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「このコンテンツは、FoE Japan発行の『green earth』と提携して情報をお送りしています。

Vol.11 いのち輝く辺野古の海・大浦湾を守ろう!

  • 2016年2月25日

普天間飛行場の「代替」はウソ

 辺野古の基地建設は、「普天間飛行場の移転」と説明されていますが、実態は古くなった普天間飛行場を閉鎖し、辺野古に格段に増強された基地機能を設けるというものです。ゲート前には、普天間飛行場のある宜野湾市からもたくさんの人たちが駆けつけています。宜野湾市から来たある男性は以下のように語ってくれました。

 「もちろん、普天間飛行場はすぐに閉鎖してほしい。でも、辺野古に“移転”というのは欺瞞だ。沖縄の私たちは、沖縄本島北部に最新の多機能型の基地ができ、それが固定化することを恐れている。辺野古周辺のみなさんに私たちのような目にはあわせたくない」。

翁長知事の「埋め立て承認取り消し」

 仲井眞弘多前知事は「米軍普天間飛行場の移設先は少なくとも県外・国外」という公約を掲げて当選しました。しかし、その公約をやぶり、2013年12月27日、沖縄防衛局の辺野古埋め立て申請を承認したのです。

 沖縄県民の怒りは大きく、2014年11月16日の知事選挙では「辺野古新基地建設を許さない」を公約とした翁長雄志那覇市長が、現職の仲井眞知事を10万票もの大差で破って当選しました。しかし翁長知事は、すぐに埋め立て承認を取り消すことはせず、石橋をたたくように慎重に検討を行いました。「第三者委員会」を設置して、法的な検討を行ったのです。

 第三者委員会は、2015年7月16日「仲井眞前知事の辺野古埋め立て承認には法的に瑕疵(かし=誤り)がある」との報告書を翁長知事に提出しました。

 翁長知事は10月7日、沖縄防衛局にヒアリングを行うための「聴聞」の場を設定しました。しかし、防衛局は「聴聞」に出席しませんでした。さすがの翁長知事も、これを受け、10月13日に埋め立て承認を取り消しました。

■埋め立て承認4つの瑕疵(かし)
 第三者委員会が指摘した、埋め立て承認の法的な4つの瑕疵は以下の通りです。

1.「埋め立ての必要性」が立証されていない
事業者の沖縄防衛局は「普天間飛行場の危険性の除去」の必要性について示しているものの、基地の移転先がなぜ辺野古でなければならないのか、十分な「埋め立ての必要性」を示していません。

 2012年12月に、森本元防衛大臣は、退任に際しての記者会見で「軍事的には沖縄でなくても良いが、政治的に考えると沖縄が最適の地域である」と述べています。すなわち沖縄でなければならない必然性はないのです。

2.「国土利用上、適正かつ合理的」という要件を満たしていない
「公有水面埋立法」は、埋め立てが「国土利用上、適正かつ合理的」であることを要件としています。国土利用上適正か否かについては、埋め立てによる「利益」が「不利益」を上回らなければなりません。

 沖縄防衛局が説明している「利益」は、普天間飛行場の危険性等の除去です。これは大きいと考えられますが、移設先が他の場所ではなく辺野古でなければならないことの合理的根拠としては認められません。

一方、埋め立てで失われる利益については、以下があげられます。

・生物多様性に富む辺野古・大浦湾の自然環境の価値の喪失
・騒音・低周波音等による生活環境に関する不利益
・沖縄県や名護市の地域計画等の阻害要因となることによる不利益
・更には沖縄県の過重な米軍基地負担が固定化する不利益

埋め立て承認では、総合的にみて利益が不利益を上回っているということは説明されていません。

3.環境影響評価がずさんであり環境保全措置が不十分

署名提出
署名提出
「公有水面埋立法」は、埋め立てが、環境保全に十分配慮されたものであることを要件としています。しかし、この事業で実施された環境アセスメント(環境影響評価)は、非常に問題があるものでした。

 2011年に提出された沖縄県知事意見では、579点の問題が指摘され「生活環境及び自然環境の保全を図ることは不可能と考える」と断定されています。しかし事業者はこれに十分な回答を行っていません。

防衛省交渉風景
防衛省交渉風景
 加えて、ジュゴンへの影響を軽視していること、あやふやな対策(海草やサンゴの移植など)に大きく依存していること、オスプレイ配備について事前説明をせず、関係者が意見を言う機会がなかったことなど、たくさんの問題が指摘されています。

4.地域の計画に反している
 「公有水面埋立法」では、埋め立てが国土利用や環境保全に関する国や自治体の計画に反していないことが要求されています。しかし、辺野古の埋め立ては、生物多様性基本法に基づく「生物多様性国家戦略2012-2020」及び「生物多様性おきなわ戦略」、海岸法に基づく「琉球諸島沿岸海岸保全基本計画」に反しています。(満田夏花)

『Green Earth』vol.56 2015 Autumnより抜粋)

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