【ホラー】記憶喪失の少女と多発する失踪事件…田舎町に潜む「あずかり屋」の闇の先にある“真実”にゾクリ…【作者に聞いた】

薄暗い森を逃げる女性と追う影から始まるこの漫画は、読者を不安にさせる。彼女の安否と、その背景にある真実とは一体何なのか。

のどかな田舎町で、若い女性の行方不明事件が相次いでいた。警察の懸命な捜査にもかかわらず、手がかりは一切ない。そんななか、「あずかり屋」を営む青年は、森で倒れている女性を発見。女性は怪我だらけながらも命に別状はなかったが、記憶をすべて失っていた。

本作「縁(よすが)のあずかりもの」を描いたのは、漫画家の湊月さん(@mizunashi1025)。大学在学中の受賞を経て、社会人になってからウェブ漫画へ移行し、『氷のような夏は恋に溶ける』でデビュー。今回、湊月さんに本作の創作秘話を聞いた。

■デビュー作のプロトタイプとなった「身近な恐怖」の着想

本作「縁(よすが)のあずかりもの」は、のちに湊月さんのデビュー作となる『氷のような夏は恋に溶ける』のプロトタイプだという。湊月さんは、「2019年(描き上げたのは翌年)に観た映画から着想を得て、さわやかな空気感と訳ありな少年少女、そして疾走感のあるお話が描きたいなとふんわり思ったのがきっかけだった」と語る。

この読切作品が直接デビューに繋がったわけではないものの、約2年後、別の企画が立ち消えそうになった時期にこの作品の存在を思い出したそう。設定をブラッシュアップし、企画書を当時の担当さんに送ったところ、担当さんが気に入ってくれたことが連載へと繋がったと明かす。

■本当はミステリアスで飄々とした感じに描きたかった

物語の設定や展開について、湊月さんは「ストーリー展開は異なる」と述べる。しかし、「事件が起こる夏の田舎町」「家出少女とお店をしているお兄さんが出会う」という設定や登場人物の名前は同じだという。軸となる事件や登場人物の設定を変更し、登場人物を増やすなど、他にも変更点があるとのことだ。

読切版に登場するお兄さんについては、「本当はミステリアスで飄々とした感じに描きたかったが、ただの優しいお兄さんになってしまったことが心残りだった」と振り返る。連載版では「本来描きたかった姿を描けてよかった」と満足感を示した。

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取材協力：湊月(@mizunashi1025)