読んでます!」とか届くので…イチャイチャをどこまで描くかを迷った時、そういうのもちょっと脳裏によぎりました。
――ほむら先生と蓮見さん以外にも魅力的なキャラクターがたくさん登場しますが、特に描いていて楽しいキャラクターは誰でしょうか?
せかねこさん:長髪の男の子を描くのが好きなので早苗くんを描くのが好きです。『ほむら先生はたぶんモテない』では、早苗くんは蓮見さんに一途に想いを寄せていました。新シリーズでも同じ展開になってしまいそうで、『先生日誌』には出さないぞ! と思っていたのですが、なんか好き過ぎて出してしまいました。
でも『ほむら先生はたぶんモテない』では、早苗くんは自分の気持ちを抑えて最後まで二人を応援するという中途半端な終わりを迎えてしまっていた気もしたので、『先生日誌』でちゃんと着地を描けて結果的に良かったです。
当初の予定では「2人がくっつかない」結末だった!?
――最終話ではほむら先生と蓮見さんがめでたく結婚しました。読者も待ちに待っていた展開だと思いますが、反響はいかがですか?
せかねこさん:私、実はバッドエンドが好きなので、当初は2人がくっつかないエンドを考えていたんです。…が、あまりにも2人の幸せを願ってくれるお声が多かったので、私の独りよがりな物語ではなく、ここまで応援してくれた読者の方が最後まで喜んでくれる物語にしたいと思い直し、結婚エンドに途中で変えたという経緯があります。
――えー!読者の声が2人をハッピーエンドに導いたとは驚きです!
せかねこさん:後悔はしてないし、喜んでくれるみなさんの声が何より嬉しくて「こうして良かった!」と心から思ってはいるのですが、一度だけ「2人にはくっつかないで欲しかったな…」というコメントを見かけたんです。もちろん悪意はなくて、たぶん「先生と生徒としての2人が好きだったから」みたいな理由だったと思うんですけど、ちょっとだけ「お…同志…」と思ってしまいましたね(笑)。
ほむら先生と蓮見さんは「一生忘れないし、一生描く2人」
――せかねこさんがこれから描いてみたいことや挑戦してみたいことがあれば教えてください。
せかねこさん:ないんですよね…もうなんかいろいろやったので…。自由に生きたいです。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
せかねこさん:長い間お付き合いありがとうございました。皆さんの応援がなければ確実にこんなに続くことはなかったシリーズなので、ほぼ皆さんが作ってくれた物語です。ほむら先生と蓮見さんは、私にとって一生忘れないし、一生描く2人だと思います。私がおばあちゃんになっても「昔、ばあちゃんはシリーズ60万部(電子書籍含む)を突破したマンガを描いてたんだよ」って孫に自慢するはずです。
皆さんからの素敵な宝物だと思ってこの経験を大切にします。本当にありがとうございました。
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クスッと笑えて泣けて、胸キュンが止まらない2人の恋。『ほむら先生はたぶんモテない』から『先生日誌』まで一気に通して読むと、また新たな発見がありそうです!
取材・文=宇都宮 薫