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Vol.96 新しい季節だからこその、失敗のすすめ

  • 2012年4月26日

 みなさん、こんにちは。ゴスペラーズの北山陽一です。

新しい生活  この連載を読んでくださっている人たちのなかにも、この4月から新しい生活を始められた方が少なくないと思います。かく言う僕も、この4月から「大学の講師」という新しい“顔”を持つことになったわけですが、その新生活が動き始めて約1ヶ月経ったこのタイミングでそういう“新生活者”に何かエールを送ってあげてください、というお題をスタッフからいただきました。

 それで考えてみたんですが、僕はAWSでも学生といろいろ話をしたりするなかでもしばしば感じることのひとつに“失敗することを恐れている人がすごく多いな”ということがあります。僕に言わせれば、何をどうやったって、絶対失敗してるんですよ、本当は(笑)。大切なのは、そのなかでどの失敗を選ぶかということ、つまりポジティブな失敗の仕方ができるかどうかだと思うんです。しかし、現実にはどういう失敗をするかということ以前に、失敗自体を恐れている人がすごく多い。それが、なんだかもったいない感じというか、もの足りなく思ってしまうわけです。

 例えば、“自分だけがちょっと残念”とか“ちょっとがっかり”みたいな失敗だったらどんどんするべきだと思うし、失敗したことで人に迷惑をかけたとして、それをリカバーするという体験もしないといけない。それに、失敗しないようにしようという前提で物事を進めようとすると、すごくいろんなことを考えて、最初にすごく可能性を狭めてしまうんですよね。ということは、成功する可能性が少なくなるということでもあると思うんですけど。それから、自分は失敗したことがないということが評価につながると思っているのかもしれないけれど、僕が例えば企業の採用担当だったら「失敗したことがありません」と言った時点でその人間は絶対採用しないですよ(笑)。

 というわけで、エールを送るというのとはちょっと違うかもしれませんが、僕からお伝えしたいのは「若き失敗のすすめ」ということになるでしょうか。学生時代に限らず社会人になってからでも、失敗するのは早いほうがいいということです。失敗したら失敗したで、そこから新しい切り口とか知見を手に入れることができるわけですけど、それでもそこからまた立て直すのはやっぱりしんどいじゃないですか。そのしんどさに耐えられる年齢というのは、人それぞれではあるにしても、やっぱり若いほうがエネルギーは高いですよ。そういうことを考え併せると、失敗するなら早く失敗したほうがいい、と。

 ただ、そこでひとつ重要なことは、まずは興味のあることを本気でやってみることですよね。「流行ってるから」とか「親に言われたから」というようなことで失敗しても、やっぱりその経験は次につながりにくい。自分が興味があることを、しかも本気でやってみる、ということです。学生という身分を使えるうちに学生としてやるのもいいだろうし、逆に半年とか1年とか休学して、旅行するとか、あるいは家にひきこもって何もしないということだってありだと思います。要は、自分のやりたいことが何か、今やってることが本当に自分のやりたいことなのか、それをちゃんと吟味できるかというのがポイントなんですよね。本当にこれは自分のやりたいことなのかっていう自問自答をとことん繰り返すっていう。そういうことの果てに得た答えというか実感は、必ずその人の力になると思います。

僕も新米講師として、恐れずに自分でも面白いと思える授業づくりに取り組んでいこうと思っています。学生の皆さんと本気でぶつかって、「うた」とはなんなのか一緒に掘り下げていきます。


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